子どもには、いつだってハッピーで居て欲しいと、どの親も思うはず。
でも100%、子どもに降りかかる災難やトラブル、それに伴う不安や、挫折、ハートブレイクなどを取り除くことはむずかしいですよね。
するとどうしても、子どもの「つらさ」というものに出会う場面というのも、必ずあるわけです。
今日は、そんな時、親である私たちがどうあると良いか考えてみたいと思います。
■子どもには、最善の道を歩ませたい
私たち親は誰でも、子どもを持つまでの人生っていうのがありますよね。
少なくとも20年とか30年分の人生経験があるわけです。
子どもを持つと、多くの人はこう思うでしょう。
この大切な大切な存在には、なるべく危ない目に合わず、間違いのない正しい道を、最短で楽に歩いて行って欲しい、と。
私たちがこれまで生きてきて、いろんなつらい思いをしてきた。
それを、この子には、絶対に味あわせたくないって思うからですよね。
自分の生きてきた人生で学んだことを総動員して、こうするのが一番いいのではないか、こうしないのが最善ではないか、などと示唆するわけです。
子どもを持った時に、「知育玩具」「早期教育」なんかで、そんな思いが炸裂することってありませんでしたか。
自分が勉強に苦労してきたとすると、そうならないように、なるべく早くから、教育したほうがいいのではないか、得意を伸ばすことをしたほうがいいのではないかと、あれこれ送られてくるその類のDMに、心をわさわさと揺すられるなんてことも、第一子では、ご経験の方、多いんじゃないかと思います。
なぜか、第二子では、気が済んだようになってしまい、私の場合、ちっとも心は動きませんでした。
■困難を取り除くことはできない
とにかく、子どもには、つらい思いはして欲しくないというのが、親の願いなんですよね。
でも、先にも申し上げたように、子どもに起こる困難を、親が全て取り除くことなんてできません。
細心の注意を払っていたとしても、子どもがつらい思いをする場面というのは、必ず、何度何度もあるわけです。
小さい頃、石につまづいて転んだ時、びっくりしたり、痛かったり、血が出て怖くなったりして、うわーんと泣いてしまったかもしれません。
そんな時、お母さんが傷をきれいにして、絆創膏を貼ってくれたり、泣いてる顔を拭いてくれたり、よしよしって抱っこしてくれたりしているうちに、子どもはだんだんと落ち着いてきますよね。
でも、もう少し大きくなって、お友達とのトラブルや、進路の悩みや、思春期のなんとも言葉にできないモヤモヤ感や、イライラ感など、親が介入しにくい問題に、子どもがぶつかることも出てきます。
子どもも、わかりやすく表現しなかったり、場合によっては隠すこともあるかもしれません。
そうなると、親としても気づけなかったり、どうサポートしていいものか、悩んでしまったりしますよね。
子どもの経験する出来事というのは、親がコントロールすることは、ほんとにむずかしいものなんですよね。子どもと親、血はつながっているけれど、それぞれが、別々の人間であるからなんですよね。
■子どもがつらいと、親もつらい
子どもがつらいという状況は、親にもダメージが大きいものですよね。
いつもハッピーで居て欲しい大切な子どもが、つらい思いをしているからというのもありますが、それに加え、こんなことが起こっているんです。
子どもの頃の自分を重ねている。
心理学では、「投影」なんていうんですが、子どもの年齢と同じだった自分を重ねて見る、なんてことを無意識にしていることも多いんです。
ポジティブなイメージを投影するのは、問題にはなりませんが、子どもの頃に感じたことのあるネガティブなイメージを、目の前の子どもに投影してしまうと、親もとってもつらいんですよね。
可愛い大切な子どもがつらいのが悲しい!というものにさらに、あの頃、私もつらかった、悲しく心細かったといったネガティブな感情がプラスされ、二重の大きな感情として沸き上がってくるので、とてもとてもしんどいんです。
子育てしていて、自分の子どもの頃を投影するということは、実は、どの親にも起こることなんです。
自分の子どもを慈しみ育てることで、自分の中の小さな私も、自然と理解されたり、癒されたりすることもあります。
でも、子どもの頃の大きな痛みがそのままになっていて、誰にも気づいてもらえなかったり、癒されるタイミングがなかったり、大きすぎて対峙がむずかしいなどで、知らず知らず、目の前の子育てが、しんどくなってしまうことも少なくありません。
そんな時は、ひとりでがんばらず、カウンセラーに話を聞いてもらうだけでも、楽になると思います。
そして、ご自身の中の小さな私をみつけてあげることで、あなたの人生が、ぐんと歩きやすくなると思いますよ。
■つらさに寄り添う
子どもがつらそうにしている時、見ているのもしんどいことがあるでしょう。
見てられないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
お友達とうまくいかない。
進路がわからない。
成績が伸びない。
振られてしまった。
試験に落ちてしまった。
などなど。
悩んでいるのを通り越して、挫折や絶望を感じている場合もあるでしょう。
そんなとき、親である私たちに何ができるでしょう。
何かしようとしなくていいし、気の利いたことを言えなくてもいいんじゃないかなって思います。
ただ、いつも通りそばにいて、「きっと大丈夫だよ」って言ってあげられたら、それで十分じゃないでしょうか。
子どもにとっての親って、特別だし、一番無視できない、いつだって気になる、大きな存在だと思うんです。そう、私たちにとっての親がそうであったように。
好きとか、嫌いとかの前に、非常に特別な人なんです。
その人の口から、根拠があってもなくても、「(自分のこと)大丈夫」って言葉が聞けたらどうでしょう。誰も他の人は言わなかったかもしれない「大丈夫」が聞けたら、どうだと思いますか。
力になるんじゃないかなって思うんです。
光や希望になるんじゃないかなって。
子ども自身は、つらくって、余裕もなくて、力も出ないし、希望もなにもないと感じているかもしれない時に、お母さんが、「大丈夫」って言ってくれる意味は、けして小さくないと私は思います。
もし、言えなくても、心の中で、そう思っておいてあげればいいと思います。
■寄り添うのがむずかしい時
子どものつらさに寄り添うって、簡単じゃないんですよね。
自分のことならまだしも、子どもが体験していることだから、なおさら。
この子は「大丈夫」って言うことも、思うこともむずかしい時には、母親として、きっとおひとりで、全てを抱えていらっしゃる時なのかなと思います。
心のどこかで、なんだか私のせいではないか、私の子育ての何かがいけなかったのかな、私が生んだからかな、なんて、ご自分に責任を感じていませんか。
そんなことはありません。
ご自身を責めたりしないでくださいね。
まずは、おひとりで抱えているたくさんの荷物(お悩み)を、信頼できる誰か、お友達でも、カウンセラーでもいいので、聞いてもらう、荷物を降ろすということをしてみてください。
少しでも心に余裕ができた時、子どもにつきあえるようになります。
落ち着いて対応できるようになったり、愛しいってちゃんと思えるようになったりするんです。
そして、ひとりの人間として、「この子は、きっと大丈夫」だって、信頼できるようになるんです。
そのくらい子育てって、大変なことなんですよね。
最後まで、お読みくださって、ありがとうございました。
お役に立つことがあれば、嬉しいです。
来週金曜日は、いしだちさカウンセラーがお送りします。
どうぞお楽しみに。