心配は愛すると同意語ではないのです〜心配するよりも大切なこと〜
今回、担当させていただく大門昌代です。どうぞ、よろしくお願いします。
後輩に仕事を頼んだものの、気になって仕方なく「どう?大丈夫?」「えっ?そこはそうじゃなくって、こうするといいよ」などと口出ししすぎて、最終的には、「私がやった方が速い!」と自分でやってしまう結果になる。
なんてことはありませんか?
先輩は後輩よりも、経験してきたことも多いし、仕事に慣れているし、後輩よりも仕事が早く正確にできるかもしれません。
でも、一旦仕事を頼まれたのに、色々と口出しされた挙句、仕事を取り上げられる結果になった後輩からすると、どのような気持ちになるでしょうか?
「先輩から仕事を任せてもらえるように頑張るぞ!」と、やる気になって成長してくれればいいのですが、そのようにハートに火をつけてくれるタイプは意外と少ないようです。
「また、任せてもらえなかった・・・」と落胆するかもしれない。
「やっぱり、私はダメなんだ・・・」と自分責めを始めるかもしれない。
「だったら最初から先輩がやればいいんだ!」と反抗的になるかもしれない。
「やってもどうせ仕事を取り上げられるから無駄だ」と諦めるかもしれない。
成長してきた子どもが友人と出かけると言うと、「誰と?」「どこに?」「何時に帰るの?」「財布は持ったの?」「えっ?!そんな服装で出かけるの?」と、あれこれ口出ししすぎて、子どもから「うるさい!」と言われ、腹が立ってケンカしてしまう。
なんてことはありませんか?
これも子どもからすると、あれこれ口出しされて、親をうとましく感じるでしょうし、いつまでも小さい子ども扱いされてイライラするかもしれない。
親に監視されているようで、不快に感じるでしょうし、あまりにうるさいので、内緒でこっそり出かけるようになるかもしれない。
この二つの例は、相手を信頼していない時に起こります。
後輩も子どもも、まだまだ未熟だし、教えてあげなくてはいけないと思うからこその言動かもしれませんが、別の見方をすると、「私が正しい」「私の方が優れている」と思っているとも言えるわけです。
「私が正しい」「私の方が優れている」と思っているなんて、なんだかちょっと嫌なヤツって感じですよね。
もちろん、悪気なんてないのです。
でも、信頼できずにあれこれ口出ししすぎると、相手とトラブルになることも増えますし、関係性が拗れてしまことにもなりかねない。
また、「どうせ何をやっても口出しされる」「やるだけ無駄」と、相手のやる気を削いでしまうこともあります。
これらは、自分以外の誰かを信頼できないときに起こる問題です。
「いやいや、後輩や子どもを信頼して任せたら、とんでもないことになる」と思うかもしれませんが、それだといつまでたっても、後輩や子どもは成長できないのです。
もちろん、後輩や子どもに対してだけのお話ではありません。
あなたの人間関係全般において、自分以外の人を信頼できないでいると、関係性が悪化し、あなたの周りの人の成長を妨害してしまうことがあるのです。
もちろん、明らかに信頼できない人を無条件に信頼する必要はありません。
そんなことをしたら、騙されてしまうことだってあるかもしれませんからね。
でも、あなたの周りの大切な人のことは、信頼することで関係性が良くなったり、大切な人が、より成長することを応援することだってできるのです。
「心配して口出しするのは、愛しているからだ」と思うかもしれません。
確かに、愛している大切な人のことは、心配になることもあります。
「仕事成功できるかな?」「失敗しないかな?」「嫌な目や辛い目にあわないかな?」
心配になって、口出ししそうになった時、その大切な人のことを、信頼してみてください。
心配ではなく信頼です。
「仕事成功できるかな?心配だな。でもあの人は努力していたし、学んでもいた。あの人ならきっとこの仕事を成功させることができる。もし万が一失敗したとしても、あの人はきっとその失敗から学ぶだろう」
と、その人のことを信頼するのです。
怪我をしたり、取り返しのつかない大惨事を黙って見過ごしましょうと言っているのではないのです。
もしそのような危険な状態ならば、その人を守ることが大切です。
でも、多少の失敗なら、その人がきっと乗り越えていけることを信頼してみましょう。
人は、信頼されると「信頼にこたえたい」と思います。
でも心配されると、否定されているような気持ちになったり、自信を喪失したり、相手へ攻撃的な気持ちを持ったりしてしまいます。
心配される側の人間が、「ああ、また心配しているな。本当に心配性なんだから。私は大丈夫」と自信を持っている人ならいいのです。
あなたの心配を聞き流してくれますから、あまりトラブルにならないことが多いものです。
でも、そうではないことも多いものです。
心配して口出しすることで、あなたの正しさや、あなたの優秀さは証明されるかもしれません。
悪気は全くないのですが、あなたが正しく、あなたの方が優秀ということは、相手は間違っていて、優秀ではないということになってしまいます。
それでは、関係性は悪くなるばかりです。
相手を信頼するということは、大切な人との関係ではとても重要なことなのです。
簡単ですけれど、参考になりましたら幸いです!
ありがとうございました。
(完)