デッドゾーンは“かりそめの平和”とも呼ばれる
こんばんは。
神戸メンタルサービスの平です。
恋愛、結婚などの男女関係は、基本的に3つの段階を進んでいきます。
まずは、“ロマンス”といわれるラブラブな時代があります。
その時代を過ぎると“パワー・ストラグル”、すなわち、どちらのやり方で関係性を進めていくかというケンカの時代にさしかかります。そして、その次にくるのが“デッドゾーン”と呼ばれるあきらめの時代です。
“ロマンス”の時代は、パートナーの優れているところなどよい面ばかりが目に入ります。
この時期のパートナーは魅力にあふれ、とても理想的な人に感じられます。
ところが、しばらくたつと、パートナーがあなたに与えてくれているものは、「与えてもらってあたりまえ」という感覚になってきます。
たとえば、おかあさんが毎日、ゴハンの支度をしてくれますよね。
それは、けっこう手間のかかることなのですが、「親だったら、作ってくれてあたりまえ」と感じると、あまり感謝できなかったりするのと同じです。
そして、「与えてもらうのがあたりまえ」という感覚が定着してくると、こんどはパートナーがあなたに「くれていない」ものに対して、あなたの意識はだんだんと向かうようになります。
「彼はお金持ちでかっこいいけれど、自分本位なところがある」とか「彼女はやさしくて、僕のことをいつも立ててはくれるけれども、頼りない」というふうに、その人のもつ魅力より、その人がもっていないもののほうにどんどん目がいってしまうのです。
すると、ここで、男女関係にはしばしばおかしなことが起こります。
たとえば、あなたに総合90点の彼がいるとします。やさしさが足りないので、減点10点なのだとします。このとき、あなたの前に総合10点、ただし、その10点はすべてやさしさという男性が現れたとき、あなたは自分の目の前に、まるで100点の男性が現れたかのように感じてしまうのです。
あとあとになって客観的に考えれば、総合10点だけの男性だったと理解はできます。
でも、そのとき、やさしさに飢えていたあなたには、この男性が完璧な男性のように映ることもあるのです。
また、このワナに引っかからなくとも、パートナーがもっていない要素はあなたにとっての不満となり、それがケンカのタネにもなってきます。
たとえば、経済的に余裕のある男性はえてして忙しいものです。
おつきあい当初は、たまのデートで彼が連れていってくれるおしゃれなレストランや会員制高級バーにあなたはメロメロになったものですが、二人の関係が深まるにつれ、デートの時間もあまりとれないということが、あなたの不満となっていきます。
そして、忙しい彼よりも、「いつも私のそばにいてくれる人がいい」と心は感じはじめたりするものです。
一方のパートナーも、あなたになんらかの不満をもつようになり、その不満と不満がぶつかり合い、ケンカとなっていきます。
そして、そのケンカが原因で別れてしまうカップルもいますが、多くのカップルはたがいに不満をもちながらも、「パートナーがいないよりはまし」と関係性を続け、次の段階の“デッドゾーン”へとはまり込んでいきます。
ここにいるとき、私たちは「期待した自分がバカだった」とか「あてにしすぎるから、つらいのよね‥‥」などと、パートナーに多くの期待をしないことで、自分が傷つかないようにしています。
“デッドゾーン”は、“かりそめの平和”ともいわれます。
たしかに、あきらめてしまうことで“パワー・ストラグル”の時代のような激しいケンカはなくなりますが、パートナーに感じる魅力も失せてしまいます。
すると、人間はパートナーシップで得ていた情熱や喜びをほかのものに向け、補おうとします。
単純に考えれば、浮気などが起こりやすいわけです。
また、男女関係以外のところに向かうと、仕事に情熱を傾けたり、趣味に没頭したり、ロマンスを自分の子どもやペットに求めたりする人々もよくいます。
たとえば、結婚している夫婦の多くは、一見、とてもよい関係性に見えます。
しかし、じつは“デッドゾーン”にすっかりハマッてしまい、情熱のほとんどを子育てや子どもへの期待に向けているというケースもとても多いのです。
そういう夫婦は、子育てが終わったり、子どもが自宅から巣立っていったとき、夫婦の間にある距離の大きさにいきなり直面することもよくあります。
この“かりそめの平和”の時代はケンカがなくなりますが、じつはケンカをしていた“パワー・ストラグル”の時代のほうが愛はまだ存在していたのです。
私がこの『恋愛心理学』を通してみなさんにいちばんお教えしたいたいのは、「デッドゾーンは越えることができる」ということです。
その方法は、来週、お話しいたしましょう。
では、来週の恋愛心理学もお楽しみに!!