ビジネスでも、プライベートでも、パートナーシップのある幸せは、きっと多くの人が望むことですよね。
私はこのコロナ禍で、気軽に人とふれあうことができにくくなってからというもの、「人と共に生きる」ことへの意欲がハートの中で穏やかに育ってきているのをとても喜ばしく感じています。
というのも、私自身がまだ一人で生きようとする「自立」の心を癒す道の途中にいて、「相互依存」の幸せな関係を築いていくことに手探りで取り組んでいるところだからです。
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先日、彼の勧めで、ちょっと気合を入れて、健康診断を受けてきました。
健康状態に不安があったからというわけではなく、どちらかというと、日常的にも健康を心がけて過ごし、年2回の献血データで健康チェックした気になっているようなタイプの私は、「そんなの必要ないよ~」と、スルーしてしまうことが多かったのです。
「まあ、検査してもらって、どこにも問題がないのがわかれば、それはそれで、安心できるからさ~」と背中を押され、近くの病院で、血液検査に尿検査、大腸がんの検便に胃カメラは初挑戦!と、個別検診を受けることにしたんです。
自分の知らない自分の内側をカメラで映し出してみるというのは、なんとも言えない微妙な体験でしたが、実際に画面に映し出された胃の内部は、想像以上にキレイでホッとしました。
その他の検査結果は後日ということで、「これは楽勝だな!」と高を括っていたら、大腸がん検査の結果が陽性で、再検査を別の病院で受けることに。
「これはきっと何かの間違いだ!」
予想もしていなかった結果報告をなかなか受けとめきれず、納得がいかない私の頭の中では、やらない言い訳をたくさん語りはじめていて、それが自分でも可笑しくて、しばらくそのおしゃべりを観察していました。
「検査を受けるならこの病院」とすぐに決めてはみたものの、なかなか重い腰があがらずに、予約の電話をするまでに1カ月もかかってしまいました。
やれやれ…。
やると決めているのに、決めたことに向けて動き出さないでいると、ムダにいつまでも葛藤が続くばかりで、その不自由さをたっぷり思い知ったのでありました(汗)
内視鏡の検査では、「もしポリープが見つかったときには切除します」という同意書にサインをして臨んだのですが、小さなポリープが2つほど見つかり、その場で切除となりました。
「コミットメント」のパワフルな恩恵とでもいいましょうか。
もしまた後日までに、切除するのかしないのかを決めなければならなかったとしたら、それだけで気分もかなり消耗していたはずで、この時ほど、同意書にサインをしておいてよかったと思えたことはありませんでした。
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「問題なんてないはず」と思っていたのに、「これがポリープですね」と言われながら、画面に映し出される様子を見るのは、かなり衝撃的でした。
診察のベッドに横たわり、先生に身を委ねるしかない私は、心理学で学んだ「サレンダー」という言葉が、すぐに思い浮かびました。
サレンダーとは、直訳すると降伏、降参という意味ですが、心理学でいうサレンダーとは、主に「委ねること」を指しています。
病院のベッドの上という状況では、どんなに心が騒ごうが、相手が施そうとしてくれている好意的な処置を邪魔せずにいる方が、明らかに得策ですよね(笑)
私はゆっくりとした呼吸で、緊張した体をほぐすことを意図しながら、この施術ができるだけスムーズに進められるよう、自分なりに協力しようと心掛けて、この時間を過ごしたのでありました。
そして、サレンダーするということが、ただ人任せにするということではなく、協力的な自分でいることでもあるのだと、そのプロセスの奥深さを体験することができたのです。
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サレンダーは選択です。
もともとは、パートナーとの何気ない話の流れでサレンダーして健康診断を受けたことが始まりでしたが、専門家とのパートナーシップでもサレンダーしたら、おかげさまで、エゴのおしゃべりだけでなく、内包されていた心配要因までもをすっかり取り除くことができました。
早期発見へと背中を押してくれた彼と、ポリープを適切に切除してくれた先生には感謝しかありません。
今回ご紹介した「サレンダー」は、自分ひとりで頑張って生きていくもん!という「自立」の心理的ポジションを手放していくプロセス全体での抜け道として使える概念であり方法です。
自分の言い分を脇において、相手の好意や流れを信頼して受け取るのは、最初は勇気のいることかもしれません。でも、「信頼して委ねてみよう」と意図することで、自分のエゴである疑いや抵抗、不安、心配、怖れよりも、より大きな恩恵を受け取れそうです。
私の体験が、あなたの健康や幸せなパートナーシップへのインスピレーションになったなら嬉しいです。
そして、どうぞ、お身体と今ある関係を大切にして、お過ごしくださいね。