ハードワークというのは、ものすごい努力や勤勉のことで、ハードワーカーはものすごい努力家・勤勉な人をいいます。
ハードワークをしている方は、忙しいけれど充実した毎日を楽しんでいるとしたら、それはそれでいいことです。
ところが、あまりのハードワークのために、いつの間にか家庭が崩壊したり、体調を崩したり、眠れなくなって気分が落ち込みやすくなっているとしたら、それはどうにかすべきではないでしょうか。
ところがその本人が、ハードワークはやめたいけれど、やめられない理由があるんだと言って、無理を続けることがあります。
その理由は、今やめたらみんなに迷惑がかかるとか、家のローンもあるし子どもにお金がかかるとか、老後の心配があるなど、どれももっともなことばかりなのです。ということは、ハードワークをやめるのは無理なのでしょうか?
実は心の面から言うと、ハードワークをやめられない理由は、別のところにあるのかもしれません。
◇なぜハードワークを始めた?
そもそもハードワーカーの皆さんは、なぜハードワークを始めたのか覚えていらっしゃるでしょうか?
子どもの頃から勤勉だったという方もいらっしゃるかもしれません。そういう方は、ハードワークが好きなわけではないけれど、努力をし続けることが自分としては「しっくり」きたかもしれません。
あるいは、たいして仕事に興味はなかったけれど、何かのきっかけで集中的にやってみたら楽しくなったということもありますよね。
例えば頼りになる先輩が急に辞めてしまい、仕事が終わらず毎日残業続きで大変だったけれど、ハードワークをしてみたら意外と楽しかった、と感じたかもしれません。
定時に帰るのは気が引けるな〜と思っていたり、毎日仕事が終わらず、私ってデキナイ女だわ、なんて自分をダメ扱いしていたとしても、何かのきっかけで残業が増えたり、それにより仕事をきちんと終わらせることができたりで、嫌な気分を味わわなくて済んだかもしれません。
ほかにも、早く家に帰っても何もやることがないとか、彼氏と別れたばかりで寂しいとか、実家とのいざこざを考えると苦しいとか、色々なネガティブな感情を感じることが、「いま仕事で忙しいから後にしよう」と思っただけで、楽になることがあるのです。
朝から晩まで仕事のことを考えていたら、ハードワークをしていなかった時代にいつも頭に浮かんでは消えていたネガティブな感情を感じる時間が、激減したりします。
これはどういうことかというと、ハードワークの始まりは、いつものネガティブなことを考えなくて済むから楽だという、ポジティブな心持ちであることが意外と多いかもしれないということです。
◇ハードワークをやめられない心
ということは、もしハードワークをやめてしまったら、またあの頃のように、ネガティブな感情を感じなければならないだろうという怖れが、心の奥でうごめいていると考えることができます。
寂しさや、自分は役に立っていないという思い、やるべきことをやっていない思いなど、本当はもう感じたくもないのです。
あんな気持ちをまた感じるくらいならば、ハードワークでかき消しているほうがよほど楽だと、あなたの心が言っているのかもしれません。
しかしこれは、潜在意識や無意識と呼ばれる「心」が言っているので、無自覚なのです。
顕在意識(頭)ではやはり、「責任があるとか、お金の心配があるからやめられないのだ」と思っている場合があるのです。
もちろん責任もお金の心配もウソではありません。ただし、究極的なことを言ってしまえば、多くの場合、子どもたちや老後の資金も、あなたがなんとかしなければ地球が終わってしまうほどのことはありませんよね。
当たり前だろと思われるかもしれませんが、実はここが大事なところであって、なんとかしなくても大丈夫にも関わらずあなたがやっているとしたら、それはあなた(の心)が「やりたくてやっている」と考えることもできるのです。
◇どうすればやめられる?
ネガティブな感情を感じたくないためにハードワークをしているとしたら、あなたにとってハードワークとは痛み止めのようなものかもしれません。
お腹が痛いときには、痛み止めの薬を飲み続けるよりも、お腹が痛くなった原因を治すほうが大切です。
心も同じで、ネガティブな感情を持つようになった原因に目を向けることが必要かもしれません。
心理学では「つながりが全てを癒す」と言ったりします。
大切な誰かと心がつながることをあきらめてしまっていないか、自分に聞いてみることも大切です。
ハードワークでしか解決できないと思っていたことが、誰かともう一度つながりを取り戻すことによって、想像もしていなかった方法で解決し、あなたのよりよい人生や生きる喜びが手に入るきっかけとなるかもしれないのですから。
あなたの心と体と人生を大切にするために、ハードワークを見直すきっかけになりましたら幸いです。