上司といえば、
私たちより仕事ができる
私たち部下のためを思って行動してくれる
問題が起きたときは、公平に解決してくれる
・・・はず、と思うことはありませんか?
ところが実際は、あなたの期待に添う上司はなかなかいないのではないでしょうか。
◇上司のくせに、私より仕事ができない?!
私の上司ときたら全く仕事を理解していないとか、私のほうが色々なことを知っているし、判断力もある、と思うことがあるかもしれません。
役職なんて名ばかりじゃないか、とか、私より給料をたくさんもらっているくせに、などと考えると、平気な顔をしてその役職についている上司のことが頭にくるだろうし、会社は一体何を考えているんだと思うこともあるかもしれません。
上司は部下より仕事ができるのが当たり前、と思われがちですが、必ずしもそうではないというのは、ご経験済みではないでしょうか。
例えばあなたがエクセルなど表計算のエキスパートだったとしても、上司はエクセルのエの字も知らないこともありますよね。
そんな基本的なことも知らないのか、と思うかもしれませんが、実はその代わりに、部門間の交渉事だとか、お客様の上層部との問題解決だとか、上司は上司なりのお仕事があるということはご認識頂けていると思います。役割があるわけです。
それでも上司の仕事ぶりが納得いかないという場合、その上司個人について不満を持っているように思えて、実は上司など権威を持っている人とはこんなことができて、あんなことも知っている「べき」、あるいは自分が尊敬できるほどに仕事ができる「べき」という、あなたの強い期待があるのかもしれません。
◇部下より自分のことが大切な上司なんて許せない?!
上司というものは、部下を思いやり、自分のことより部下を優先するべきだ、とのお考えの方もいらっしゃるでしょう。
確かに思いやりのある上司、いつでも部下を大切にする方は素敵ですよね。
良いと思っていた上司なのに、あるとき裏切られた、とか、だまされた、などと思うこともあるかもしれません。
例えば上司のそのまた上司から「これはおかしいじゃないか、どうなっているんだ」と指摘されたときなど、部下の誰々がそれをやることになっていまして、とか、実は私も困ってるんですよ、など、いかにも部下の怠慢が理由であるかのように言い訳しているところなどを目にすると、
なんて器の小さい上司なんだ、とか、部下を売りやがって、などと思うこともあるかもしれません。
そのような上司は一般的にも歓迎されないものかもしれませんが、上司に対する反発や落胆が自分はかなり大きいな、と思うとき、その裏では、権威ある人は私たちを守る人、私たちは守られる人、という構図を強く欲していることも考えられます。
◇デキの悪い上司だからこそ、あなたができること
この上司はデキが悪いな、と思うとき、私たち自身が権威ある立場に対して持っている「期待値」と、「実際の上司」との差が目に余るということなのかもしれません。
そしてその差をうめるためには、期待値を下げる(あきらめる)か、上司の能力を上げるのか、どちらかだと思うことがあります。
ところが、第三の選択肢もあるようです。
それは、上司への期待値と実際の上司との差を、あなたにも埋められるというものです。
なぜ自分が上司を助けるようなことをしなければならないのか?と、不満に思う方もいらっしゃるかもしれません。
自分は自分の仕事で手一杯だと思うこともあるでしょう。
しかし、上司がやるべきことと、できていること、この二つの差を認識できるというのは、それだけでもあなたの才能です。
そして、物事を実行できるのは、やるべきことを認識した人だけではないでしょうか。
実行といっても、あなたが上司のかわりにあれこれと交渉したり会議に出たりする必要があるわけではありません。
やるべきと思うことを上司がやりやすくなるように、あなたが手を差し伸べてみることもできるかもしれない、という考え方なのです。
それは上司をサポートすると言えるかもしれません。
こうやったらいかがでしょうかと提案することかもしれません。
あるいはお手伝いを申し出ることかもしれません。
上司を思い通りにコントロールしようとするのではなく、その人がうまく動けるように働きかけると言えるでしょうか。
上司に「やってもらうのが当然」という受け身の意識から、どうやったらやってくれるだろうかと自分が工夫する、という自分事に置き換えることとも言えるかもしれません。
そうすると上司のデキが悪いから私の気分が悪い、という被害者の意識も薄まっていくでしょう。
私の才能を使うことで上司も喜び、上司がうまく立ち回れるようになれば私(あるいは周囲の人たち)も喜ぶ、という、「ともに勝てる」方法を率先して取りに行けば、あなたのストレスも軽減されるのではないでしょうか。