■間違っていたのではなく、気づけていなかった
「私の子育てが間違っていたんですね」
子育てに関するカウンセリングで、そんな風にいわれるお母さんがおられます。
・親のいうことを聞かない
・よく嘘をつく
・家で暴れる
・学校に行かない
・部屋から出て来ない
子供に問題行動が見られるとき、それは、成長段階における反抗期などの一時的なものかもしれないし、心の問題から起こっている行動かもしれません。
いずれにしても親としては、怒りを覚えることもあれば、心配で夜も眠れなくなることもあるかと思います。
思春期の分別がつく年頃のお子さんの場合、親的からすると身体も大きいし大人として見なしていることは、とても多いのです。
するとより一層、子供の問題行動の理解に苦しみます。
「もう、それくらいは分かっているはずなのに」と。
けれど、カウンセリングが進んでくると、多くのお母さんは
「私の育て方が悪かった」
「私の子育てが間違っていたんですね」
とご自身を責めます。
子供のこととなると、やはり親は責任を感じます。
母親は、特にそうです。
十月十日、一心同体だったわけですし、出産してからもやっぱり一番身近な存在ですものね。
けれど 『子育てに正解はない』 といわれます。
ということは 『子育てに不正解(間違い)』 もないのです。
ただ、 『子供の心に気づけていない』 ということは、私たち親にはよくあります。
■自分を責めるよりも大切なこと
子供のことで
「私の育て方が悪かった」
「私の子育ては間違っていた」
と、自分を責めてしまうことはありますが、それは、今現在の子供をも否定しているというメッセージになります。
なぜなら
「お母さんの間違った育て方で育てられた私は、間違って育った存在」
と言い換えることが出来るから。
どのお母さんもみな、一生懸命子育てをしています。
「ああかな?こうかな?」
「どうしたらこの子が、より良く育つだろう?」
と、子供のことを考えて子育てをしてきたはず。
その子育ては、責めるべきことではありませんよね?
厳しいようですがもっというと、子供が問題行動を起こしているとき、お母さんが自分を責めている場合ではないのです。
【子供の心の中で、なにが起こっているのか?】
を見つめ、気づき、理解する必要があるのですね。
■子供の心の叫びに気づく
たとえば
”私が何も言わなくても、お勉強も出来てクラブ活動も活発に取り組んで来た娘。
そんな娘が、高校受験を控えているのに夏休み明けから突然不登校に。
このままでは、高校へ進学できないのでは?と心配するも、どうして良いかわからない”
親としてはとても焦ります。
「せっかく今までがんばってきたのに、高校に進学できなかったらどうしよう。
この子の将来はどうなるんだろう」
「早く希望校を決めなければ」
そんな不安と恐れに支配されると、この事態をどうにかせねば、と考えることもあるかと思います。
気づきにくいのですがそういうとき、子供に ”無言の圧力” をかけてしまうことがあるのです。
「学校には行けなくてもいいのよ。勉強はしなくていいわ」 と、今の不登校は認めながら
「でも、高校はどこにする?どこでもいいのよ」 と、暗に
「わかっているわよね?」 と圧力をかける。
これは、子供は混乱します。
「学校に行けない私の苦しさやジレンマを、お母さんは認めて受け容れてくれたんだ」
そうかと思ったら
「学校に行けない私に、勉強しなくていいと言いながら結局、高校には行きなさいと思っているんだ」 と認識するので、子供は安心感が得られないのです。
問題行動を起こす子は、とても優しかったり我慢強かったり、心の強い子が多いです。
その強い子の 「もう無理だよ。疲れたよ」 という、心の叫びに ”気づく” 必要があるのです。
■気づいたら軌道修正してみよう
子供が問題行動を起こすときは、なんらかのSOSのサイン。
「親にもっと関心を持ってほしい」 という思いと 「放っておいてほしい」 というアンバランスさも持ち合わせています。
なので、子供の気持ちを無理やり聞き出すのではなく
「話せそうになったら言ってね」
「いつも、お母さんはあなたの味方だから」
「困ったことがあったら、力になるからね」
と声を掛けて、そっとしておくのが良い場合もあります。
親が思う以上に、子供は 「認めてほしい」 「受け容れられたい」 「親に喜んでもらいたい」 と願っています。
でも、当然上手くいかないこともあります。
そんな子供の心の内に気づき
「お母さんは、あなたの気持ちを全然わかっていなかったのね。気づかずにゴメンね」
と、子供の気持ちに気づき理解しているということが伝わると、子供は本来の心の強さを取り戻すようになりますよ。
その頃には、見違えるほどに成長した子供の姿に感動するお母さんは珍しくありません。
子育てに悩みはつきものです。
親は子供になにかあると、つい自分の子育てを責めてしまいがちです。
けれど大切なことは、子供がどれだけつまずいても、自分自身を受け容れながら、前向きに歩いていく力を持てるように、サポートすることかなと思います。
それには、自分の子育てを責めるよりも、子供の心に気づこうと思ってみることをおススメします。
あなたの受容や承認は、子供にとって大きな安心感と自信になりますよ。
そして、親であるあなたは、自分の子育てに一生懸命だったことに自信を持ってくださいね。
もしも、なにか気づきがあれば軌道修正すればいいだけですから、責める必要は全くありません。
来週は、那賀まきカウンセラーがお送りいたします。
どうぞ、お楽しみに。