人にも自分にも、困難の壁を乗り越える勇気を与える人になる!
人が成長し変化していく過程では、必ず困難の壁にぶつかります。目の前に立ちはだかる壁を乗り越えるには、「私には乗り越える力がある」と自信を持って挑みたいですよね。
「困難を克服する活力を与えること」を、アドラー心理学では「勇気づけ」と言います。今回は、自分や他人に対して「勇気づけ」をしていくための7つのポイントをお伝えします。
(1)加点主義
素晴らしさや良い変化、取り組む意欲や姿勢など、ひとつひとつを肯定的にうけとめていきましょう。そして、進歩や成長を共に喜びましょう。
普段から相手に興味を持ってかかわっていると、その人の人柄の良さや小さな変化にも気づけるようになるでしょう。
加点主義の対極にあるのは、できていないところや失敗などに着目して、評価を引き下げていく減点主義です。減点主義でいると、婚活や転職などでも先方に魅力を感じられなくなってしまいます。加点主義を身につけると、自分自身が気分よくいられるようにもなるでしょう。
(2)ヨイ出し
できているところや良いところを積極的に承認する姿勢を持ちましょう。普段から「よかった」「できた」「楽しい」「おもしろい」「好き」など、ポジティブな出来事・感情に反応する練習をしておくといいでしょう。肯定的に物事をとらえる習慣が身につき、ヨイ出しがしやすくなるでしょう。
ヨイ出しの対極にあるのは、できていないところやマイナス面に意識を向ける「ダメ出し」の姿勢です。ダメ出しは心の活力を削りやすいものです。ダメ出しからヨイ出しに意識を切り替えるには、人に対して感謝することを心がけるといいでしょう。
(3)プロセス重視
結果だけではなく、取り組んでいる過程も大切にしましょう。0か100ではなく、0から1、1から10になる過程に寄り添って、ひとつひとつを承認しましょう。
誰かが自分のがんばりを見ていてくれる、知っていてくれる、気づいてくれると思えると、心が安定します。安心してチャレンジする勇気につながるでしょう。
プロセス思考の対極にあるのは、結果重視。たとえ結果が出なかったとしても、取り組んできたプロセスは無駄ではありません。学びや経験になったなど、何かしら意味があると捉えていきましょう。
(4)協力原理
共通目標に向けて、協力し合う姿勢を持ちましょう。誰にでも得意・不得意がありますし、向き・不向きがあります。相手の長所や持ち味を認めながら、お互いを援助し合う協力関係を目指しましょう。
協力原理の対極は、競争原理です。人との比較や、優劣・勝ち負けに心をとらわれて競争していると、本来打ち込むべき課題に集中できなくなってしまいます。
ラグビーのチームのように、ひとりひとりが自分の体格や持ち味を生かしながら、トライのために全員が協力しあうようなイメージが持てるといいでしょう。
(5)人格重視
存在そのものを肯定する気持ちを大切にしましょう。人の存在を肯定することは、自分自身の器を大きくします。
誰にでも不十分なところがありますし、間違うこともあります。「罪を憎んで人を憎まず」という言葉があるように、仕事のミスや子供の危険行為など、部分的には修正を求める必要があるでしょう。しかし、「人を憎まず」で、人格や存在は否定しないよう心がけましょう。
(6)失敗の受容
うまくいったことをほめるのは、そんなに難しいことではないでしょう。明らかな成功には、多くの賞賛が集まります。むしろ、うまくいかない時や失敗をした時にこそ、支えや応援が必要なのです。
失敗をして凹み、悔しい思いをしているのは、失敗をした本人でしょう。周囲ががっかりして責めてしまったら、失敗した人が「期待にこたえられなかった」と落ち込む理由が増えるかもしれません。
自分の失敗も、他人の失敗も受容していきましょう。「失敗したのはチャレンジした証」「経験してみて気がつくことがある」「学習のチャンスだった」「成功にひとつ近づけた」など、困難を乗り越える援助を意識しましょう。
(7)聴き上手
人は基本的に話したい欲求があります。「自分の話しを聴いてもらえる」という安心感があれば、考えていることや本音を話しやすくなります。しかし、聴き手側にも「私が話したい」という誘惑はあるものです。
聴き手側の興味で多くの質問をするのではなく、相手の話したいことに耳を傾ける姿勢が大切になります。また、適度にうなずきやあいづちを入れ、聴いている態度を示すと、相手が話しやすくなるでしょう。
聴き上手と話すと、話すことで考えが整理されたり、気持ちがスッキリしたり、「もう一度がんばってみよう」と意欲を取り戻したりもできるでしょう。
◯自分と他人とに勇気づけを
7つのポイントすべてを上手にやろうとしなくて大丈夫です。まずは、意欲を持ってみてくださいね。そして、他人に対してだけではなく、自分自身に対しての勇気づけにも取り組んでいきましょう。
(完)