“親の気持ちを教える”という子どもへの接し方

・子どもの前では出来るだけ笑顔で。泣き顔や困った顔、怒っている顔は見せない方がいい。
・親として毅然とした態度でいる。親として子どもの見本になるような行動をする。

こう言った考え方は、どちらかと言えば、まだこういったメンタル的なことが世の中に広く知られていなかった昭和の時代によく聞かされた言葉だと思います。
だけど実際には、まだ多くの人がこの考えを持っていらっしゃるようですね。

確かにそれは正論かもしれません。

子どもの前では笑顔でいる方が子どもは安心できる。
毅然とした態度で子どもの見本になる行いをする。

子どもを持たれる親御さんの多くの方が多かれ少なかれ意識していることだとも思います。
だけど私たち人は誰しも完璧ではいられないし、完璧でいる必要ももちろんありません。

ただ、自分が出来る限りのことは、出来る範囲でやってあげたいとは思うものですね。
その出来る限りのことの中で、とても大切だけど案外私たちが意識もしていないことってあるようです。

今日はそんなお話です。

 

■親である自分のことを認めていますか?

・自分自身のことは知っていますか?

実際のカウンセリングでは、自分のことを知らない人は案外たくさんおられます。
自分が何がしたくて、何が好きで。
自分はどんな子で、人は自分をどう思っていて・・・。

こういったことをお客様にお聞きすると、それに答えられないんですよね。
自分が何をしたいのか分からない。
自分の好きなものがわからない、見つけられない。
自分の人となりについては、

私はすごくわがままで・・・。
あんまり自分は好きじゃないです。
人様のお役に立てているんかな。

こういう言葉をよくお聴きするんですね。
自分のことでもわからないことがたくさんあって、しかも自分のことを悪く捉えしまうんです。

自分を知ることって、実はとても大事なんです。
多くの人が自分を誤解しているからなの。

私はダメだとか、自分は悪いとか。
それはきっと今まで生きて来た中で、辛かったり腹が立ったり、悔しかったり寂しかったりと、傷ついて来た経験からだと思います。

でもそんなあなたが今子育てをしている。
それってすごく立派なこと。努力のたまものです。

だけど、そんな過去のダメージが大きい人ほど、あまり自分のことを良く思えていないんですよね。

・一日の終わりに自分に声をかけること

お母さんになったら、いっぱいやることが出て来ます。初めての子だったらなおのこと、知らないことばかりで教えてもらうことも考えることもいっぱいになっちゃいます。
するともっと自分のことなんて考える時間も余裕もなくなりますね。
だから余計自分のことはほったらかしになっちゃって、自分の手が及ばないことや、出来ないことを見つけると、自分をもっともっと責めてしまって、更に自分のイメージは悪くなるばかりです。
たった一言でいい。寝る前にせめて一言でいいんです。
「ああ、今日も私は私なりにベスト尽くしたよ。」
そうやって一日の自分の行動を認める一言だけは、自分にかけてあげて欲しいと思います。

 

■自分を認めることで出来る子育て

・自分を今を認める

ベストを尽くしている。精一杯頑張っている。
そう思えることってとっても自分の評価を上げられるの。
自分にも優しくなれる。自分を認めてあげられる。

私たちは上手く行かないことがあっても、失敗することがあっても、みんな当たり前のように反省するし、自分を責めることだってオートマチックにやってしまうかもしれません。
でもその後で必ず自分をフォローしてあげることって大事なのね。
ミスを責め続けるだけでは人は成長しないし、そこに更にストレスがかかるからまた同じことを繰り返す可能性だってあるんですよね。
反省した後は必ずフォローしてあげましょう。それでも頑張ったと。

こういう自分への接し方って、実は子育てにはとても役に立ちます。

・子育てに活かせる自分のフォロー

私たちは、生活上で、自分に対する考え方や感じ方が、外に映し出されることってすごく多いんです。例えばね。
自分のことを「あんたはなんでいつもミスばっかするんよ!!」
ってこんなふうに自分を責め続けていると、自分以外の人に対して、
「あなただってそう思ってんでしょう。」って誰かに責められているように感じたり、
「ミスばかりする私なんて馬鹿にしてるよね。」って思ってしまったり、
そんな時、「ミスなんて誰にでもあるんだから。」と相手は慰めたつもりでも、言われたとたん、上から目線で偉そうに指図されたように感じたり。

実際に言われたわけではなくとも自分を責めている度合いだけ、周りにもいいように思われてないと感じやすくなるの。

でもこれは子育てでも出て来ます。

自分のことを責めてばかりいる多くの親御さんが言います。
「子どもが泣き止まないと、私を責めている気がするんです。」と。
「子どもがわがままばかり言うので、私をわざと困らせるために言ってると思ってしまいます。」と。
後から冷静になると、そんなわけがないとどこかでは分かろうとするようですが、瞬間的に自分も子どもも嫌になると言われます。

子どもを愛してあげたい、幸せにしてあげたいと強く思うがゆえ・・・。
一生懸命であればあるほどこうなっちゃうことが多いんですよね。

一生懸命頑張ること。
これはすごくいいことですが、自分が壊れちゃうほど頑張る必要はありません。
それでも頑張っちゃうなら、やっぱり自分に優しい言葉をかけることは必要ですね。
自分に優しい、無理をさせない声かけが多いほど、子どもが失敗しちゃった時、上手くできなかった時、自分にしてあげた優しい声かけを、子どもにも自然と出来るようになるんです。

 

■あなたの感情も見せる子育て

・あなたのことを教えませんか

自分に優しくすることや自分を認めることが少しずつ出来るようになったら、今度は子どもとの会話の中で、少しやってみて欲しいことがあります。
それは、

自分の気持ちを伝えること

です。
子どもに自分の気持ちを伝えることって、逆に、あまりしないようにしている人が多いように思うんですね。

私たちが子どもの頃、親にいろいろ怒られて・・・。
でもあの時なぜ怒られたのか分からないというお客様が多いくらいで、私たちは子どもの頃よく親に怒られていても、なぜそこまで怒られたのか、なぜ親はあんなことを言ったのか・・・という詳細についてはあまり知らないままということが多いです。
それは、メンタルを大切にという世の中でなかったという時代も大きく関係していると思いますが、そこに、

親だったら毅然とあるべきとか、親がなめられてはいけないとか、母親として、父親として、こうあるべきが多い世の中だったからかもしれません。

だから親の情けない姿を、生き方を見せたくない、見せて親が子どもになめられてはいけないという気持ちになったのだと思います。
でもなぜが分からないと、怒られた原因が分からず、子どもである私たちは、

“きっと自分が何かした”

と、原因を自分にしてしまうんだと思うんですよね。

なぜそうなのか、理由を伝える。

これを私たちの親世代は、多分教える発想がなかったのではないでしょうか。
今のように寄り添う子育てという考え方ではないし、厳しい時代を生き抜いて来たと思いますしね。
こうあるべきああするべきだと、親がみっともないと感じることを説明するのは難しかったと思います。

だけど、例えば3,4歳。もっと小さな子どもの場合であっても、親が何かを言った、したその理由を、出来るだけ分かりやすく教えてあげることって、今はいいことじゃないかなぁと思っています。

・子どもは感情で理解しようとしてくれる(息子との会話にて)

息子が小学1年生の頃のことです。
お片付けをしない、学校の用意もしない、ゲームばかりする息子にすごく手を焼いていました。
何度言っても何度注意しても治らない。
頭のどこかでは分かっているんです。
小学校1年生なんて、まだまだそんなことがほっておいて出来る年齢じゃない。これからゆっくり理解していくこと、出来るようになることだって。
それでも毎日の繰り返しに耐えられなくて、息子をすごく怒鳴ったことがありました。

まあ・・・。日頃カウンセラーとしてしっかりしてるように見られていても、自分のこととなるとこんなものです・・・。

息子は当然私の怒る顔や声の大きさ、何もかもが怖いだろうし、なかなかうまく出来ない自分にもイライラするし、わんわん泣いてたんですよね。
だけど怒ってる私は冷静になれなくて、自分を止められなかったんです。

でもそんなことをした私も後から冷静になったら猛省です。
冷静になってようやく思い知るの。5歳の子になんて言い方をするんだって。
もともと私も自分をすごく責めやすいので、散々自分を罵ってしまうんですよ。でもそのたびに、「でもあの時の私はそれ以外の方法が見つからなかった。瞬時にやってしまった。悪意はない。ただ止められなかったんだ・・・。」
そうやって自分のやってしまったことを、出来るだけ責めないように自分を慰めます。自分に優しくあろうと努めました。
で。自分が落ち着いたころ、息子のところに行って言いました。

私:「さっきは怒鳴り過ぎてごめんなさい!」
息子はおびえたような、とまどったような顔でした。
私:「あなたはこれからお片付けの方法や、学校の準備のやり方をいっぱい学びながら、失敗しながら覚えていくのが当たり前なの。なのにママはね。あなたのこの先の先の、もっと大きくなってからのことまで今から考えすぎて、ちゃんと出来るようにさせなきゃさせなきゃって、1人で焦ってたんだと思う。あなたの大人になった時のことまでママ考えてて・・・。考えすぎだよね。焦り過ぎだなぁって反省しました。」
息子:「違う! ママ悪くない。僕があかんから、ママ困らせてん。」

そう瞬時に言う息子に対して、ああ、こんなふうに思わせてしまったと更に反省してしましました。

私:「あなたは優しい子だね。ありがとう。そう言ってくれて。でも今回はあなたは本当に悪くないの。小学生になったとこだよね。もっとゆっくりでいいんだよ。今までと違う生活になるからね。片付けとか準備とか、そんなのゆっくりやればいいのに。それよりあなたを落ち込ませてしまって、今友達とゲームしてないやん。 そんな気持ちになれないくらい、すごく悲しませてるあなたにしてしまったママが言い過ぎです。あなたが元気で笑っているのがママ一番幸せなのに、急にあんな怒鳴り方したらあかん! それに私が怒ってる時何度もごめんなさいってあなたは言ってたのママ知ってる。だったら私も言います。ごめんなさい。ママ怒りすぎです。だから仲直りしたくて話に来ました。許してもらえるかな。」

息子はあっさりと、いいよって、ハグをしてくれました。
子どもは大人よりずっと強くて優しいです。

子ども相手に親が無理をして毅然とした態度でいる必要ってないんですよね。毅然としなくとも、親は自分よりいろいろ出来る、いろいろ知ってると、親のことは当たり前のように尊敬してくれています。
でも私たちはやっぱり少しでもいい親であろうと頑張って、それが子どもの幸せに繋がるということを、誰しも多かれ少なかれ信じているのかもしれません。
ただその頑張りが、時には自分にとても無理をさせていることを少しでも知って欲しいと思います。
その頑張りで、幸せにしたい子どもと言い合いになってしまうようなことがあったなら、その時は、みなさんどうか、勇気を出して子どもに自分の正直な思いを伝えて、自分も相手も責めないようにして欲しいと思っています。

このお話が、子育て中の皆さんにとって、少しでも楽になる記事であれば小川は嬉しく思います。

次回は、高塚早苗カウンセラーです。
どうぞお楽しみに。

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この記事を書いたカウンセラー

About Author

アルコール依存症の父からの虐待経験、学生時代のいじめから、恋愛依存、不倫や風俗を経て、自分を抑え付けるような結婚生活後、8年で離婚。その後自分に向き合い、今は穏やかに生きる。 過去のあらゆる経験をもとにして、恋愛関係、家族関係を得意とし、お客様と共に成長するスタイルを取る。