相手をオリにでも入れておかないと、逃げられると思った?
こんにちは 平です。
彼は良家のご子息です。
勉強さえしていれば、あとは母親とお手伝いさんがなにもかもしてくれるという恵まれた家庭環境で育ちました。
かなりの人見知りで、大学は国立の理系、さらに卒業後は研究職へと、あまり対人関係を作らなくてよい道に進みました。
そんな彼ですが、身長が高く、ガタイがよく、それなりのイケメンなので、いかにも彼女がいそうなタイプに見えます。
が、じつは人生で一度も女性とつきあったことはありません。
合コンに行ったこともあるのですが、上手にしゃべれないうえ、すぐに照れてうつむいてしまうだけのヘタレなのでした。
しかし、あるときこの彼が、同じ会社の7つ年上で、バツイチの女性と恋に落ちたのです。
彼女は彼をはじめ後輩の男性たちをまるで弟か息子のように扱いました。
そして、「おい、きょうも飲みにいくぞ!」と彼らを引き連れ、夜な夜な繁華街に繰り出すわけです。
女性に対してまったく積極性のない彼は、このぐらい強引な相手でないと、接点を作ることもありません。
しかも、彼女が男まさりだったので、彼もあまり照れることなく、男同士であるかのようなつきあいができたわけです。
ところが、ある日、他の同僚が仕事などで都合がつかず、彼と彼女の二人だけで飲みにいく機会がありました。
そのとき、奇しくも彼女の女性らしい部分を垣間見て、彼は恋に落ちてしまったのです。
その当時、彼女は別れたご主人に未練があり、執着もあり、なんとかヨリを戻せないかと考えていたようでした。
しかし、元ダンナさんにはすでに新しい彼女がいて、だいぶそっけなくされていたようなのです。
たまたま彼と飲んでいたとき、その元ダンナさんから「もう迷惑だから、連絡してこないでください」というメールが来て、激しく落ち込んだ彼女は思わず泣いてしまったのです。
彼女はすっかり弱気になっていて、「私のように女らしさのないオヤジ女子を好きになってくれるのは、別れた主人ぐらい」と思い込んでいました。
その彼女をなぐさめたくて、「そんなことないです。先輩は魅力的です。僕は先輩のことが大好きですよ」と彼は言いました。
すると、「じゃあ、私のことが抱ける?」と、そんな気もないくせに、彼女は彼に迫ってきたのです。
で、それまで、彼は彼女のことをそんな目で見たことはなかったのですが、「なんの問題もありません。先輩は魅力的です」ということで、その夜、二人はデキちゃったわけです。
そこから、彼が彼女にのめりこんでしまったんですね。だって、初めての恋で、初めての体験だったわけですから。
一方、彼女は「一夜の間違い‥‥」と自分のことを責め、彼から逃げ回ります。
で、燃え上がった彼は彼女のストーカーのような状態になったわけですが、考えてみれば、ちょっと前までは、彼女が元ダンナさんのストーカー状態だったわけですよね。
そんな彼女に友だちがこう言ったのです。
「そんなに好きだって行ってくれる若造がいるなら、つきあってみるとか、同棲してみるとかしてもいいんじゃないの? どうせバツイチなんだから、失うものもなにもないでしょうに」
その言葉に乗せられ、つきあうことにすると、その途端に彼がプロポーズしたのです。
この彼女の場合、オリにでも入れておかないと、逃げられると思ったのでしょうね。
しかし、そのころには彼女も同じようなことを考えるようになっており、なんと、二人は電撃結婚する運びとなったのです。
当然ながら、結婚してから二人は互いの違いを埋める作業に追われました。
日々、ケンカをしたり、けっこう大変だったわけですが、結婚という絆があったおかげで、二人の間の溝はどんどん埋まっていきました。
まわりの人も心配した二人の結婚でしたが、彼らにとっては、結婚という形を取ったことが、大きな安心材料になったようなのです。
では、来週の『恋愛心理学』もお楽しみに!!