好かれるには好かれるだけの理由がある
苦手なタイプから好かれてしまう人には、ある共通点があります。それは「とても良い人である」ということです。
良い人は、優しくて、気を遣い、遠慮深く、とても人に好かれる人です。いつも笑顔で、人の気持ちを察する能力に長けています。
お誘いや頼まれごとをされたときにも、断らないことが多いでしょう。よほどのことがなければ「基本引き受ける人」なのです。引き受けすぎて、自分の仕事が後回しになることもよくあります。
相手の立場になって考えることができるので、自分がされて嫌なことは人には絶対にしないようにしようと固く誓っています。
本当に良い人なのです。自分が思うよりも多くの人に好かれています。
◆良い人のまわりには良い人が好きな人が寄ってくる
しかし、「良い人でいなければいけない」という観念が強めな場合、それが裏目に出てしまうことがあります。
良い人のまわりには、都合良い人が好きな人が、断らない人のまわりには、頼み事が好きな人が寄ってくることがあるのです。
すると、良い人はニコニコしながら「いいよ、いいよ」となんでも引き受けてしまうのです。「私にできることがあればいいよ。だってお互い様だもんね」と。
これが「お互い様」になればいいのですが、そうならないことがほとんどです。だって、そういう人のまわりには、そういう人が好きな人が集まっているからです。
良い人は、小さい頃から「みんなと仲良くするのよ。お友達は大事にするのよ。困っている人がいたら助けてあげなさい。」と言われて育ったような人が多いのです。
みんなと仲良くする。それは親や先生から言われたことなのですが、大人になった今でもきちんと守り続けているのです。
◆苦手な人にばかり好かれるという謎の現象
良い人は「人を嫌ってはいけない」と思っています。「嫌いというネガティブな感情をもってはいけない」と人よりちょっと強めに思っているのです。
なので「この人、ちょっと苦手かも…」という感情がわいてきたときに、その感情を相手に悟られてはいけないと思い、なんとかしてそれを隠さなければいけないと思います。
すると、どうなると思いますか?
「この人、ちょっと苦手かも」と感じた人に、「嫌いという感情が相手に伝わってはいけない!」と思うので、いつもよりニコニコしてしまうのです。
これは、ネガティブな感情を隠すためにやっているのですが、表面的に相手に見えるあなたは、超ニコニコ笑顔の人なのです。
すると、すごく苦手な人にとても好かれるという現象がそこに起こるようになります。
同じようなことは、ラインの返信であれ、電話の対応であれ、あちらこちらで同じようなことが起こります。
「この人、ちょっと苦手かも」という人ほど、それがバレないように、かわいいラインのスタンプを送ってしまったり、とても丁寧な受け答えで対応をしていたりするのです。
「人を嫌ってはダメだよね」という思いが裏目にでると、苦手な人の前ほど愛想よくふるまっていることがあるということです。これは無自覚なことかもしれませんが、良い人にはありがちなパターンなのです。
「苦手」「嫌い」という気持ちも大切な感情のひとつです。この感情があるからこそ、当たり障りのない距離まで離れることができるのです。
そう考えてみると、良い人は「人との距離感ちょっと近め」な印象をみんなに与えているのです。それを「私に好意をもってくれているのかも」と捉えられることもあるのでしょう。
苦手な人にほど好かれてしまうのは、そのあたりにどうも理由がありそうなのです。
◆良い人ほど陥りやすい罠から脱出するために
人によっては嫌いなものを好きになろうと努力している人もいます。もちろん、無自覚です。
嫌いという気持ちを感じてはいけないと抑圧すると、好きという気持ちも同じように抑圧されてしまうので、だんだん自分が何を感じているのかがわからなくなります。
「私は何したいのかわかりません」という人が良い人には多いのです。そう考えてみると「嫌い」も大切な感情なのですね。自分のなかにあって当然だし、あるべき感情でもあるのです。
心の中でかまわないので「私、あの苦手だな」とつぶやいてみるとどうでしょうか。自分の感じている感覚を否定していないのだとしたら、むしろスッとするはずです。
どうか自分の感じ方を大切にしてください。むしろ「苦手」という感情を認めることができると、もともと近すぎた距離感を自分のほうから調節できるようになるでしょう。
今までは「相手が私に寄ってくる!」と思っていたかもしれませんが、意外と自分から踏み込んでいたなんてこともあるのです。
苦手な人の前ほどニコニコしている自分を発見したら「あ!これか!」とわかると思います。そのニコニコは心からの笑顔ではなく、自分のネガティブな感情を隠すための過剰なニコニコなのです。過剰な分だけをやめてみてはいかがでしょうか。
良い人ほど陥りやすい罠ですね。ご注意くださいませ。
(完)