転機を乗り越えるコツ

人生において様々な転機があります。
転機が新しい人生の出発点になることもあれば、大きな危機となることもあります。

就職や結婚など自ら決めた転機であっても、大きな変化に心がついていかない時があるので、自分が予期していなかった転機であればなおさら戸惑ってしまいます。

「これからどうなるかわからない」「この先、どうすればいいかわからない」といった先の見えない不安な状態は、人の心に暗い影を落とします。

しかし逆に言うと「どうすればいいか」という見通しが見えれば、それだけ不安を抱えずにすむことになります。

今回は、心が不安定になりがちな転機を、上手く乗り越える手法の一つ「シュロスバーグの理論」をご紹介します。

==========

【ステップ1】 転機を見定める

転機が次の3つのうちのどれに当てはまるかを見定め、転機を客観的に認識します。
①予期していた転機(就職、転職、結婚など)
②予期していなかった転機(失業、病気など)
③予期していたものが起こらなかった転機(期待通り昇進できない、満足できる就職先が見つからないなど)

==========

【ステップ2】 リソースを点検する

「リソース」とは、転機がもたらす変化を乗り越えるために利用できる力(資源・資産)のことです。
このリソースを点検することで、転機を客観的に見つめ、乗り切るために具体的な行動計画に繋げます。
点検するリソースは「状況(Situation)」「自分自身(Self)」「支援(Supports)」「戦略(Strategies)」の4つで、シュロスバーグの理論では「4S」と呼ばれています。

①状況(Situation)

自分にとって転機がどのようなものであるかチェックします。

・この転機は自分が予期していたことか?想定外のことか?
・転機の原因は何か?
・過去に同じような転機を乗り越えた経験はあるか?
・この転機が起きたタイミングは良かったか?悪かったか?
・転機は一時的なものか?長く続くものか?
・自分はこの状況をプラスと見るか?マイナスと見るか?
・転機に伴うストレスの大きさは?
・転機に対して自分がコントロールできるところがあるか?それはどこか?

②自分自身(Self)

自分の性格や価値観がどのようなものであるかをチェックし、転機に活用できる自分の内面的資質を探ります。

・将来、自分はどうしていきたいと思っているのか?
・自分にとって、仕事はどのようなものか?
・仕事やプライベートのバランスをどう考えているか?
・自分は全般的に変化に対して立ち向かう方か?圧倒される方か?
・自分は変化に直面した時、それをコントロールできると思う方か?
・自分の現在の興味、スキルは何か?
・自分はこれまでどんな経験をしてきたか?
・自分の人生にとってこの転機はどういう意味があるか?
・この転機に自分の興味、経験、スキルは活かせるか?

③支援(Supports)

転機に関して、どのような支援がどれくらい得られる可能性があるのかをチェックします。

・自分が必要とする支援をしてくれる人はいるか?(上司、同僚、家族、友人など)
・精神的な支え、励まし、応援をしてくれる人はいるか?
・必要な情報、知識を得る手段はあるか?(学ぶ機会や人脈など)
・自分が利用できそうな公的機関や民間機関の支援はないか?
・必要となった場合、経済的支援など実質的な支援が得られるか?
・この転機によってこれまで得られた支援の機会が得られなくなる、または減ってしまう支援はあるか?

④戦略(Strategies)

状況、自分自身、支援を把握した上で、転機に対してどう対処するかの基本方針を立て、それをチェックします。

・転機への対応として考えられる手段・方法はできる限り検討したか?
・転機の持つ意味について、いろいろな視点で捉えてみたか?
・転機による精神的なストレスの軽減を検討しているか?
・いろいろな戦略を使っているか?
・転機の持つ意味を変えようと試みたことはあるか?
・目の前の課題に応じて戦略を変えることができそうか?

==========

【ステップ3】 変化を受け止める

転機を乗り切るための戦略を立て、そのためのリソースを強化し、自分にあった戦略(成功が期待できる戦略)を選び取り、行動計画を立てます。

==========

ステップ1とステップ2を通して、自分の転機の状況を客観的に捉えやすくなりますし、転機に使える資源が何か、必要な資源は何かが見えてくると思います。
それが見えてくると、転機に対して「どうすればいいか」が見えてくるので、変化を受け止め、対処できるようになるのです。

新型コロナウイルスの影響で、予期しない転機を迎えている方も多いと思います。
不安や恐れに飲み込まれないためにも、この手法で変化を乗り越えるために利用できる力(資源・資産)を探してみてくださいね。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

大学卒業後、地元企業に就職し、デザイン・経理・総務・秘書・営業事務等の業務を経験。不惑にしてカウンセラーを目指すために転職。離婚も含めた人生経験をベースに、楽になる物事の受け止め方を提案する。生き方やライフワーク、メンタルヘルス、パートナーシップ全般の問題を得意とする。