つらい恋愛ばかりなのはなぜ?
とても多いケースとしては、親から愛されなかったと思っていると、「私を愛さない人から愛情をもらうことに執着をする」「愛しにくい人を愛することに執着をする」ことがあります。
親に愛されたくない子供はいません。愛されたかったのに愛されなくて傷ついた…という思いが残っている分だけ、いま目のまえにある関係性への執着となって表れることがあります。
たとえば、しようと思ってするわけではないけれども、いつもつらい恋愛、いつも幸せになれそうもない恋愛ばかりを選んでしまう人がいます。
私は愛されないと思っていると、その思いを証明するかのように、「私を愛してくれない彼」と出会い続けることがあるのです、
たまに「私を愛してくれそうな彼」に出会うこともあるのですが、そういう人には魅力を感じられません。「う~ん、いい人だと思うけれども、男性として見られないわ。ときめかないわ」という感じで、ことごとくスルーしてしまうのです。
だって、求めているのは「私を愛してくれない人(親の面影)」から愛をもらうことだから。満面の笑みで私にやさしくしてくれる人ではダメなのです。不思議なことですけれども、私達の潜在意識はそんなふうになることがあるのです。
◆愛されなかった悲しみが復讐心になることもある
親に愛されたかったという執着心が残っていると、無意識的に起こるのが“親への復讐”です。これはどういう形で復讐するかというと、「あなた達が愛してくれなかったおかげで、私はいまだに幸せになれない」と傷ついた自分を見せつけるというやり方です。
残念なことに、大人になった私達は、いま目の前の関係性をつかってそれをやってしまいます。たとえば、自分を愛してくれない彼に執着して、自分自身のことを傷つけ続けるとか。
「ほら、あなたのせいでこんなに傷ついているの。」
「あなたがこんな私にしたのよ。」
自分を痛めつけて、それを相手に見せつけるというやり方をしてしまうのです。「あなたのせいでこんなに傷ついているのよ」と彼の前でやることは、まわりまわって親へ復讐になるのです。
なぜこんなことをしてしまうかというと、じつは、私達はどこかで「親に愛されなかったのは私が悪いからだ」と自分のことを責め続けているからです。
しかし、彼にしたら自分を責めている人にしがみつかれるわけですから、逃げ出したくなってしまうかもしれません。「なんか重いよ…」って感じ。
◆愛されなかったという誤解を解くために
こんなときに、まず手放さなければいけないのは、親でもなければ彼でもありません。自分に対する、自己否定、自己攻撃、自己嫌悪を癒すことが、いちばんの優先事項です。
親に愛されなかったという感覚は心に深い傷を残しています。「親ですら愛してくれないのに、他人などもっと愛してくれるはずがない」と。だからこそ、その誤解を解いていくことが、カウンセリングでの課題となります。
・本当に親は愛してくれなかったのだろうか?子供の目線ではそう見えたかもしれないけれども、ひとりの大人として客観的に見てみるとそれはどうなのだろうか?
・親にも愛せない事情があったのではないだろうか?もしかしたら、私がほしい愛し方ではなかったけれども、親なりの愛はあったのではないだろうか?
・何があって、何がなくて、私の親はそうなってしまったのだろうか?親に対しての理解の目を向けてみると、何が見えてくるだろうか?
◆それでも「親は愛してくれなかった!」と思う人へ
そうはいっても、わずかな愛情しか注げないタイプの親もいます。私もそういう人とはたくさん出会ってきました。
親の愛情に恵まれなかった人は、外に居場所を求める傾向があります。お友達であったり、保健室の先生であったり、おじいちゃんおばあちゃんであったり、塾の先生であったり、近所のおばちゃんであったり。
もしかしたら人ですらない場合もあります。ペットや大自然、木や夜空の場合だってあるのです。実際にそういう人に会ったことがあるから本当です。
親でもない誰かに愛してもらったことがあるからこそ、ここまでを生きのびているはずなのです。そうでなければ、ここまでを生きてこられなかったはずなのです。
◆癒すべきは、愛されないという誤解
そんなふうに「愛された感覚」をたどっていくことで、愛されない自分を払拭していくことができます。少しずつ、一歩ずつであったとしても。
愛されたように自分を愛していくことで、ここから先に手に入れるものがまったく変わっていきます。すると、あなたがする恋愛も変わっていくのです。
あなたには愛される価値があります。それを信じられる必要はありません。感じるだけでいいのです。思い出すだけでいいのです。
あなたを大切に思う人はいます。この世の中に必ずいます。その人の思いと繋がってみることで、あなたを大切にする人と出会うことができるのです。どうかそれを忘れないでください。
(完)