心の絆が大切
こんにちは 平です。
あるご夫婦から、セックスレスに関するご相談を受けました。
奥さまの妊娠がわかって以来、夫婦はセックスから遠ざかりました。
さらに出産後、子育てに比重が移ると、“男と女”ではなく“パパとママ”になってしまい、セックスレスの夫婦となってしまったわけです。
それにしたがって、ご主人の中ではイライラがつのり、家庭内でも怒りっぽくなることが多くなりました。
一方の奥さまは子育てでヘトヘトになり、「その上、あなたの面倒までみられないわよ!」と、怒りに怒りをもって対抗するわけです。
このケースでは、表面的にはご主人が奥さまに性的なことについて大きな不満をもっています。「夫婦なのに‥‥」というかんじですね。
そして、奥さまに当てつけるかのように、風俗に行ったり、その店の女性の名刺が奥さまの目にふれるようにわざと洋服のポケットに入れておいたりするわけです。
で、奥さんは激怒し、いまやもう口を聞かない戦争状態。もちろん、セックスどころの話ではありません。
お二人の深層心理を探ってみると、ご主人は自分が「妻の目から見て魅力のない男に成り下がり、興味すらもってもらえない」と感じ、ひどく傷ついています。
これはどうも、彼の子ども時代に潜在意識の中にできた傷があり、それにふれた状況であるようでした。弟が生まれたとき、おかあさんに注目してもらえなくなり、淋しかったというものです。
一方、奥さまの心は、「自分はこんなにがんばっているのに、彼は手助けしてくれるどころか、自分のニーズばかりぶつけてくる。まるで、出来の悪い長男みたい!」という不満と怒りでいっぱいです。
ただ、以前のように、ご主人のことを十分に愛してあげられていないという思いもあるので、より問題はややこしくなっているわけです。
そこで、私が二人の代弁者になり、彼らが口に出して言えない感情的なストレスをそれぞれに伝えてみました。
ご主人の代弁 「たしかに、大人げない態度をすることが多いかもしれない。 また、セックスに関する不満を言葉で伝えるのではなく、いつもプンプンとした態度で示し、家庭の雰囲気を悪くしてしまった。 ただ、きみに愛してもらえないということがとても辛いんだ」
奥さまの代弁 「いろいろと手助けしてもらいたいことはあるけれど、これは母親の仕事だからと思うと、あなたに頼むことができない。 あなたがいつもイライラしているのは自分のせいでもあると思っているので、いっそう子育てが忙しいようにして見せて、それをいいわけにしてた。 ただ、あなたのひどく依存的な部分については、強い怒りを感じている‥‥」
このあと、まずご主人が彼女に詫びの言葉を伝え、それについて彼女がひと通りの怒りを発散しました。
そのあとは、彼女も自分が怒りん坊であったことを認め、二人はようやく心理的な和解をすることができたわけです。
心理的な和解や癒やしがない状態では、セックスしたとしてもただの肉体的な行為となってしまい、むしろ問題を大きくする結果しかもたらさないことがあります。
セックスは肉体でするものですが、じつは心の絆がいちばん大事な役割を果たすのです。
では、来週の『恋愛心理学』もお楽しみに!!