充実した恋愛・夫婦関係が及ぼす仕事への影響について
○恋愛や夫婦関係は仕事のパフォーマンスに影響するのか?
「恋愛や夫婦関係がうまく行かなくなったことが、日々の仕事にまで影響を及ぼしてきた。だから今の恋愛関係や夫婦関係を解消したい。」
みなさんはこのような思いをいだかれたことってあるでしょうか?
逆に「今のパートナーと出会ってから、仕事への情熱や意欲が高まり、仕事にやりがいを感じるようになった。」
そんな思いを感じたことはないでしょうか。
恋愛や夫婦関係と仕事は別物。
プライベートの影響を仕事に持ち込みたくはない。
そう思っていたとしても、今の恋愛や夫婦生活のあり方次第で、高い意欲を感じられたり、逆に仕事でのパフォーマンスが落ちる、などの影響が生じてしまうものかもしれません。
時には、恋愛などプライベートな問題が肥大化することで、生きづらさやストレスを感じたり、仕事や物事への意欲の欠如することもでてきます。
逆に、恋愛などプライベートな問題を解決することができると、より仕事のパフォーマンスが高まる可能性があるとも言えるんですね。
○スピルオーバー(流出効果)について
ライフ・ワーク・バランスについての研究の中に「スピルオーバー(流出効果)」という言葉があります。
スピルオーバーとは「ある一方の役割での状況や経験が、他方の役割での状況や経験にも影響を及ぼす現象」という意味で使われます。
私たちは日常生活などを生きる自分も、仕事や社会と関わっている自分も一人の同じ人間なので、日常生活で起きたことが仕事に影響したり、仕事で起きたことが日常生活に影響することがある、というわけです。
この考え方を恋愛・夫婦関係と仕事という形で置き換えるならば
「日常生活(恋愛や夫婦関係など)での役割、その状況や影響が、仕事の役割での状況や経験に影響を及ぼす」ということです。
なお、このスピルオーバーは、ネガティブな影響だけではなく、ポジティブな影響も存在します。
例えば、仕事で得た知識が日常生活の問題解決に役立つなど、好ましい影響をもたらす場合もあるということですね。
また、「仕事」がもたらす「日常生活」への影響より、「日常生活」がもたらす「仕事」への影響のほうが大きなものになる、と言われています。
もちろんいい影響もそうではない影響も受けるということなのですけどね。
○充実した恋愛・夫婦関係は仕事などにも良い影響を及ぼす
スピルオーバーの視点から見れば、日常の中で親しい人間との関係性をより良いものにする、再構築するなど、見つめ直すことで自分自身の人生が充実することも十分にありえること、と言えそうです。
もちろん私たちの日常生活のすべてが恋愛や夫婦関係で占められるわけではありませんが、しかし、日常生活の一部を構成する恋愛や夫婦関係が充実することが、仕事や社会との関わりなどに良い影響を及ぼす可能性があるわけです。
むしろ、プライベートな恋愛や夫婦関係と仕事などを完全に割り切って考えることで、恋愛や夫婦関係で感じている様々な影響をなかったことにする努力を続けてしまう場合もあるでしょう。
その結果、プライベートでも仕事でもより強いストレスを感じたり、なかなか仕事への情熱が持てずにつらい思いを続ける場合もありえるでしょう。
このようなお悩みを可か得ている場合は、仕事の問題を解決することと同時に、自分自身の人生、生活を見つめ直し、そこにある問題を解決していくことで、より前向きで充実した日常を送れる場合もあるのですね。
とかく昨今は、テレワークの増加など、仕事と日常生活の境界線が曖昧になりやすい環境である、と見ることもできます。
私たちのご提供しているカウンセリングの中でも、仕事に関する問題を直接扱わせていただく場合もありますが、みなさんの日常生活が充実するようなサポートを通じて仕事などにも良い影響が出るような視点を持ってお話させていただくことも少なくありません。
もし、仕事で行き詰まった、日常の中でやりがいや意欲がわかないといった状態になったなら、みなさん自身の心の状態を専門家と共にチェックしていただいた上で、あなたの日常生活と仕事のバランスやそのあり方を見つめ直してみてのいいのかもしれませんね。
(完)