他人を優先しすぎる自分を嫌いだと思うことがありませんか?
顔色をうかがうとは、相手の顔の様子によって、その人の心の動きや機嫌の良し悪しを知ろうとすることをいいます。
なぜ相手の心の動きを知ろうとするのかというと、相手の思い通りに事を運ばなければならないという思いがあるからではないでしょうか。
たとえば「今日のお昼は何を食べようか。」という話をしていたとしたら、中華なのか、お蕎麦なのか、などということよりも、相手が何を食べたいのかが気になるかもしれません。
そして相手が「昨日は蕎麦だったな。」と言えばお昼の候補からお蕎麦を外し、「最近パスタ食べてないな。」と言えば「近くに美味しいイタリアンありますよ。」などと、先回りして相手がパスタを食べたいかもしれない思いを実現させようとするかもしれません。
顔色をうかがって相手の気持ちを知ろうとし、その人のまだ言葉になっていない思いさえも拾い上げようとするかもしれません。
すると相手に喜ばれることがある一方で、自分はいつも人にへりくだってばかりで、オドオドして情け無いとか、
堂々と意見を言えない自分を弱く感じたり、いつも人に負けているなど被害者のような感覚を持ちやすいかもしれません。
こんなことなら相手のことなど全く考えない人間になりたいなどと、投げやりな思いになることもあるかもしれません。
◇顔色をうかがうようになった理由
私たちは生まれてからこれまでの人生の中で、人づきあいのうまくいく方法を自分なりに学び、身につけてきたと言えるでしょう。
特に子どもの頃、自分が何をやりたいのかを考える前に、親や近くにいる大人が不機嫌にならないよう、彼らの意思を尊重する必要があると感じていた場合など、大人になっても人の顔色をうかがうことが癖になっていることが多いかもしれません。
子どもの頃から自分の思いよりも相手を優先してきた理由は、そうでもしないと相手の機嫌が悪くなることで、自分が何かしらの不利益を被るのを避けようとしたのかもしれません。
本当はやりたいことがあったとしても、それを我慢して、相手に機嫌よくいてもらうための行動をすることは、補償行為といわれることがあります。
補償行為は自分の「やりたいこと」ではなく「やった方がいいと思うこと」をやるので、たとえ相手がそれで喜んでくれたとしても、自分自身は嬉しさや楽しさを感じにくいと言えるかもしれません。
◇顔色をうかがいやすい人の特徴
他人の顔色をうかがいやすい人は、ちょっとした表情の変化からも相手の心の機微を敏感に察することのできる繊細な方ではないでしょうか。
いつも誰かの幸せを願っているような心優しい思いを持っていると言えるかもしれません。
◇顔色ばかりうかがう対人関係を乗り越える
顔色をうかがいやすい人は、人と会話をするたびに気を使ってしまい、疲れてしまうと感じるかもしれません。
私ばかり気を使って損だと思うこともあるでしょう。
そのような対人関係のしんどさを乗り越えるために、2つの点について考えたいと思います。
1.顔色をうかがうことは、あなたの才能である
顔色をうかがいやすい人は、そんな自分が嫌だと感じることが多く、顔色をうかがうこと自体が良くないことのように捉えがちかもしれません。
しかし、もし顔色をうかがうことが全く無くなったとしたら、あなたは他人を思いやれない自分勝手な人になってしまうと思いませんか?
つまり顔色をうかがうことは、対人関係を築いていくうえで大切な能力であり、あなたの才能であると言えるのではないでしょうか。
しかも、もとを正せば相手へのあなたの思いやりですから、顔色をうかがいやすいご自身のことを、嫌わないでいただきたいのです。
2.相手はあなたを大切にしたい
ただし顔色をうかがうだけでは、対人関係は成り立ちません。
ここで忘れがちなことは、相手もあなたの顔色をうかがっているし、あなたの思いを叶えてあげたいと思っているということなのです。
自分ばかり気を使っていると思ってしまうと、相手の思いに気づきにくいのです。それゆえ、相手の優しい気持ちを無自覚にもスルーしてしまい、相手に寂しい思いをさせているかもしれないのです。
あなたが相手の顔色をうかがって、相手の希望を叶えようとしているのと同じ思いを、相手もあなたに対して感じてくれているとしたら、あなたはそんな相手に何ができると思いますか?
あなたの希望を叶えようとしてくれる人へ、その相手の気持ちに感謝し、ありがたく受け取ろうともしあなたが思ったとしたら、そんな素敵なあなたができること、それはあなたの「私はこうしたい」という思いを表すことではないでしょうか。
繰り返しになりますが、あなたを大切にしようとしてくれる相手を、あなたが大切にする方法は、相手の「こうしたい」を叶えるだけではなく、自分の「こうしたい」も伝えることでしょう。
相手を大切にしつつ、お互いの思いを伝え合うこと、そして時に相手の思いを叶え、時に自分の思いを叶えてもらうことが、対人関係をより平等に風通しよく、楽にする秘訣と言えるのかもしれません。
(完)