相手の期待に添おうとする心理パターン
■期待に添おうとする心理
カウンセリングをしていると、相手の期待に添おうとする心理パターンを持たれる方とお会いすることがあります。
相手の望みにあわそうとする心理パターンについて、物語的な形にして説明したほうが分かりやすいと思いますので、物語的な形で説明しようかと思います。
カウンセリングには守秘義務がありますので、クライアントさんが「私のことだったら使ってくれて大丈夫ですよ」と言ってくれたこと以外書けませんので、今回は創作の例え話を書かせてもらいます。
創作の例え話ではありますが、カウンセリングでは実際に良くあるケースのお話であり、実際にある話という視点で読んでもらって大丈夫です。
■心理パターンを変える取り組み
Aさんという人がいたとします。
Aさんは、ハードワークで疲れていました。
なぜハードワークかというと、頼まれると断れない性格で、大量の仕事を抱えていても、上司に新しく仕事を頼まれると引き受けてしまいハードワークになっていました。
断れない自分を変えたいとカウンセリングに通うようになりました。
上司から頼まれた仕事を断れないのは、何故なのかをAさん一緒に考えていきました。
仕事を断ると査定に響くから?
それとも上司に悪い印象を持たれたくないから断れないのか?というと、そうではないようでした。
Aさんが持つ上司の印象は、仮にAさんが大量の仕事を抱えていることを理由に頼まれた仕事を引き受けられないと伝えると、それを理解してくれて無理させないようにするタイプの上司のようでした。
むしろたくさん仕事を抱えていると知ったら、一人で抱えないように他のメンバーに手伝うように指示するなどの対処をしてくれそうな良い上司です。
なのになぜ?
カウンセリングで見えてきたのは、Aさんは必要以上に相手の期待に添おうする心理パターンを持っていることでした。
断れないのも、上司が仕事をして欲しいのであろうという期待に応えようとするとこからでした。
ご自身のしんどいからこれ以上はできないという気持ちよりも、相手の期待に添わなければという心の動きのほうが優先してしまう(勝ってしまう)のです。
その心理パターンは、なぜできたのか?
それをAさんと一緒に考えていきました。
そこで見えてきたのは、
Aさんの子どもの頃の体験が関係していることが見えてきました。
子どものころのAさんのお母さんはヒステリックでした。
お母さんの怒りに火がつくと、長い間Aさんはつらい思いをしました。
その為、Aさんはお母さんを怒らせないように気を付けてきました。
お母さんの期待に添うよう、お母さんの望む子でいようとしてきました。
そうすることが、お母さんを怒らせず、つらい思いをしないでいられるからです。
期待に添うことが安全でいられることだと思ったのです。
Aさんは実家から出るまで、それを十数年続けている内に、それが心の癖(心理パターン)として染みついてしまったようです。
その心理パターンが強く染みついてしまっていたので、もう母のようにヒステリックになる人はいないのにも関わらず、癖として上司との関係でもついつい相手の期待に添おうとしてしまっていたようでした。
カウンセリングで、その心理パターンを変えることに取りくんでいきました。
子どもの時のつらい体験から、Aさんの心理パターンができたのようなので、子どもの頃の痛みを癒やす心理療法をしていきました。(*インナーチャイルドワークと言います)
この心理パターンができた頃であろう子どもの頃のAさんをイメージしてもらいました。
すると、子どもの頃の辛かった気持ちが溢れ出てきました。
その子どもの頃の辛かった気持ちを涙に流して浄化していくことをしていきました。
そして子どもの頃のAさんに「もう期待に添おうとしなくていいんだよ」ということを伝えていくことをしていきました。
何度もインナーチャイルドワークをしていくことで、Aさんの心理パターンは変わっていき、Aさんは期待に添おうとしすぎる癖は緩んでいきました。
上司にも期待に添おうとしすぎず、無理な時は断れるようになっていきました。
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これは例え話ですが、何らからの体験・要因で相手の期待に添おうとする心理パターン(心の癖)が作られてしまうことがあります。
もし、あなたにも期待に添おうとする心理パターンがあり、そしてそれが今のあなたの幸せにつながっていなかったり、今のあなたに損をさせていたとしたら、染みこんでいる心の癖を変化を加えられるように、ご自身に何度も何度も「期待に添おうしすぎなくてもいいんだよ」と声をかけていき、その言葉を染みこませてみてはいかがでしょう?
そうすることで期待に添おうしすぎるパターンが緩んでいくことがありますから。
あなたが楽に、幸せ生きられるパターンのみになれていくといいですね。
何かのヒントや、参考になれれば幸いです。
読んでいただきましてありがとうございました。
(続)