感情のコミュニケーションを教えてあげよう

理論か。それとも感情か。

こんにちは 平です。

男性と女性のコミュニケーションのいちばんの違いは、「理論か、感情か」の違いといっていいかもしれません。

男性のコミュニケーションは、多くの場合、ものごとを理論的に相手に説明することを優先します。それに対し、女性のコミュニケーションの中心は、自分が感じている感情をいかにして相手に伝えるか、そして、ちゃんと理解してもらっているかどうか、ということにあるようなのです。

たとえば、多くの女性はブランドもののバッグなどが大好きですよね。

理論的な男性にとっては、素材や実用性といったことのほうが気にかかったりするものですが、女性はそんなことよりも、「きゃー、カワイイ!」と感じ、そのそのバッグを持つことで、どんな気分になれるかということの方が大事なのです。

私はブランドショップに入ると、商品よりも、そこにいる女性客の表情をいつも眺めます。

すると、そこにいるほとんどの女性が、キラキラと輝いた表情で、いい気分を感じていることがわかります。

それで、そのたびに、「シャネルやグッチやヴィトンはすごいなぁ。女の子をこんなにいい気分にしてあげているんだから」と思うのです。

男女関係でも、女性は「正しいか、まちがっているか」ではなく、「好きか、嫌いか」ということを最優先します。

そして、男性はとかく「なにをすべきか」を考えてしまうのですが、女性は「自分がいま、なにを感じているか」が大事で、コミュニケーションの中心もここにあるようです。

たとえば、ある夫婦が、結婚記念日に有名なフランス料理店に行きました。

久しぶりに、ご主人と優雅なディナーを楽しめることになり、奥さまはとてもいい気分。楽しい発想ばかりが湧いてきて、おしゃべりにも熱が入ってきます。

ところが、ご主人はといえば、さっきから、料理がテンポよく出てこないことが気になっていて、さらに、ワインのボトルにホコリがついていることにも気づいてしまいました。

「一流店のくせに、なんたるサービスだ!」。もう、そちらばかりに注意がいってしまいます。さらに、「一流店はこうあるべき」という彼の思いとはぜんぜん違ことにもイラだってきています。

ご主人の気持ちが自分の話題とは違うほうを向いていることがわかりますから、奥さまのほうもだんだん腹が立ってきます。

そして、「ねえねえ、私の話、ちゃんと聞いてる?」と聞きます。すると、ご主人は、「つまり、こうこうこういう話だよね」と、奥さまの話の要点をさっさと説明します。

それは、まったくそのとおりだったのですが、奥さまにとっては、不快以外のなにものでもありません。

ご主人が、ちゃんと話を聞いていなくて、しかも、まるで「おまえごとき、片手間で扱えば足りる」といっているような態度に感じてしまうからです。

もしも、このとき、ご主人が奥さまに、「大事なおまえとの記念日なのに、この店ときたら、こんな二流のサービスしかできないとは、許せん!」などとひとこと言っていたなら、状況はまったく変わります。

ご主人が同じ態度をとっていたとしても、奥さまには「自分を思いやってのことなのね」、「この時間を大事に思ってくれているから」などと感じられて、ケンカどころか、むしろ情熱がそこには生まれてくることでしょう。

でも、実際はそんな気の利いたことの言える男性は、なかなかいません。

男性というものは、感情とつながることがどうにも苦手なようで、たまに女性から「いま、なにを感じてるの?」などと質問されると、ほとんどの場合、「べつに‥‥」と答えてしまうものです。

そして、その「べつに‥‥」は、女性にとっては、まるで自分に興味をもってもらっていないように感じられてしまうことがよくあるのです。

ここで、女性のみなさんに理解していただきたいのは、男性は子どものころから「男の子なら、がまんしなさい」などと言われるばかりで、感情表現のレッスンをなにも受けてきていないということです。

つまり、この感情表現を男性に教えてあげる先生が、女性のみなさんであるということです。

たとえば、あなたが、「うわぁ、ステキ!」とか、「すごーい! 感動するー!」などと感情を伝えてあげることは、ご主人や彼にとって、とてもうれしいことといえます。

セックスにおいても、男性は女性に感情表現を求めます。男性は、女性が十分に感じてくれて、ようやく、自分も感じてよいという許可が出せるのです。

女性であるあなたが感情表現を上手にできたなら、それはあなたの魅力となり、そして、あなたのパートナーも、あなたから感情的なコミュニケーションを学ぶことができるのです。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

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神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。