どうして女性に生まれてきたの?(1)~この生き辛さはエレクトラ・コンプレックス?~

昔に比べて女性の生き方の選択肢は広がりましたが、女性が「子供を産む」性であることは変わりませんし、「子供を産む」ための身体をもつために、20代から40代にかけて「まったなし」の選択を迫られ、心がついていかずに苦しい思いを抱えることが多いです。

「結婚して、子供を産み、育てるのが女性の幸せ」と素直に思えず、「子供を産み育てるためにキャリアや趣味を犠牲にしなければならないのか」「どちらもあきらめない人生を送ることができるのか」「そんな自分を愛せる男性などいるのか」「自分はそこまで男性を愛することができるのか」「どうしていつもどちらかしか手に入らない、大切なものをあきらめなければならないと思ってしまうのか」。

妊娠適齢期という時計の音を聞きながら、思うにまかせない人生にイライラする女性は多いでしょう。今回は、エディプス・エレクトラ・コンプレックスの、特に、「女性に生まれて残念」というエレクトラ・コンプレックスに焦点をあてて、「男の子に生まれてきたかった女の子」の癒しのプロセスを解説します。女性特有の悩み方から解放されて素敵なパートナーと出会えますように。

「本当は男の子に生まれてきたかった女の子」は、つい男性と競争してしまいます。頑張り屋さんで負けず嫌いなので、男性に勝っちゃうことも多いのですが、そうすると頼れる男性がいなくなり、恋愛、結婚、出産、育児といった「子供を産む」身体をもった「女性」としての幸せをスムーズに受け取れない、という悩みをもつことになります。でも、そんな男性に対して競争心を燃やして突っかかってくる女性は、実は、心の奥底で男性を「神さま」のように高いところにおいて崇めているのです。

雇用機会均等法が施行されて30年が過ぎ、社会で女性が活躍する場がずいぶんと広がりました。未だに世界的に男女の所得格差であったり、管理職の割合であったり公平な機会が与えられていないと指摘される点は多々ありますが、昔に比べたらはるかに女性の生き方の選択肢は増えました。

それでも、多くの女性が子供を産む身体をもつために、妊娠適齢期という年齢の縛りと「子供は産まないの?」という社会の目を意識してしまうために、結婚や出産、育児と仕事や自己実現をしたい気持ちのはざまで生き方に悩みます。学生時代は男女平等だと言われながら、社会人になると良くも悪くも性差から違うルールが適応されることに戸惑うこともあるでしょう。

恋愛は、その最たるもので、これまで学校や職場で成績を残すべく頑張った人が必ずしもスムーズに幸せになれるとは限りません。「女子力がない」としょげながら、「私の人生の最大の失敗は女性に生まれてきたことかも」と本当は男の子になりたかったという悔しさをカウンセリングルームで打ち明けてくださる方は少なくありません。

学校や職場でついつい男性と競争してしまう。負けるのは悔しいけれど、勝っちゃっても、今度は周りの男性が頼りなく、弱っちく見えるだけで嬉しいわけではない。むしろ、男性にときめかなくて、恋をしたくても恋愛モードになれないのが悩みになる。「素敵かも」と思えるのは結婚できない人ばかり、となるとこの先の人生に楽しみなんかあるのか、と思ってしまいます。そんな時、ふと、「今日、私がいなくなっても世界には何も問題はないよね」と身震いするような虚しさがひたひたと押し寄せてきます。

「これだけ一生懸命にやってきたのに、こんなに実りが少ないなんて何かが間違っていると思う」、「自分には女性の幸せなんて別世界のように感じる」としたら、もしかしたら、あなたはそもそも「自分が女性であること」が残念で受け入れがたいと感じているところに悩みの根っこがあるのかもしれません。

家族、特に父親が男の子の誕生を心待ちにしていたらしいことを感じ取り、自分が女の子であるためにがっかりさせてしまったのではないかと思う(女性姉妹ばかりの家族など)、あるいは、男兄弟と女性の自分では待遇がすごく違うことに嫉妬する、などパターンはいくつかありますが、ポイントは、「私、女性であることで損をしているかも」という感覚があることです。

心理学ではこの「男性じゃなくて残念!」という観念を、父親を愛しすぎて母親を殺してしまうギリシア神話に出てくるお姫さまになぞらえて「エレクトラ・コンプレックス」と言います。男の子が、母親が大好きで父親をライバル視する気持ちを「エディプス・コンプレックス」と言いますが、それと対になる概念として、父親が大好きな女の子が母親をライバル視することを「エレクトラ・コンプレックス」と呼ぶこともありますが、ここではそんな女の子が「男の子の方がよかったのに!」と思う気持ちの方に焦点をあてて解説をします。

男性に対してやけに競争心を燃やして突っかかってくる女性が、実は、「お父さんが大好き・」、つまり「男性のことが大好き」だとお気づきでない男性は多いかもしれません。いえ、当の女性自身も気づいていらっしゃらないかもしれませんね。

でも、実は、そんな女性ほど、男性を心の奥底では「神さま」のように高いところにおいて崇めていて、実際の男性陣が彼女の心の奥にいる男性像の完璧さに見合わないことに一番がっかりして傷ついているものなのです。

そんな、男性が大好きすぎて、自分も男性になりたかったのになれず、女性としての幸せな人生を受け取りきれない、一途な女性たちが真の女性性を受け取る「癒し」のプロセスについて、この4回シリーズで解説していきます。男性もぜひ、この女ゴコロに興味をもってくださいね。あなたの天敵かと思っていた女性が、案外一番の味方になる日がくるかもしれません。

>>>『どうして女性に生まれてきたの?(2)~「弱い男は許せない!!!」~』へ続く

この記事を書いたカウンセラー

About Author

退会しました