あなたの「弱さ」はパートナーとの「つながり」に変えられる
今日の心理学講座は『近藤あきとし』が担当します。どうぞよろしくお願いします。
■男の弱さが許せない私
「つきあっている彼が頼りなくて、つい「男のくせに!」とか「情けない!」と思ってしまうんです」カウンセリングでは、そんなお話を聞くことが少なくありません。
他にも、会うと仕事の愚痴ばかりで不平不満を聞かされているうちに、つい「自分で何とかしようと思わないの!」と怒りたくなってしまう。なんてご相談も伺いますね。
もちろん皆さん好きで怒っているわけではないですし、最初から責めたいとは思っていないはずです。
パートナーの価値を見ましょう。
男は褒めて伸ばしましょう。
なんていうアドバイスは耳にしたことがあっても、「ダメな人ね〜」と感じながら褒めるというのもなかなか難しいと思ってしまうようです。
優しい私でありたいとは思いながらも、やっぱり自信のない男性には腹が立たったり、弱い男を見ると責めたくなってしまう。
いったいこの気持ちはどこから出てくるのでしょうか?どうしたらパートナーを心から認めたり褒めたりすることができるのでしょう?
■自分の弱さに気づくことが解決への鍵になる
それには、弱い男を責めたくなる気持ちを丁寧に見ていくことがポイントです。
なぜそう感じるのか?が分かると、どうして怒りが湧いてくるのか?のヒントを得ることができます。
では順番に見ていきましょう。多くの女性が弱い男に腹が立ってしまうとき、その背景にはどんな気持ちがあるのかというと、
「男には強くあってほしい」とか、「頼りがいがあってほしい」などの期待が隠れていることが多いようです。
そもそも期待がなければ弱いところを見ても怒りは湧いてこないですからね。
だとしたら、どうして男には強くあって欲しいと期待をしているのでしょう?
そこには、おそらくこんな願いがあるはずです。
「強い男性に守ってもらいたい」、「私のことを力強く愛してほしい」
自分自身では気づいていなくても、こうした願いを心に抱えていることで、男には強くあって欲しいといった期待が大きくなっていくようなのです。
さらにその奥には、何があるかというと…心のどこかで「本当の私は弱いから」と感じているからかもしれません。
その弱さを「自分ではどうにもすることができない」と感じた分だけ、強いパートナーに守られたい愛されたいという欲求になるんですね。
もちろん、これは単純に男性が強くて女性が弱いと言いたいわけではありません。
誰にでも弱い部分はありますよね。どうしても苦手な分野、なぜか上手くできないジャンルはあるものです。
じつは、この自分の中にもある弱さが、男性への怒りを別の感情に変えていく大切な鍵なのです。
■つながりが怒りを愛に変えていく
たとえば、お金の計算が苦手、計画や段取りが上手にできないなど、弱い部分、自信のないジャンルというものは誰しも持っています。
そこには男女問わず、ほとんどの人が「私の弱さを自分ではどうすることもできない(思い込みも含めて)から、代わりに誰かに何とかしてもらいたい」という欲求を抱えています。
できれば、ここを誰かに満たしてほしい。優しくサポートしてほしい。温かい言葉で褒めてほしい。心から応援してほしい。
こうした欲求を誰かが満たしてくれたら、きっと嬉しいし安心できそうですよね。
ふだんは見ないようにしている自分自身の弱さに光をあてたとき、
「私のこれも、彼と一緒だったのかな」
そんな想いが、ふと浮かんでくるかもしれません。
私たちは相手と共有できる部分を感じられると、その人との心の距離がグッと近づいて親近感を感じます。
近くに感じられた分だけパートナーの気持ちに寄り添いやすく、理解しやすくなり、「そこは私も同じだわ」と感じられるようになります。
そして「だったら弱い部分も受け入れてもらえたら安心するよね」とか、「苦手なりに頑張ってるところを褒められたら自信になるよね」などの共感ができるようになるのです。
すると、パートナーを認めたり褒めたりする言葉が自然に出てくるんですね。
「彼も自信がなくて不安なんだな。それでも彼なりに頑張ろうとしているんだな。」という気持ちがわかる分だけ、
「いつも一生懸命なところ、すごく素敵だね」
「頑張ってるね、応援しているよ」
などのように、相手の価値を見る、承認する、褒める言葉を実感をもって言えるようになるのです。
私たちがパートナーの弱い部分に怒りを感じてしまうと、心の中で「私」と「あなた」を別々にしてしまい、同じ心の地平に立つことを難しくしてしまいます。
しかし、私とあなたのどこが同じなんだろう?2人で手を繋げるのはどこなんだろう?と、一緒に感じられるものを見つけられたとき、そこに「つながり」が生まれます。
別々だった2人が「私たち」になることで、パートナーを怒り責める気持ちから、相手の弱さをどう愛そうか?という発想に変わっていくのです。
(完)