相談者名 | てる |
42歳独身一人暮らしの女性です。 よろしくお願いします。 私はとても食いしん坊で、糖尿病です。 食欲が旺盛すぎて、食べることが我慢できません。 もともと小さい頃から大食いの方で、太りやすく、5人前くらい食べないとお腹いっぱいになれません。 ついに糖尿病になったのは3年前で、粗食を心がけないといけないのに油ものや炭水化物、ジュースなど我慢できません。 我慢していると生きている心地がしません。 また、もうひとつ問題なのですが、私はもう3年くらい歯を磨いていません。 コロナ禍でマスク生活になったことをいいことに面倒くさくて全く歯を磨かなくなりました。 お風呂にも3ヶ月に1度くらいしか入れません。 リモートワークなので人と会わないので、友人と会う約束などをしないとお風呂に入れません。 極度の面倒くさがりなのです。 不衛生で不潔で、きっかけになればとドライヤーや歯ブラシなどを買ってみたりするのですが箱から開封すらせず埃が積もっています。 どうすれば食欲が人並みになれるでしょうか? どうすれば清潔にしようと思えるでしょうか? 糖尿病が悪化する一方で、食欲に殺されるのかな……なんてふとこの頃考えています。 | |
カウンセラー | 帆南尚美 |
てるさん、こんにちは。 カウンセリングサービス所属・心理カウンセラーの帆南尚美と申します。 よろしくお願いします。 てるさん、糖尿病が悪化しているのに食欲が抑えられないとのこと、心配ですね。 ご相談いただき本当にありがとうございます。 ご相談内容を拝見して、てるさんのお悩みは健康や生活全般に影響する大きな問題である一方で、言葉の選び方がウィットに富んでいらっしゃるし、状況の伝え方などがとても分かりやすく的確で、てるさんという方は、いつも相手の立場に立って物事を考える、優しくて聡明な方だという印象を受けました。 さて、てるさんは「 もともと小さい頃から大食いの方で」とおっしゃっていますね。 たくさん食べて太りやすい方はいらっしゃるでしょう。 ただ、病気になってしまうほど食べてしまうとしたら、食べ物を欲しているのは、てるさんの体というよりは「心」や「気持ち」のほうといえるかもしれません。 まず食欲を抑えられないということについてなのですが、私たちは何か「どうしようもなく感じたくない感情」があるとき、それを感じなくていいように、別の刺激を求めることがあります。 刺激というのは食べることもそうですが、人によっては賭け事やパチンコだったり、お酒だったり、買い物やハードワーク(お仕事)だったりするようです。 「どうしようもなく感じたくない感情」とは、本当は親しくなりたい人がいるのに、うまく行かない悲しい気持ちかもしれませんし、人づきあいがうまくいかずに独りぼっちな感じかもしれません。 人によっては空虚感とか、絶望などと表現される場合もあるようです。 ひとことで表現できるものではないかもしれませんが、心から人とつながれない「寂しさ」からくることが多いと言われています。 寂しいならば、誰かに近づいて仲良くすれば良さそうなものですが、そう簡単にはいかないことがありますよね。 自分が仲良くしたいと思っていても、相手はどう思っているか分からないと感じるかもしれませんしね。 つまり相手のことを大切に思えば思うほど、自分から近づけなくなるような優しい心を持っている人ほど、実は寂しい気持ちを隠し持っていることが多いようなのです。 もしも、 (食いしん坊だから)食べたい、(食欲を抑えられないから)食べる、だから太ってしまうのだとしたら、 食いしん坊の私が悪くて、食欲を抑えられない私がいけないんだと思うかもしれません。 でも、 (寂しさを感じたくないから)食べたい、(寂しさを感じなくていいから)食べる、だから太ってしまうのだとしたら、 てるさんが向き合うべきは、食いしん坊なことや食欲を抑えられないことではなく、寂しさかもしれません。 それにしても、寂しさ等これほどのお辛い気持ちを抑えていらしたのは、よほどのことだったのではないかと思います。 よくここまで一人で我慢されていらっしゃいましたね。 しかも食べてしまっているご自分を責めることもあったでしょうし、だいぶお辛かったのではないでしょうか。 てるさんは、食べたい気持ちを「 我慢していると生きている心地がしません。」とおっしゃっていますよね。 食べることが感情のストッパーだったとしたら、そのストッパーがなくなることは、とても怖いことでしょうから、生きている心地がしないのも理解できるように思います。 ではいったい寂しさなどは、どうやって軽減できるのでしょうか。 寂しさというのは、大好きな人に目一杯愛されたら、寂しくなくなると思いませんか? そんな素晴らしい人に出会えたとしたら最高ですよね。 そんな人はどこにいるんだろうかと思うかもしれません。 でも実は、目一杯愛してくれる人を探さなくても大丈夫です。 なぜなら、私たちは誰に一番愛されると安心して寂しさを感じないかというと、それは私たち自身だからです。 自分で自分の存在を愛することが大切だと言われています。 自分で自分の存在を愛するなんて難しそうと思われるかもしれませんが、心には投影といって、他人に向けたものが自分に返ってくるというしくみがあります。 たとえばきれいな花を育てるとか、ペットを育てるなど、その存在そのものを愛することは、自分を愛することにつながると言えるのです。 花やペットばかりではなく、人であってももちろんいいでしょう。 てるさんなりの、心からの「愛する」対象を探してみてはいかがでしょうか。 * 次に、清潔になれないというご相談についてです。 てるさんは、「友人と会う約束などをしないとお風呂に入れません。」とおっしゃっていますね。 ということは、誰かと会う約束があれば清潔にできるけれど、自分ひとりなら清潔にできないということですね。 自分を清潔に保つということは、自分を大切にすることと言いかえることができるかもしれません。 たとえばお皿であっても、食べ残しをそのままにせず、きれいに洗って拭いて、磨いておくのは、そのお皿を大切に扱っていると言えるのと同じです。 人と会うなどという理由があれば自分を大切にできるけれど、なにも理由がなければ大切にできない、つまり自分だけのために自分を大切にすることができない、というご相談と理解しました。 なぜ自分だけのために自分を大切にできないのかというと、てるさんは無自覚かもしれませんが、 心のどこかで「こんな私なんて、大切にしなくてもいい」という思いが隠れているかもしれません。 これは食べ過ぎてしまうという話にもつながりますが、「こんな私なんて、大切にしなくてもいい」と感じていると、 体を壊してまでも食べ過ぎてしまったり、仕事をやり過ぎてしまったり、他人のお世話ばかりで疲れすぎてしまったり、などということが起こり得ます。 てるさんは、いかがでしょうか。 もし少しでも心当たりがおありならば、てるさんがご自分のことを大切にするということを学ぶ必要があるのかもしれません。 自分を大切にするという感覚が分かりづらいとおっしゃる方もいらっしゃいます。 いつも人のことばかり気にかけていたり、我慢ばかりしている方かもしれません。 ご自分の好き・嫌いの感覚に耳を澄ます必要があると言ってもいいでしょう。 ただしこれは、少し練習が必要です。 たとえばお散歩に出かけて、交差点を右に曲がるか左に曲がるか、今日の気分はどっち?と自分に問いかけてみるのです。 今日はこっちに行きたい、という気分にまかせて進んでいきます。 途中でかわいいお花が咲いているのを見つけたら、ご自身の気分に合わせて立ち止まって眺めてもいいし、写真を撮ってもいいですよね。 そうやって、ご自分の気分を聴いてあげて大切に扱ってあげることから、自分を大切にすることが徐々にできるようになっていったりします。 最初は「どっちがいい?」と自分に聞いても「どっちでもいい・・」と思うかもしれません。 そんなときは、直観でエイッとどちらかを選んでみてくださいね。 そして直観で選べた自分を「よくできました!」と褒めてあげてください。 * どうすれば食欲が人並みになれるでしょうか? どうすれば清潔にしようと思えるでしょうか? というご相談でしたが、自分自身を愛することで寂しさを癒やし、自分を大切にすることを学ぶ、という二つが、解決へのヒントとなると考え、提案させていただきました。 てるさんにとって、何かしらのご参考となりましたら幸いです。 |