魅力的な人は本当の目的に気づいて毎日を過ごしている
さて、いわゆる「魅力的だ」と思える人ほど、本当の目的を持って毎日を過ごしている人が多いといえます。
この「本当の目的」は「ヴィジョン」と言い換えることもできます。
ヴィジョンとは、自分の心が「そこに行きたい」「こういった世界が見たい」と思う目標のことです。いわゆる〇〇がほしいといった欲求や頭で考えた目標ではないんですね。
例えば、「今のパートナーをここから愛せる自分になりたい」「〇〇で社会に貢献したい」「自分のお店を持って地域に貢献したい」「人の笑顔に貢献する仕事に尽きたい」など、「それが自分の喜びだ」と感じるような目標、といえば分かりやすいでしょうか。
このヴィジョンを生きている人は、活力に溢れ、与える・貢献するという意識が強く、充実感を得やすい状況にありますから、自然と魅力的だと(自分も他人からも)感じやすくなるものです。
○「本当の目的を生きる」についての一考察
さて、私たちが本当の目的を生きようと考えた時、比較的よくハマる罠があります。
それが自分自身が描く「理想的の自分像と今の自分との比較」なのですね。
もちろん「理想的な自分像」を持つことは決してネガティブなことではありません。
そもそも私たちの目的設定は、より大きなものであればあるほど効果が高いと言われています(ただし自分自身で実現可能性のある目的に限る)
だから、理想的な自分像を持ち、向上心、向学心を持ちつづけること、誰かを愛したいだとか、貢献したいという思いを持つことは素晴らしいことです。
ただ、それが今、実現できていないと感じたときってありますよね。
理想の自分になりたいけれど、でも今はそうなれていない、などと「理想的の自分像」を使って自分を責めてしまうと、なかなか「本当の目的を生きる」ことが難しくなり、魅力的な自分から遠ざかってしまいます。
ここでは「自分があるべき姿」ばかり見つめるのではなく、今の自分を見て、受け容れ、理想的な自分像とうまく付き合っていくことが求められます。
その上で、自分自信が「どうなりたいか」「何を表現したいか」を実践していくと魅力はもっと輝きはじめます。
○本当の目的を思い出し、より魅力的になった人の事例
Cさんはとても仕事が出きり自立的な女性で、とても向上心が強い人であり、常に「こうありたい」という高い目的意識を持っていました。
ただ、そのCさんは常に自分に厳しい人でもあり、その影響で職場でトラブルを抱えていたのです。
それが「Cさんはいつも自分の基準で要求するし、人を判断する」という周囲からの批判でした。
いわばCさんはできる人だったので「周囲も自分と同じようにできるはずだろう」と思い込み、それを要求していましたし、周囲のことも「そんな適当なことでは信頼できない」と感じ、同僚やチームとの連携をあまり積極的ではない傾向があったのです。
その影響で、職場での人間関係がギクシャクしていましたし、Cさん自身の評価もあまり芳しいものではなかったそうです。
Cさんはこうおっしゃいます。
「チームで動くことを考えるということは、私が妥協すればいいということなんでしょうか。だとすればとても納得できません。」
実際、このような状況で「Cさんが周囲に対して妥協すること」で状況が良くなる可能性は低いのですよね。むしろそのようなことをすればCさんも周囲にも我慢や不満がたまるだけで、軋轢の原因が取り除かれるわけではないことが多いものです。
本当のテーマは「Cさんがいつも今の自分と理想的な自分像を比較し、今の自分を認めていなかったこと」にあったのです。
Cさんはいつも「今の自分に甘んじない」という姿勢を持つ人でした。が、あまりに今の自分を受け容れ認めていなかったがために、「理想的な自分像(こうあるべき自分像)」を使って、自分を責め、更に人に同じことを要求していたというわけです。
だから、周囲との調和を「私が妥協するということか」とお考えになったわけですね。
このとき、Cさんはこんな言葉を聞くことになります。
「あなたの理想的な自分像、否定されるべきことではありませんよ。あなたはどんな目的で理想的な自分になろうとされているのでしょうか。」
理想的な自分になることが持つ本当の意味を思い出すことが求められているわけですね。
また、理想的の自分像と今の自分を比較するのではなく、理想の自分も今の自分も、愛し、認め、受け容れ許すことが求められているというわけです。
Cさんがおっしゃる、常に理想的な自分になろうと、向上心を持ちつづけていた理由は「素敵な自分になるため」でした。ただ、これは常に本当の目的ではないので自分を見失うことにも繋がります。
だから、Cさんにこう考えていただくようにお願いしました。
「素敵な自分になろうとすることに問題はありません。ただ思い出してほしいのは、素敵な自分になることで、あなたは何が見たかったのかを思い出してみてください。」
そこでしばらく考えていただき、ゆっくりと出てきたCさんなりの答えは、「人の笑顔」だったんですね。
Cさんが抱く理想的な自分像が持つ本当の目的は「笑顔」であるならば、それは素晴らしいことですし、ぜひ大切にしていただきたいわけですよ。家族や誰かの笑顔のために努力し続ける人が悪い人であるわけがないですからね。
だから、「いつも家族や誰かの笑顔に貢献したいという気持ちを持った自分をイメージしていてくださいね」とこちらからお願いすることになりました。
僕たちはどこかで「人の役に立ちたい」という思いがあり、それが実現できない自分を許せずにいる、といわれます。彼女が今の自分を認めていなかったのは誰の笑顔にも貢献できていない自分のままだったからなのです。
ただ、それからのCさんは少し考え方が変わります。
「もし(私と同じように)職場の人も誰かのために頑張っているなら、それを応援したい」
これはCさん自身が本当の目的を思い出したことで生じた一つの価値観です。それ以降のCさんは徐々に周囲から魅力的で尊敬されるような人になっていったわけです。
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今の自分を否定したり、理想的な自分像との比較ばかり行うのではなく、本当の目的を思い出すと、人はより魅力的になるようです。
だから一度「私の本当の目的ってなんだろう」と思い出してみることのもまた、魅力的になる一つの方法かもしれませんね。
(完)
- もう一度自分の魅力を実感するために 〜魅力をブロックする復讐心〜
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- コンプレックスを魅力に変えていく方法 〜ネガティブな思い込みは魅力を隠す〜
- 魅力的な自分とは「本当の目的」を生きる自分のこと