人はなぜ怒るのか(2)〜愛してほしい〜

愛してほしいから怒りを感じることがある

怒りを感じるとき一つ目は「愛してほしい」ときです。愛してほしいという言葉がピンとこない場合は、大切にしてほしいと置き換えて考えてみるといいのかもしれません。誰もが、大切に扱われたいと思っています。ですから、大切に扱われないときに怒りを感じるのはある意味当たり前かもしれません。
大切にされていないと感じたときに、私たちは怒りを感じますが、同じような出来事があっても出来事に対しての解釈の仕方が、人それぞれ違うので、怒る場面は人によって違ってきます。

私たちが感じる感情の中で、最も取り扱い困難なのではないかと思われるのが、怒りという感情。
怒りの正体は、「愛してほしい」「わかってほしい」「助けてほしい」という思いを言えなかったり、そもそもそのようなものがあると自分自身でもわかっていないということであり、忙しすぎたり、我慢しすぎたりして余裕がないというのも、怒りの原因です。

今回は、「愛してほしい」「わかってほしい」「助けてほしい」の中から「愛してほしい」についてです。

愛してほしいから怒ると言われても、ピンときませんよね。
そもそも私たちは、普段から「愛してる」とか「愛してほしい」という表現をあまりしませんからね。
でも、「愛してほしい」を「大切にしてほしい」と言い換えると、なんとなくわかるような気がしてきませんか?

私たちが怒るとき、自分が大切にされていないと感じるときでではないでしょうか。

◆恋人があなたの誕生日をすっかり忘れていた。

◆友達が約束の時間になっても、待ち合わせに現れなかった。

◆会議の時、あなたの分だけ飲み物が用意されていなかった。

◆雑用ばかり押し付けられる。

◆有給休暇を認めてもらえない。

◆悪口を言われた。

もちろん、その他にも怒りを感じる状況は、数限りなくあります。

このような状況があったとき、「大切にされていない」と感じると私たちは怒りを感じるのではないでしょうか。

誰もが「大切に扱われたい」と思っています。
だから、大切に扱われないとき、怒りを感じるのはある意味当たり前なのかもしれませんね。

このときに、「もっと私を大切に扱ってほしい」と言えれば、そして相手に伝われば、大きな怒りにはならないでしょう。
でも、もしかしたら恋人があなたの誕生日を忘れたのは、大切に扱っていないからではなく、仕事が忙しくて本当についうっかりしていただけかもしれない。
そうであったとしても、私たちは自分自身が「大切にされていない」と解釈した時に怒りを感じるのです。

友人が約束の時間になっても、待ち合わせ場所に現れなかったのは、電車が遅れているからかもしれない。
あなたに連絡しようにもスマホを忘れてきてしまったのかもしれない。
そうであったとしても、「大切にされていない」そう解釈すると怒りを感じます。

「大切にされていない」と解釈して怒りを感じるのだとしたら、それは「大切にしてほしい」ということでもありますよね。

「愛してほしい」と言われてもピンとこなかったかもしれませんが、どうでしょうか「大切にしてほしい」という言葉だと理解が少ししやすくなりませんか?

私たちは、人それぞれ物事の解釈の仕方が違います。

誕生日を忘れられても、「忙しかったのね」と解釈する人もいれば、「大切にされていない」と解釈する人もいる。
友人が約束の時間に現れなくても、「電車が遅れてるのかな?スマホも忘れたから連絡できないのかな?」と解釈する人もいれば、「大切にされていない」と解釈する人もいる。

人それぞれ解釈の仕方が違うので、このような状況になれば、人は必ず怒りますということにはなりません。
その人自身が、「大切にされていない」と解釈したかどうかなのです。
だから、人によって怒る場面が違ってくるわけです。

恋人に誕生日を忘れられても怒らない人もいる。
そんな人をみて、「私なら怒り狂うのに、怒らないなんてできた人だな。それに比べて私ってなんて器が小さいのだろう」と落ち込む必要はありません。

解約の仕方が違うだけなのです。

そりゃ大切にされていないと感じたら怒りを感じても当たり前ですよね。

ただ、怒りの取り扱いが難しいのは、大切にされていないのは、あの人が悪いからだと、自分以外の人のせいにしてしまうと当たり散らしてあなたの評判を落とし、関係性を悪くしてしまうこと。
そして、怒りを爆発させても、「大切にされていない」と感じた気持ちはどうにもできないので、怒り続けることになってしまうことです。

「大切にされていない」と感じるのは自分自身です。
相手があなたを大切にしているかどうかは、別の話になります。

「ああ、私は大切にされていないと解釈したのだな」と、自分自身で理解することで、ではどうしていこうかと対応方法が考えられますよね。

相手に伝えたり、自分の解釈方法を変えたりすることだってできます。

私たちが怒りを感じる一つ目は、「愛されていない、大切にされていない」と解釈したときであり、「愛しほしい」「大切に扱ってほしい」ときなのです。

(続)

心理学講座4回シリーズ/同シリーズ記事はこちら
  1. 人はなぜ怒るのか(1)〜怒りの正体〜
  2. 人はなぜ怒るのか(2)〜愛してほしい〜
  3. 人はなぜ怒るのか(3)〜わかってほしい〜
  4. 人はなぜ怒るのか(4)〜助けてほしい〜
この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛や結婚、浮気や離婚など男女関係、対人関係やビジネス関係、家族関係や子育て、子供の反抗期、子離れ、親離れ問題など幅広いジャンルを得意とし、お客様からの支持が厚い。 女性ならではの視点と優しさ、母としての厳しさと懐の深さのあるカウンセリングが好評である。PHP研究所より3冊出版。