良い関係を続けられる人がやっている「小さな努力」があります
お付き合いを始めた頃はあれほど熱々のカップルだったのに、その後は急激に冷めてしまうことがあるのは、なぜでしょうか。
私たちの心には、人を愛すれば愛するほど、自分が愛を感じて幸せになるという法則のようなものがあります。それは心理学の「投影」という心のしくみからきているものです。
投影とは自分の心の中で起きていることを相手に映し出す(投影する)ことをいいます。映し出すのは自分の感情や過去の体験、過去に出会った人物像などと言われています。
自分が愛すると、それを投影し、自分が愛されているように感じるようなのです。
愛すれば愛するほど、もっと愛されているように感じるので、もっと幸せだなと思えるようになると考えられます。
熱々のカップルだったとき、あなたは相手のことが大好きで、愛そうと思わなくても勝手に、相手を愛していたかもしれません。するとそれを投影し、あなたが愛すれば愛するほど愛されているように感じ、あなたはホクホクの気分で幸せを感じていたと理解できます。
お付き合いや結婚生活が長く続き、相手がいてくれることが当たり前になると、以前と比べて自分から愛そうとしなくなることがよくあります。世間ではそれを「手抜き」などと表現することもありますが、多くの場合「無意識に」男女問わずやっているようです。
愛そうとしないと、それを投影し、自分があまり愛されていないような気がすると考えられます。「最近彼にあまり愛されていない気がする」というのは、実は自分が愛そうとしていなかったからと言えるのかもしれません。
私たちはあまり愛されていない気がすると、もっと自分から愛そうなどと思えなくなるものではないでしょうか。
すると当然のように自分から愛さなくなり、それを投影して愛されていない気がし、だから余計に愛さなくなるという悪循環が、相手を愛し続けられなくなる背景のひとつと言えるのかもしれません。
◇意識的に愛する
悪循環を断ち切り、一生愛し続けられる関係は、どうすれば手に入れられるのでしょうか。
上で述べた悪循環の大元を断つとすれば、「自分から愛さなくなる」ことをやめて「自分から愛する」ことにすれば良さそうですが、言葉の上ではその通りなのですが、一度熱が冷めかけた関係において「自分から愛する」というのは簡単ではないと感じるかもしれません。
いったい何をすれば「自分から愛する」ことになるのか分からない、という場合もありますよね。
もしくは、パートナーを愛する気持ちは自然発生的なもののはずだから、あえて(意識的に)相手を愛するなんて、嫌だなと感じることもあるかもしれません。
結婚などパートナーシップというのは、人と人が築き上げる関係ですので、友人などの人づきあいと基本は同じと考えることができるのかもしれません。世の中には、友人と長く親密な関係を続けられる人と、すぐに関係が切れてしまいやすい人がいますよね。
関係が切れてしまいやすい人の中には、自分に魅力がないからだと思うことがあるかもしれませんが、本当にそうでしょうか。実は意識的に相手を愛するということをしているかどうかに関わっているのかもしれないのです。
親密な友人関係を長く続けている人たちというのは、意識的に相手を愛するために実はある小さな努力を欠かさないと言ってもいいのかもしれません。
それは、ある程度定期的に自分から連絡を取ることかもしれないし、連絡を取って会う機会を作ることかもしれません。
連絡をもらったほうは、どう思うでしょうか。
きっと、「あぁ、私のことを覚えてくれていたんだな。」とか「私と会いたいと思ってくれたんだな。」と思って、嬉しい気持ちがするものではないでしょうか?
長い付き合いをしている関係であれば、少なくとも一人がこのような小さな努力を行っていると考えられ、これを怠れば、いつの間にか連絡も途絶え、友人関係も失ってしまうことが多いかもしれません。
これをパートナーシップに当てはめてみるとどうでしょうか。
友人関係における「自分から連絡を取る」ということは、一緒に暮らしているようなパートナーにそのまま当てはめるのは適切ではないようです。
ただし、「連絡を取る」というのを、「自分から働きかけることで相手に嬉しい気持ちを感じてもらう」ことであると捉えてみるといかがでしょうか。それは「二人の心に橋をかける」と言ってもいいかもしれません。
パートナーシップにおいて、「自分から」「二人の心に橋をかける」方法は様々だと思います。相手に興味を持って話しかけることかもしれませんし、スキンシップを持つことかもしれません。普段から相手がやってくれていることに感謝を伝えることかもしれません。
心に橋をかける小さな努力を欠かさないことが、パートナーを一生愛することであり、愛され続けることでもあると言えるのかもしれません。
(了)