「怒り」は「わかってほしい」「助けてほしい」「愛してほしい」の気持ちを伝えられない人の感情のほとばしりです。
この「わかってほしい」「助けてほしい」「愛してほしい」という気持ちを「ニーズ」と言います。対人関係をうまくとれない人は、自分の「ニーズ」をどう他人に伝えたらいいのかがわからないことが多いです。
ここでは、叔母さんに一方的にニーズをぶつけられて困るというお悩みですが、他人のニーズを一方的に全部引き受けていたら、誰でも参ってしまいます。
その人のニーズを多少なりとも引き受けてみようと思うのであれば、まず自分のニーズを誰にどう引き受けてもらうか、を考えましょう。このケースでは、叔母さん問題を一旦横に置いて、ご主人に甘える練習をいっぱいすることをオススメします。
◎リクエストを頂きました◎
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私は昨年結婚し、主人の生まれ育った田舎で暮らしています。主人には両親はいませんが、厄介な叔母さんが近所にいます。
1)週末天気のいい時に玄関を開けていないと怒鳴り込む、
2)旅行の前日の夜に、「なぜ一言ワシにお願いしますと言いに来ないのじゃ!」と怒鳴りこむ、
3)「ワシ足悪いのに、買い物一緒に行きますか?の一言ないんか?」と怒鳴る。
最近は月2回連れて行っていますが毎回小言を言われ、行かなければ怒鳴られます。 主人には「流しておけ」と言われますが、できません。流すようになるということは性格を変えることですよね。そんなことできるのでしょうか?
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リクエストをありがとうございます。
このお悩みを読んで、「なんて優しい方なんだろう」、そして「なんてやる気にあふれた、ファイトというか、情熱のある方なんだろう!」、と思ったので、少しでもお役に立てると嬉しいです。
嫁姑の関係性は夫を取り合う三角関係になりやすく、いつの時代も、難しさがあるものですが、直系でない親族となるとさらにややこしい心の機微がありそうです。そんなムズカシイ関係性を引き受けていらっしゃるのですから、それだけでもうあなたの優しさとご主人への愛の深さは「太鼓判モノ」です。ご主人はお幸せな方ですね。
「怒り」の下にあるもの
まず、この叔母さんをどう理解したらいいでしょう。そのためには、「怒り」という感情について知っておくと役に立ちます。
この叔母さんは、何かと気に入らないことがあって「怒鳴る」、つまり「怒る」人だから「厄介」なんですよね。誰だって「怒り」をぶつけられるといい「気分」ではいられなくなりますから、どうしても「怒る」人を敬遠したくなります。でも、「怒り」は、「わかってほしい」、「助けてほしい」、「愛してほしい」という気持ちを伝えられない人の感情のほとばしり、なんです。
本当に言いたいのは、「お天気がいいんだから、気軽に入れるように玄関を開けておいてほしい」ということ。本当は、旅行に出かけるときには「家をよろしくお願いします」と言ってもらえるくらい頼りにされる関係でありたいことをわかってほしい。本当は、「買い物を一緒に行きませんか?」と誘ってもらえるくらい気遣ってほしい。つまり、「本当はもっと仲良くしたいってことをわかって!!!!」と叫んでいらっしゃるのですよね?
ただ、残念ながら、そのコミュニケーションスキルがないのと、自分はそんな風に仲良くしてもらう資格がないんじゃないかな、という自信の無さがあいまって、ちゃんと穏やかな言葉で「希望」を伝えられないみたいです。
つい怒鳴ってしまうから関係性はぎくしゃくするし、ますます理想から遠ざかるからますます遠くなるんじゃないかと不安になって怒りっぽくなる、という悪循環にハマっているようです。
ということは、つまり、この叔母さんは、「あなたと仲良くしたい」のですね。
「罪悪感」が刺激されると苦しい
あんなに怒鳴ってばかりいる人が、私と仲良くしたいだなんて、って思われましたか?それとも「知っていたよ」と思われましたか?もしかしたら、あなたは彼女のそんな切ない気持ちにお気づきだったのではないでしょうか。そして、「そんなぁ、仲良くしたいと思われても、文句の多い人は好きになれないもん。仲良くできないよ」と感じておられたかもしれませんね。それ、フツーですよね。
ただ、私たちが感じる罪悪感の中で一番キツイのがこの「愛してあげられなくてごめんなさい」という罪悪感なんです。「私が愛せれば、問題は解決するのに、愛せないのよねー」と心のどこかで思っていると本当にウンザリします。だから、相手の悪いところ、ダメなところはますますフォーカスされて見えてきます。そして、「ムリ!」って思います。だから、「性格変えるってことですよね。そんなことできるんでしょうか?」というご質問になるんです。
答えから先に言えば、「できます」。そしてこの質問をしてくださっているあなたは、私から見れば「やる気満々」です。それだけ、どんな人の寂しさも受け入れて愛したい、という大きなハートの持ち主なのです。ですが、物事には順序があります。
パートナーシップの中で「お願い」を増やそう
この叔母さんとの関係性を良くするチャレンジをする前に、まずご主人との絆をさらに強いものにしましょう。
この叔母さんは、あなたに「怒る」ことでしか、彼女の「仲良くなりたい」を伝えられない人です。
あなたも、こんな田舎に一人嫁に来るなんて、すごいチャレンジャーです。しかも、この叔母さんのニーズを一人で引き受けようとされています。
ご主人は「流して」と軽いアドバイスをくれますが、本当はもっとご主人に甘えたいですよね?この叔母さんの文句を言うのではなくて、あなたが本当に彼にしてもらって嬉しいこと、楽しいことをじゃんじゃん言葉にして「お願い」しましょう。そして「お願い」したことをやってもらえたら、大きな笑顔で「ありがとう」を伝えましょう。
2ヶ月、叔母さんのことは流して、このことだけに意識を集中してみてください。自分の寂しさやニーズを癒すと、きっと叔母さんのこともちょっぴり受容しやすくなります。
「怒り」は「わかってほしい」「助けてほしい」「愛してほしい」の気持ちを伝えられない人の感情のほとばしりです。 この「わかってほしい」「助けてほしい」「愛してほしい」という気持ちを「ニーズ」と言います。 対人関係をうまくとれない人は、自分の「ニーズ」をどう他人に伝えたらいいのかがわからないことが多いです。
ここでは、叔母さんに一方的にニーズをぶつけられて困るというお悩みですが、他人のニーズを一方的に全部引き受けていたら、誰でも参ってしまいます。
その人のニーズを多少なりとも引き受けてみようと思うのであれば、まず自分のニーズを誰にどう引き受けてもらうか、を考えましょう。このケースでは、叔母さん問題を一旦横に置いて、ご主人に甘える練習をいっぱいすることをオススメします。
(完)