コントロールは、恋愛や結婚を壊してしまう

不機嫌は、相手をコントロールしていることになりかねない。

自分の意見が通らなかったり、思い通りにならなかったときに、不機嫌になることは誰にでもあります。
でもその不機嫌が、毎回だったり、長期間に及んだりすると、相手はコントロールされていると感じるようになってしまいます。お互いが「NO」を言える、相手が「NO」を伝えたとしても不機嫌になることなく受け入れていける関係性は、長続きします。

今回、担当させていただく大門昌代です。どうぞ、よろしくお願いします。

「⚪︎⚪︎しなさい」
「⚪︎⚪︎してはいけない」
そのように命令されるのは、嫌ですよね。
これは、相手をコントロールすることになりますから、コントロールされる側の人間は、とても嫌な気持ちになるのです。

ですが、恋愛において、コントロールするつもりはないけれど、知らず知らずのうちに、相手をコントロールしてしまっていることがあります。

例えば、自分の趣味を相手も好きになってもらおうと、いかにその趣味が素晴らしいのかを、語る。
自分が好きな趣味ですから、相手にいかに楽しいか、いかに素晴らしいかを話したいと思うことは多々あるものです。
ただ、話すだけならコントロールしているとは言えません。
だから、相手ももしその話を、あまり聞きたくないなら「他の話題がいいな」とか「その趣味は、興味が持てないんだよね」と言えます。
相手が、「嫌だ」「賛成できない」「無理だ」「やりたくない」など、「NO」と言えるのは、コントロールではありません。

同じ趣味の話をするにしても、相手にも同じ趣味を好きになってもらおうと、相手の趣味を否定して、いかに自分の趣味が素晴らしいかを語るのは、正しさの競争になりますから、相手の気分は悪くなります。

相手の趣味は否定しないし、自分の趣味がいかに素晴らしいかを語るだけ。
そして、相手が興味を持てないので、「興味がない」と言ったときに、この世の終わりかと思われるくらいに落ち込んだり、悲しんだりするのは、コントロールになります。

相手は「興味がない」とは言えているのですが、そう言ったことによって、「私は落ち込みました」「私は傷つきました」ということを相手に伝えることで、相手に罪悪感を抱かせて「興味がないって言ったけれど、ちょっと興味出てきたかも」と言わせたりするのです。

自分の思い通りにならなかった時に、不機嫌になるのも、実は相手をコントロールしようとしていることになるのです。

言うことをきいていないと、不機嫌になる相手がいたら、最初のうちは「嫌だ」「無理だ」と伝えるかもしれませんが、そのうちだんだんと面倒になってきます。
嫌だと言うことを伝えたら、その後不機嫌になって、ご機嫌を回復させるのに、相当な時間がかかり苦労するからです。
そんな面倒な思いをするくらいなら、「そうだね」「やってみるよ」「わかった」「君の言う通りだ」と「YES」を伝えるほうがマシだなと思うから。
これは、結局は相手に面倒な思いをさせることで、「NO」が言えない状態にしているのです。
もちろん意図的ではないかもしれません。
でも、相手が自分と同じ考えでなければ不機嫌になったり、自分の意見が通らないと不機嫌になったりするのは、相手をコントロールしていることになるのです。

もちろん、DVというのは、コントロールの典型的な例となります。
暴言や暴力を使って、相手を意のままに操ろうとしているわけですからね。

さて、コントロールが関係性に入り込んでしまうと、どうなってしまうのか?
操る側、コントロールする側は、ある意味自分の意見が全て通るわけですから、表面的には気分がいいかもしれません。
でも、心の底では、コントロールしているから意見が通っているのだということは、わかっています。
相手から愛されているとか、信頼されているとか、尊重されているとは感じられない。
そうすると、「裏切られるかも」「バカにされるかも」「粗末に扱われるかも」という恐れが生まれます。
そうならないために、コントロールを強化するようになってしまうのです。
強化すれば安心できるのかというと、そうではなく、さらに恐れは強くなるので、どんどんコントロールが強化され続ける結果になります。

DVのようにわかりやすいバターンではなくても、知らず知らずのうちに相手をコントロールしてしまっていると、どんどんコントロールが強くなってしまい、やがて相手が耐えかねて、関係性が壊れてしまいます。

コントロールされる側は、自分を尊重されているとは思えませんから、相手への気持ちはどんどん離れていってしまいます。

どんなに仲が良いカップルであっても、考え方が違う部分もあるでしょうし、趣味嗜好が違うこともあります。
そんな時に、お互いが「NO」を言える関係であるかどうかは、関係性を長く良好に続けていくためには、とても大切なことなのです。

恋愛初期は、ある意味において、お互いなんでも「YES」な時期かもしれません。
相手の全てが素晴らしく見えるでしょうし、相手の話すことはなんでも「YES」だと感じるでしょう。
でも、恋愛初期が過ぎると、「NO」が出てきて当たり前なのです。
お互いが、自分にとっての「NO」を言えて、お互いが相手の「NO」を受け入れられる関係性を作っていきたいものですよね。

また、自分以外の人へのコントロールだけでなく、恋愛において私たちは、自分をコントロールしてしまっていることもあります。
過去に辛い失恋を経験したので、「あんなに好きになって失恋するのは辛過ぎる」と、そこそこ好きな人とばかりお付き合いしたり、相手のことを好きにならないように、相手の粗探しばかりしてしまったりして、自分が心底好きになることを抑えてしまうのです。

自分をコントロールしているので、ものすごく好きになることはありませんが、そこそこ好きな人との恋愛は、やっぱりそこそこだったりしますし、相手の粗探しばかりしていると、そんなに素敵ではない人と一緒にいることになりますから、これもまた楽しい恋愛にはなりませんよね。

コントロールしてしまうのは、心のどこかに恐れがあるからです。
嫌われる恐れだったり、傷ついてしまう恐れだったり、バカにされてしまう恐れだったり、いろいろです。
だから、「コントロールしないようにしよう」と意識するだけでは、なかなかコントロールをやめられなかったりします。
何に対する恐れなのかを解明し、その恐れを解消していくことで、コントロールしなくても良い状態になっていけます。
恐れがゼロにならなかったとしても、恐れが小さくなればなるほど、コントロールしなくても良い状態が多くなります。

簡単ですけれど、参考になりましたら幸いです!
ありがとうございました。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

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恋愛や結婚、浮気や離婚など男女関係、対人関係やビジネス関係、家族関係や子育て、子供の反抗期、子離れ、親離れ問題など幅広いジャンルを得意とし、お客様からの支持が厚い。 女性ならではの視点と優しさ、母としての厳しさと懐の深さのあるカウンセリングが好評である。PHP研究所より3冊出版。