あなたは自分の気持ちがわからないと思うことがありますか?
◆自分の気持ちがわからない理由とは?
自分の気持ちがわからない理由の多くは、子供時代にさかのぼります。幼少期のコミュニケーションパターンに影響を受けることが多いからです。
子供は言葉がすぐに出てくる子もいれば、あとから出て来る子もいます。すぐに決められる子もいれば、決めるのに少し時間が必要な子もいます。
少し時間が必要な子供にとって、親が大人のスピードで「早く決めなさい、どっちなの?」「こっちがいいわよ、これにしなさい」と先に決められてしまうと、自分で選べなくなってしまうことがあるのです。
子供は自分だけで生きていくことができないので、親を頼って生きていくしかありません。親の顔色や機嫌にはとても敏感です。
親の顔色を見ながら自分のとるべき行動を探ろうとしたり、親の機嫌を取ろうとするのは親に守ってもらうための本能でもあるのです。
とはいえ、もともと子供は「感情のかたまり」のような存在です。「これがいい!」と自分の気持ちを主張することが自然なのです。
そんな時に「お前にはこっちがいいよ。こっちにしておきなさい」と、なんらかの親の都合で却下されることがあるとします。
そういうことが何度も繰り返されるうちに「お母さん、お父さんさんがそうしろと言うのならば」とだんだん自分の気持ちを諦めるようになるのです。
自分の喜びよりも親の喜ぶほうを選ぶ。自分の気持ちを諦めやすい子は“聞きわけのいい子“として育っていくことがあります。
◆聞きわけのいい子のその後は?
「あなたはわがままを言わない、とても育てやすい子だったわ」とお母さんに言われたことがありませんか?
私にもそんな経験があります。小学生になった頃には「親には自分の意見を言うだけムダだ」と思っていました。自分の意見を言ったところで、親が反対をすればそれで終わりだからです。
今でも覚えているのは、お稽古事についてです。その頃のお稽古事の定番といえば、ピアノとそろばん。私はそのどちらも好きではありませんでしたが、母に言われたとおりにしぶしぶ習っていました。
あまりにもイヤでサボったこともありますが、絶対に母には黙っていました。そんなことがばれてしまったら怒られるに決まっているからです。
そのうち私は「こうしたい」という気持ちばかりではなく、「これはイヤだ」という気持ちまで隠すようになっていきました。
するとどうなるかというと「自分で決められない人」「すごく迷う人」になっていくのです。
学校をどこに決めるのか、学校を卒業したらどんな職業につくのか?どんな会社に入るのか?何でも親のアドバイスをもとにして決めるようになりました。
もっと困ったのは社会に出てからです。自分で働いて自分で何でも決めなければいけないようになってから、どうしたらいいのかわからなくなったのです。
とくに困ったのが、職場の上司に「君はどうしたいの?」と聞かれることでした。今までは親に聞けばよかったものを、今度は自分で決めなければいけなくなったから。
「自分で決めるってなんか怖い」これが私の正直な気持ちだったのです。
◆自分の気持ちがわからない人の対処法とは?
自分の気持ちがわからないからといって、自分の気持ちがないわけではないのです。
自分の気持ちはあるけれども、すぐに消してしまう。聞きわけがいい子として育った人は、自分の心の動きをとらえることが難しくなっているのです。
そんな方におすすめの方法のひとつは「体感」に訊ねてみることです。「どうしたらいいのだろう?」と思うことを自分の身体の感覚に聞いてみるのです。
イイ感じなのか?イヤな感じなのか?
それは重たい感じなのか?軽い感じなのか?
「なんだか苦しいな」「なんか不安だな」時には、みぞおちに手を当てますよね?
「ドキドキする」「ワクワクする」という時には、胸に手を当てますよね?
頭で考えているのは思考で、身体で感じているのが感情です。もともと私たちは、自分の感情を身体で感じているところがあるのです。
自分の気持ちがわからないと悩む人は、子供時代に誰かの気持ちに寄り添って来た人。だからこそ、今度は自分の気持ちに寄り添うことが大切なのです。
(完)