助けてほしいと言えないとき 〜大切な人を思い出す〜

助けを求めることは、あなたの大切な人の想いを受け取ること。

助けて欲しいと言えない人の多くは、自立の人です。そして、自立するにあたって、私たちは依存や弱さを嫌ってきた経緯があります。助けを求めるということは、あなたが嫌ってきたあなたの中にある依存や弱さを認め受け容れることなのです。助けて欲しいが言えないとき、あなたの大切な人を思い出すことが一助をなります。

 

皆さんは、困ったときや助けが必要だと感じるとき、助けて欲しいということを誰かに伝えることが出来るでしょうか?そうそう、助けが求めることが出来たら、困ってないよーという声がたくさん届いてきそうですね。
今回の心理学講座では、助けて欲しいと言えないときの処方箋をお届けします。

■助けて欲しいと言えない背景

助けて欲しいと言えないとき、私たちの心は自立的な心理的状況です。

言い換えれば、一人で頑張っている状態であり、自分が助けを必要としていることを自覚しているにも関わらず、“助けて欲しい”とは、決して言いたくないと思っている心理状況です。

なぜ、“助けて欲しい”と言いたくないかというと子供から大人になる過程で、依存や弱さを嫌った時期があったからです。私たちは、幼少期から大人になるまでの間に依存時代を経て自立することを学びます。

依存時代は、自分以外の両親や大人たち、兄弟たちに頼りながら過ごしていくわけですが、その依存時代に自分の望むようにはならないといった歯痒さや痛み、葛藤をたくさん経験していきます。

そして、依存や弱さを否定し、嫌い、自立していくというプロセスを辿っていきます。一人で対応できるときは、問題として浮上することはありませんし、状況を自分の采配で動かすことができるので、依存時代に感じた歯痒さや痛みを感じることはありません。

しかしながら、大人と言えども、一人の人が出来ることには限界がありますから、一人で頑張ることを選び続けることによって、オーバーワークになりやすく、人の助けが必要な状況を作りやすいとも言うことができます。

どれだけ人の助けを必要な状況になったとしても、自立していく過程で依存や弱さを嫌った自立の人にとって、人に助けを求めるということは、嫌っていた依存時代に戻るように感じますし、そうはなりたくない気持ちもありますから、助けて欲しいということを口にすることが出来なくなってしまうのです。

■助けを求めやすい状況を作る

ただでさえ、助けて欲しいと口に出来ない自立の人なのに、自立の度合いが大きければ大きいほど、キャパオーバーに向けて一直線ですから、人の助けが必要な状況に陥りやすい傾向にあります。

そもそも、助けを求めるという選択肢を持ち合わせていない方もいらっしゃいますから、助けが必要な状況になったことに気づきにくい側面もあります。あなたが周りからの助けが必要な状況に気づくのが遅くなればなるほど、あなたは大変な状況に置かれ、人に頼るということがあなたの感じている大変さを人に渡すように感じますから、余計に頼りにくくなるといった悪循環に嵌りやすくなってしまいます。

ここでは、自立の方の性質を知り、普段から助けを求めやすい環境を作っておくことをお勧めします。どういうことかというと、自立的な方のオーバーワークになりやすいことを人の助けが必要な状況に気づきにくいことを踏まえて、あなた自身のキャパシティがどのくらいなのかを知り、周りの人にお願いしやすい状況であるうちに、周りの方に助けを求めることをやるようにしてみましょう。

いきなり、お願いをするのはハードルが高いというあなたは、お願いしやすいことから助けを求める練習をしてみましょう。

■どうしても助けが求められないときに思い出してほしいこと

それでも、“助けて欲しい”と言えないあなたに思い出してほしいことがあります。

それは、あなたにとっての大切な人の存在です。もし、あなたの大切な人が「助けて欲しい」ということが言えずに苦しい状況下に置かれていたとしたら、あなたはどう感じるでしょうか?どうにか大切な人の力になりたいと思ったり、大切な人の苦しみを取り除いてあげたいと感じたりするのではないでしょうか?

また、あなたが大切な人を助けられないとしたら、助けてあげられないといった無力感を感じることもあるかもしれません。

逆も真なりで、あなたがあなたの大切な人の力になりたい、苦しみを取り除いてあげたいと思うように、あなたを大切に思う人も、あなたの力になりたい、あなたの苦しみを取り除いてあげたいと思うのではないでしょうか。

あなたが助けを求めるということは、あなたの大切な人の想いを受け取ることであり、あなたの大切な人に安堵の気持ちを届ける行為でもあるのです。

どうしても助けを求められないと感じるときは、あなたのことを大切に思ってくれている人の想いを思い出してくださいね。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

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人間関係の築き方・コミュニケーションのスキルアップ・個性を生かすことを得意とする。 お客さまのテーマを多角的な視点でとらえて分析することにより、新たな視点や心の気楽さを持つことが出来ると定評がある。ゆるぎない安心感の基盤を基に行うカウンセリングは、心のうちを語りやすいと評価が高い。