しっかり腹をくくること
こんにちは 平です。
ご相談者の彼女は39歳。結婚10年目、ご主人はごく普通のサラリーマンで、8歳と4歳のお子さんがいらっしゃいます。
ご主人はお酒が好きで、飲んで夜遅くなることは昔からしょっちゅうありました。
奥さまはその点はさほど気にしていなかったのですが、ある日、飲んで帰ったご主人から、いきなり宣言をされたのです。
「好きな女ができた」、と。
しかも、ご主人は「おまえともその女とも別れる気はない」と勝手なことを言い出す始末。
問いただしてみると、相手は会社関係でよく飲みにいく仲間の一人とのこと。
その女性に「女房と別れる気はないし、家庭を壊す気もないけど、それでもいいのか」と聞いたところ、「それでもいい」と言われ、関係をもったらしいのです。
で、奥さまに「家庭を壊す気はないので、若い相手とのつきあいを認めろ」という理不尽な要求を突きつけてきたわけです。
奥さまにとっていちばんつらかったのは、ご主人のことが大好きだったということでした。
ご主人は悪い人ではないし、しっかり働いているし、お給料もすべて家庭に入れています。
それで、奥さまが思ったのは、「いやなことに目をつぶっても、いまのこの安定した生活を崩さないほうがいいのでは‥‥」ということでした。
子どもたちもまだ小さいし、離婚したとして、手に職もない自分が経済的にやっていけるという自信もないわけです。
しかしながら、このようなケースは私も数えきれないほど見てきました。
その中には、いま、この奥さま考えているような選択をした人は非常にたくさんいます。
が、数年後、けっしてハッピーとはいえない状況に陥っているケースが非常に多いのです。
一度、心の中に芽生えた不信感や不満は、大きくなることはあっても、小さくなったり、消えたりすることはまずありません。
ご主人が会社の男連中との飲み会に行っていたとしても、「またあの女と会っているのかも‥」という嫉妬の気持ちや怒りは次第に大きくなっていきます。
そして、ご主人への愛が疑いに変わると、家庭生活も破綻に向かいはじめるのです。
つまり、奥さまがしようとしている選択は、延命効果はあるものの、根本治療ではないのですね。
結局、症状は悪化し、やがては最悪のケースにもなりかねないというわけです。
そんな私の話に納得された奥さまは、こうおっしゃいました。「では、根本的な治療とは?」
私はまず、「まず、しっかり腹をくくることです」と言いました。
最悪の状況になった数年先に腹をくくらざるをえなくなるケースはよくありますが、そのときはご主人への憎悪があまりに大きくなりすぎていて、奥さま側の気持ちの問題で、多くの場合、夫婦関係は修復できません。
で、奥さまにはご主人にこんなふうに言ってもらったのです。
「あなたには選択肢が2つあります。あの女と別れるか、私と別れるかです」
「あの女と別れるなら、私はなにもなかったかのように、もう一度、あなたを受け入れ、愛します」
「また、あなたが浮気をしたということは、私に対してなんらかの不満をもっていたということかもしれません。私に至らないところがあれば、その修正もしていきたいと思います」
「しかし、あなたがあの女と別れないかぎり、私はあなたを愛することも、いままでのように与えていくこともできませんから、どちらかにしてください」
さらに、最後に彼女はこう言いました。
「私はあなたを一生、愛する人にも、あなたを一生、恨みつづける人にもなれます。それは、あなた次第です」
その後、ご主人はなんとか自分の都合のいいようにしようと、説得したり、「だったら、別れるしかないな」などと脅すようなことも言ったりしましたが、奥さまは断固として折れませんでした。
その理由はただ一つ、「別れてもらわないかぎり、私があなたを愛しつづけることはできません」というものです。
結果、3カ月後にご主人は愛人さんと別れ、奥さまの元に帰ってきました。
夫婦関係の修復時のポイントは、「やはり、妻のほうを選んでよかった」とご主人が思えるほど、奥さまがご主人を愛せるかどうかです。
それができるカップルには、この波乱を機に強い絆ができます。
反対に、ご主人を奴隷扱いするようなことがあったら、このカップルにはふたたび浮気問題が生じるか、破綻に向かうかのいずれかになる場合が多いようです。
では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!