こんなオレを愛してくれる人などいるわけはない
こんにちは 平です。
ご相談におみえになった彼女のパートナーは、それはそれは疑い深い人でした。
彼女の言うこと、することを逐一、疑っては、最後は「こんなオレを愛してくれる人などいるわけはない」と自分への疑いに行きつくというのがいつものパターンです。
彼はお坊ちゃまで、じつはなかなか爽やかなタイプです。
ただ、優秀なお兄さんがいて、いつもそのお兄さんと自分を比べてしまうのですね。
そして、自分はすべてにおいて劣っている、「兄一人いれば、こんな出来の悪い自分はいなくたってよかったと親は思っているはず」などと思っているようなのでした。
つまり、劣等感が非常に強いタイプといえますが、このタイプの人は人から離れよう離れようとするものです。
こんな自分を知られてしまうと、人は必ず自分を嫌うという信念があるからです。
たとえれば、あなたが酔っぱらって、生ゴミ置き場で転んじゃったときのようなもの、といえばいいでしょうか。
いやなニオイがついてしまったら、当然、人から離れたいと思いますよね。
同じように、劣等感の強い人は、「こんな自分は人の迷惑になるし、嫌われてしまう。であれば、できるだけ人から距離をとろう」と考えるわけです。
そんな彼のことを、彼女はまったく違う目で見ているわけです。
しかし、彼は自分の世界観を信頼していますから、彼女の気持ちをまったく信頼しようとしません。
もちろん、彼のご両親や友人たちも、彼女と同じように彼を愛しています。が、そのすべてを受け容れられない彼は、なにかと孤立してしまうわけです。
この彼のようなタイプの人のことを、私は“野良犬タイプ”とか“野良猫タイプ”と呼んでいます。
怯えきった野良犬や野良猫には、何度も何度も時間をかけてちょっとずつ近づき、心の距離を縮めるということなしに、手なづけることはできませんよね。
つまり、この彼のようなめんどくさいタイプを好きになった人は、あきらめずに何度も何度もチャレンジする必要があります。
もちろん、何度も何度も否定され、拒絶されるでしょう。
さらに、最後の最後、「だれも僕を愛してくれない」と思い込んでいる世界から彼が脱出を図る際には、たいてい、大暴れをします。
「なんで! こんな最低なオレを! 愛せるんだよ!! なわけねぇだろうが!!!」、と。
このことは、ぜひ、先に知っておいていただかねばなりません。そうでないと、「ここまでがんばったのに‥‥」とあきらめてしまう人もいるかもしれませんからね。
じつは、効果があったゆえに、彼は大暴れをするのです。
つまり、「ほんとうに、ほんとうに、信頼していいのか?」、「期待して、裏切られて、また嫌われるということは、オレには耐えられないぞ。ほんとうなのか?」と言わんばかり。
「こんな最低なオレでも、ほんとうに失望せず、愛してくれるのか?」と問いかけるがごとく、彼は、いちばんいやな自分をあなたに見せるわけです。
このとき、あなたが淡々と「ほんとうにつらかったね」とか「一人じゃなくて、これからは二人で行きようね」なんて言ってあげることができたら、彼は泣き崩れてしまうでしょう。
“成功へのプロセス”と私たちは言いますが、劣等感が強い人とつながるときは、このようなプロセスがあるのが常です。
自分を信頼できないパートナーの分まで、あなたが信頼してあげることが必要なのですね。
では、来週の『恋愛心理学』もお楽しみに!!