投影から見えてくる「疑い」の奥にある感情とは
こんにちは。
カウンセリングサービスの近藤あきとしです。
「誰とつきあってもパートナーのことを疑ってしまうんです」という人のご相談を受けることがあります。
たまたま彼のスマホを見たら、会社の後輩の女の子と飲み会に参加している写真があって
「もしかして浮気してる?」
という疑いがムクムクと湧いてきて居ても立っても居られなくなってしまうんです。というお話を聞くこともあります。
すると、つい頻繁に彼のスマホを見たり、行動をチェックしたくなりますが、そんなことをするほど彼は「自分は信頼されてない」と思いますので多くのカップルの関係性は悪い方へ向かいます。
ですが同じ状況でもまったく疑いを持たない人もいます。それはどうしてでしょう?
私たちの心の働きの一つに「投影」と呼ばれるものがあります。
これは自分の心の中で感じていることを、相手も「同じように感じているはずだ」と思ってしまうことです。
映画にたとえるなら、映写機のフィルムが『自分の心の中』で、それをスクリーンという『目の前の相手』に映し出していると考えるとイメージしやすいかもしれません。
すると、目の前の相手の気持ちだと思っていたものが、じつは自分の心が作り上げたストーリーが投影されていたのだと分かるのです。
その上でもう一度、疑いの気持ちの奥に何があるのかを見てみると、じつは自分の方に、
「私も素敵な男性に優しくアプローチされたら浮気してしまうかもしれない。情熱的に誘いかけられたら断り切れないかも」
などの気持ちがあったことの投影だと気づくことができます。
■恋愛ストーリーは自分で作っている
こうした状況へ「私には彼から愛されるほどの魅力があるの?」という自分への疑いが重なると、さらに嫉妬と不安が増して苦しくなってしまいます。
彼を愛する気持ちよりも、彼を疑う気持ちが勝ってしまうからです。
しかしながら、当然ですが彼には彼なりの気持ちがあるわけで、あなたが想像したような気持ちばかりではないはずですよね。むしろ投影していた感情とは全く違っていても不思議ではありません。
なにしろ彼があなたとおつきあいしているのは、あなたの素晴らしい部分が他の誰より見えるからです。世界中の誰よりもあなたが魅力的だから恋人でいたいわけです。
にも関わらず、あなたが彼との恋愛のストーリーの主役になれるほどの魅力がないと信じてしまった分だけ、
「もう私のことなんか愛してないんでしょ」
と疑うことで、自分を悲劇のヒロインにしたり、主役でなく途中で消えていく脇役にしてしまったり、彼をヒーローではなく「後ろ足で砂をかけて去っていく最低の男」にするストーリーにしてしまうのです。
■愛されるにふさわしくない?
あなたの一番の疑いは「彼に愛されていない」ですよね。ちょっと想像していただきたいのですが、
「私は愛されるにふさわしくない」と感じた瞬間、あなたは彼を愛したいと思えるでしょうか?
おそらくできないですよね。となると、あなたは心の中に彼に向ける愛が無いことを感じます。
すると今度は「彼を愛そうとしていない私を、彼が好きになるはずがない」と思うのです。
そこでこの言葉が出てくるんですね。「もう私のこと愛していないんでしょ」
元をただせば、あなたの中の「私は彼から愛されるにふさわしくない」という思いから始まっていたのに、「彼が私を愛さなくなった」という結論に結びつけてしまうのです。
もっともこの一連の流れは一瞬で結論へ到達するので自覚するのはかなり難しいのですが。
ただ、彼への疑いや嫉妬や不安をそのまま相手のせいだと思って彼に当たってしまうと、間違いなくケンカになってしまいます。
運よく仲直りしても、あなたが過去と同じストーリーを持ち続けていたら、今度は彼の行動を監視するようになってしまうかもしれません。
そうして疲れ果てた彼が離れていってしまえば、結果的には最初の「愛されるにふさわしくないストーリー」と同じになってしまうのです。
■受けとることがストーリーを変える
一番の問題は、あなたが愛されるにふさわしい存在だから彼はあなたを愛している、という彼からの愛を受けとれていないことです。
彼があなたの素晴らしい部分を見ていて、あなたは自分が愛されるにはふさわしくないと思っていたら、お互いに見ているものが違いすぎて上手くいかないのは無理もないことです。
あなたに必要なのは彼を疑うことでも、彼を監視することでもありません。
必要なのは「私は愛されるにふさわしくない」という思い込みを手放すことです。
パートナーが送ってくれている愛を、あなたの方が叩き落としていないか?受け取り拒否をしていないか?もう一度見直してみましょう。
疑いではなく、パートナーの愛にフォーカスしてみること。そして意識的に受けとるという選択をしてみてください。
今あなたの周りにある幸せを受けとることから「幸せな恋愛」というストーリーが始まるのです。
(完)