お母さんとの距離感がパートナーとの親密感を決めてしまう?
私たちは、母親との距離感を基本として、その後の人付き合いの距離感が決まる傾向があります。もちろん、父親やきょうだいとの距離感も関係しますが、お母さんはいちばん近い関係性ですので影響が強いと考えられているのです。
とくに母さんとの距離感が反映されやすいのが、恋愛です。いちばん近い人との関係性ですから、パートナーとの関係性に投影されることがあるのです。今回はお母さんとの距離が近すぎる、距離が離れすぎているパターンについてお届けします。
◆お母さんとの距離が近すぎる人の恋愛パターン
お母さんとの距離が近すぎる場合に起こりやすいのは、「自分とお母さんの間に恋人が入り込む隙がない」という問題です。
男性であれば「マザコン」と呼ばれるものですが、お母さんが身の回りの世話を至れり尽くせり完璧にしてくれるような場合。母さんでありながら、良くできた妻をもっているようなもので、お母さんを越すような理想的な女性がなかなか現れてこないのです。
恋愛は、恋人にお世話をしてもらいっぱなしというわけにはいきません。自分からもなんらかの愛情を与えなければいけません。お母さんは愛情に見返りを求めませんが、恋人はそうはいかないので、なかなか億劫になるのです。
するとお付き合いまではいくけれども、結婚となると二の足を踏んでしまうことが多くなります。結婚した後もふたりの関係に母親が介入してくる場合があります。
女性であれば「お母さんと仲が良すぎる問題」が起こりやすくなります。仲が良いのは良いことですが、恋人といるよりもお母さんと一緒にいることのほうがラクで心地良く感じてしまうのです。
恋人ができても、お母さんとのお出かけを優先する、帰宅時間を気にする、絶対に外泊をしないなど、無意識にお母さんのことを気にしています。恋人とデートしていることがまるで悪いことをしているような気がして、早くお母さんのもとに帰りたくなってしまうのです。お母さんに秘密がもてなくなるので大人の女性になりにくくなります。
「お母さんが気に入る人を結婚相手にしようとする」というケースもあります。男性から交際を申し込まれたとしても「お母さんはこの人を気に入らないだろうな」と思うと、せっかくのご縁を断ってしまうことがあるのです。
逆に「この人ならお母さんが気に入りそうな条件の人だから」と思って付き合い始めた場合も、どこか自分の好きなタイプの人ではなかったりするので、結局のところ結婚に前向きになれないことがあるようです。
◆お母さんと距離が離れすぎている人の恋愛パターン
お母さんとの距離が遠すぎる場合は、「近づきたいけれども、近づけない」ことが起こります。心理学では“親密感への怖れ”と呼んでいます。
なぜ怖れるかというと、距離が離れていることが当たり前になっているので、お母さんよりも近い距離感に他人が入ってくることに居心地の悪さを感じてしまうのです。
すると、恋人でいるうちはいいけれども結婚に躊躇するケースなどが出てきます。恋人はお互いの家に帰っていきますが、結婚となるとずっと一緒にいることになります。ずっと一緒にいるということになんとなく違和感や抵抗感を感じてしまうのです。
また「手に入りにくい人」を好きになる傾向があるようです。たとえば、既婚者、遠距離でなかなか会えない人、歳の差が離れている人、自分に興味をもたない人、などをいつも好きになるようなケースです。いわゆる、結婚できない恋、障害のある恋になりやすいのです。
お母さんにしていたように、好きな人を遠くから見ているのが当たり前という感覚があり、好きな人が自分の近くにいるという感覚が薄いとこうなるようです。
「結婚よりも仕事を優先する」というケースも多くみられます。お母さんと距離があった人は、さみしさを紛らわすための“なぐさめ”をもつ人が多いのです。子供の頃はひとり遊びですが、大人になるとそれが仕事に変わるのでハードワーカーになりやすいのです。
そのため、お付き合いを始めたとたん、仕事の忙しさを理由にして急に距離を取ることがあります。すべては親密感に慣れていないことから起こっているのです。
<最後に>
母親との距離が近すぎる場合は、母親優先になっていないか。母親との距離が離れすぎている場合は、自分から人を遠ざけていないか。それぞれについて見直してみる必要がありそうです。
(続)
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