禁止や命令は、望むことと反対の態度を作り出す
「〇〇禁止!」と言われると、余計にその○○に欲求を持ってしまうということがあります。
また、「〇〇しろ!」と命令されると、一時的には緊張状態になります〜命令に従うかもしれませんが、しばらくすると反抗心が芽生えてしまうものです。
上手に自分の願いを伝え、トラブルを減らすにはどのように表現すればいいのでしょうか。
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今回、担当させていただく大門昌代です。どうぞ、よろしくお願いします。
この記事を書かせていただいている今、新型コロナウイルスの影響で、緊急事態宣言が発令され、外出の自粛要請により、「家に居ましょう」ということが叫ばれています。
「外出禁止」ではなく「家に居ましょう」
意味合い的には、ほぼ同じなのですが、心理的には大きく違います。
私たちの心というのは、禁止されると欲求が増すというやっかいな働きがあります。
つまり、外出を禁止されると、外出したい欲求が増すわけです。
でも、「家に居ましょう」とか「家に居てくださいね」とお願いされるスタイルだと、外出したいという欲求が、禁止されるよりは出にくいのです。
しかも、命令されると緊張状態になることが多いですから、ビシッ!と言うことを聞くかもしれないのですが、緊張は長続きしないので、だらけてしまいます。
ですから、「家に居なさい!」と命令されると、緊張状態になるので、短期間だと家に居ることができるのですが、長続きしなくなってしまうのです。
だから、「家に居ましょう」とか「家に居てくださいね」というのが、心理的には長続きする言い方ですし、外出したいという欲求を多少なりとも抑えられる言い方なのですよね。
さてさて、これは「家に居ましょう」だけに言えることではありません。
例えば、恋愛で友達から「あの人はやめておきなさいよ」と言われれば言われるほど、恋心が燃え上がってしまうなんてこともあります。
これは、一概には言えませんが、禁止された結果、欲求が大きくなる一例だったりします。
不倫の恋なんていうのも、禁止されているからこそ燃え上がるなんていう側面もあります。
また、学生時代に校則で、「〇〇禁止」なんていうのも多々あったかと思いますが、禁止されれば禁止されるほど、校則違反をしたくなってしまった経験があるという方のお話しをお伺いしたこともありますが、これも禁止されたがゆえに、欲求が増してしまった一例かもしれませんね。
例えば、「あなたは、私を助けるべきよ!」なんて言うのは、そのつもりはなくても命令のジャンルに入るかもしれませんね。
そうすると、一瞬は緊張状態により、あなたを助けてくれる人もいるかもしれませんが、おそらくそれは長続きしません。
「挨拶しろ!」とか「礼を言え!」なんて言うのも、礼儀や社会的常識という点から言えば、必要なことであったとしても、命令されると、イラッとしてしまうことも少なくありませんし、その後、自発的に実行しようとはなかなかなりづらいものです。
命令されて気分がいい人はそんなにはいらっしゃらないかと思いますので、「命令された」という怒りや不満を持ってしまうことだってありますから、のちのち反抗したくなるものなんですよね。
ですから、例えば友人があまり推奨しないタイプの人との恋愛にのめりこみそうだから気になると言う場合は、「あの人はやめておきなさいよ」と禁止するよりも、「あなたのことを大切にしてくれる人と、お付き合いできるといいね」「あなたの幸せを応援させてね」などのように言う方がいいのではないかと思います。
また、「不倫はダメ!」よりも(そりゃダメなのですけどね)、「あなたとの関係をよりよくしたいと思っている」というように、どのような状態を望んでいるのかを、伝えるといいのではないかと思います。
また、「〜すべき!」と命令ジャンルの言い方ではなく、「〜してくれると嬉しいな」とか「〜してもらえると助かります」というように、お願いスタイルに変更したほうが、相手を緊張させなくてすみますから、長く実行してもらいやすくなります。
「禁止は欲求を生む」
「命令は反抗したくなる」
ちょっと覚えておいていただけたら、日常生活でも活用してもらえるのではないかと思います。
簡単ですけれど、参考になりましたら幸いです。
ありがとうございました。
(完)