燃え尽きてしまわないように。動機を考え、自分で選択する。
罪悪感の補償行為として、良いことを間違った動機でやり続けていると、どんどんと疲れてしまうことになります。
やっていることが良いことなだけに、なかなかそのことに気づきにくいですし、やめられないというのが、補償行為の特徴の一つでもあります。
そうは言っても、燃え尽きてしまうまえに、補償行為を減らしていくことができればいいですよね。
***
罪悪感というのは、誰かに対して申し訳ないことをしたという、わかりやすいものだけでなく、やれることをやっていないと自分を責めている罪悪感や、自分は汚れているというような罪悪感もあります。
意識しているものだけではなく、潜在的に抱えているものがとても多く、自分でも気付いていない罪悪感というのが大半なのかもしれません。
罪悪感は「私は悪い人間だ」「私は迷惑な人間だ」「私はダメな人間だ」というような、自分を責める気持ちを作ります。
そして、自分がそのような人間だと周りにばれてしまうと、「きっと攻撃される」「責められる」「バカにされる」という怖れも同時に作り出してしまいます。
そんな悪い(と思い込んでいる)自分がバレないように、良い人、役に立つ人、素晴らしい人になることで、補償する行為が補償行為です。
しかし補償行為は、やってもやっても報われることがないので、疲弊してしまうのですが、やめることができません。
補償行為をやめてしまうと、隠している罪悪感が出てきてしまうからです。
ですから、補償行為を減らしていくためには、自分が抱えている罪悪感と向き合っていく必要があるのです。
補償行為をやめるというのではなく、減らすというように表現したのは、私たちは、とても多くの補償行為をしているものだからです。
また、ひとつの行為に対して、全てが補償行為というわけではないものです。
誰かのためや、自分自身が本当にやりたいからやっているということもあります。
ただそこに、罪悪感を補償しようとする度合いがどれくらいあるのかによって、疲弊してしまう度合いが違ってきます。
罪悪感をどのような出来事や、誰に対してもっているのかを探っていき、そこにある誤解を解いていき、謝罪すべきは謝罪していくことや、自分の言動を変える必要があるのであれば、変えていくことも大切です。
罪悪感そのものと、じっくり向き合って、罪悪感を減らしていくことができれば、おのずと補償行為をする必要もなくなっていきます。
でも、やってみるとわかるのですが、そう簡単に罪悪感を減らしていくということができるわけではありませんし、次から次へと罪悪感が出てくるという経験をされた方も少なくないものです。
そこで、補償行為を減らしていくために、もう一つの方法をご紹介しておこうと思います。
何か行動を起こすときに、その動機を意識するのです。
「それをすることが、自分の喜び?」
「それをすることが、楽しみ?」
「それをすることが、心地よい?」
そうでないのであれば、罪悪感からの補償行為の度合いが強いのかもしれません。
その行為の中に、自分の喜びや、楽しみや、心地よさを探してみてください。
きっとあるはずです。
そして、無意識的にその行為をするのではなく、意識的に喜びや楽しみ、心地よさに注目して、自分が選択した結果としてやってみる。
自分に選択肢を与えてあげると思って下さいね。
元になっている罪悪感を減らしていくことも大切なのですが、無意識的にやっている補償行為の動機を変えていくことで、補償行為自体を減らしていくことができるのです。
かなり練習が必要ですが、やってみる価値はあるのではないかと思います。
(完)