コンプレックスと魅力はコインの裏表
コンプレックスがあると自己攻撃と自己嫌悪がセットでついてきます。これを他者に投影するので、常に恐れと不安を抱えることになります。誰かの期待に応えられなくて自分を嫌ったのですが、コンプレックスはその人らしさのエッセンスで、本来、魅力の源泉なのです。
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こんにちは。
カウンセリングサービスのみずがきひろみです。
コンプレックスって辛いですよね。コンプレックスを抱えていると、自分を「いいもの」だと思えなくて、必要以上に頑張らなければいけないように感じたり、逆に投げやりになってしまったりで、落ち着いて、自分らしく自然体で生きられません。
頑張っているのに、うまくいかない。努力が空回りしているとしたら、コンプレックスに引っかかって、自分の才能や魅力を効果的に使えていないのかもしれません。
このシリーズでは、「コンプレックス」という心の罠を知ることで、その下に眠る「ギフト(天性の才能や魅力)」を発揮できるように応援したいと思います。
● コンプレックスと劣等感
私たちは、誰しも、心の中に無数の葛藤を抱えています。この葛藤を「コンプレックス」と言います。正反対の気持ちがある、「複雑」なココロ。
欲しいけれど、欲しくない。
やりたいけれど、やりたくない。
なりたいけれど、なりたくない。
愛しているけれど、憎い。
そんな正反対の気持ちがいつもぶつかり合っているとしたら、どの部分の自分を信じたらいいのかわからなくなります。自分を疑い、自分を責め、自分を嫌い、自分を攻撃するので、他者も、同じように自分を攻撃するのではないかと不安と恐れでビクビクしてしまいます。
自信が持てないので、人と自分を比べては劣等感を感じます。それがあまりにしんどくなると、今度は自分の方が優れているところを探しては優越感を持とうとしますが、どちらにしても、常に人と競争しなくてはならないので、それでは心は安らぎません。
まずは、相反する気持ちが自分が中にあること、葛藤があることを「良し」としましょう。「ある」ものは、あるんです。きっと「ある」必要があって「ある」のだ、と整理します。
● 「愛されたい」と思ったから「自分」を嫌った
コンプレックスがあれば、必ず、自己攻撃と自己嫌悪がセットでついてきます。
でも、なぜ、そんなに自分のことを嫌ったのかといえば、それは誰かに「愛されたい」と思ったから、なのです。
例えば、A子さんは、子供の頃から頭抜けて背が高い、のっぽな女の子でした。赤ちゃんの頃、おくるみから足が突き出てしまうので、お母さんは、「検診で病院に行っても、この子だけヒョロっと足が出ていて恥ずかしかったわ」と笑い話にしていました。親戚や知人からも、
「大丈夫?女の子がそんなに背が高いと、釣り合う男性がいないかもしれないよ」、
「デカい女は結婚できないから、スポーツ選手になるか、モデルになるかしか道がないぞ」、
などと言われて、背が高いことは女性としてあまりいいことではないのかもしれないと思い始めます。
「こんなに背が高い私は、男の子に好きになってもらえない」。
そう思い込んだA子さんは、中学生になる頃には、いつも下を向き、肩を丸めて、内股で歩き、自分を小さく見せるようになりました。人と目を合わせる時も、下ろした前髪の奥から、下から上へと見上げるようにします。
「デカい女は可愛くない」。
「可愛くない女は、愛されない」。
「愛されたいから小さくならなきゃ」。
とデカい自分を嫌い、本来の自分とは反対の、「小さな」、「可愛い」自分になろうと涙ぐましい努力をしていたのです。
もともと、華やかな顔立ちで、大柄な身体つきもあって、明るく社交的で目立つタイプのA子さんなのに、ファッションも、行動も、目立たないように、控え目になっていました。
でも、デカい自分を受け入れたら、A子さんはセクシーなファッションにもチャレンジできるようになり、本来持っている豊かなセクシャリティが溢れてきました。恋愛でも仕事でも、ユーモア溢れるA子さんの魅力が発揮されて、そんな明るい、溌剌としたA子さんを大切にしたいと思うパートナーとも出会うことができました。
コンプレックスは、「その人らしさ」が宿るところ、です。そして、「その人らしさ」こそが、その人の「魅力」なのです。
「愛されたい」がゆえに、自分の愛されポイントでもある「魅力」を抑え込んでしまうのは、とても切ないので、ぜひ、「コンプレックス」は「魅力」のあるところだ、ということを覚えておいてください。
「コンプレックス」と「魅力」は、同じコインの裏表、ですよ。