言葉以外のコミュニケーション

態度が言葉以上の表現力を持っていることも

こんばんは

神戸メンタルサービスの平です。

「あうんの呼吸」というように、どうも日本人のコミュニケーションには、できるだ け言葉を使わず、その場の雰囲気や空気を読んで対処することが求められることが多いようです。

日常生活のなかでも「おまえは空気が読めないやつだ」とか「そんなこと、いちいち言わなくてもまわりを見ていればわかるだろう」というように、言語を使わないコミュニケーションの方法が求められることがよくあります。

外国においては、日本のような同一の価値観を共有する単一民族の国は少数派で、多くの国が多国籍民族の共同体になっており、そういうところではもちろんちゃんとはっきり言葉にして表現しないかぎり自分の意向は相手にちゃんと伝わることはありません。

しかしながら、日本においては、言葉以外のコミュニケーションをとても大事にする国なので、日本に住んでいるかぎり、それがどれだけ理不尽であったとしても、このことを避けては通れないわけです。

心理学でも、「ボディランゲージ」という態度によるコミュニケーション手法というものもあります。

たとえば、あなたが一生懸命、商品の説明をしているときに、お客様があなたと一切目を合わさず、たまにアクビなんかをしながら、腕組みをして、その商品説明を聞いていると思ってください。

しかしながら、お客様はあなたの商品説明に「それはいいですね」とか、「おもしろそうな商品ですね」というようなことは言葉に出しては言ってくれるのです。

しかしながら、態度はどんどん横柄になり、貧乏揺すりなんかし始めると、どこかでお客様のまわりから「もう、いいかげんにあきらめろよ」といわんばかりのオーラが漂い始めたりします。

これは、言っていることとお客様の態度があまりにもかけ離れているケースなのですが、こういうケースでは、ほとんど、その態度がお客様の主なメッセージになっていることが多いようです。

われわれはあまり自分のしている態度を気にしていませんが、態度こそが言葉以上の表現力を持っていることもとても多いわけです。

たとえば、あなたが彼に「あなた、浮気をしているでしょ!」と問いつめたときに、彼はあなたの目を見ずに「そんなこと、ぜったいありえない」と言ったとしたら、あなたは彼の言っている「ぜったい浮気をしていない」と言うことよりも、私の目を見てくれていないと言うその態度で「きっと浮気はしているわ」と思うでしょう。

このように、あなたがどれだけ素晴らしいコミュニケーションをしていたとしても、また、どれだけ上手にその場を取り繕っていたとしても、態度がそれに伴っていないために、見透かされてしまったり、あなたの好感度を下げてしまったりすることもあるのです。

私はいろいろなところで講演をしますが、同じ講演仲間に話を聞いたところによると、いちばん講演しやすい場所が刑務所の慰問だというのです。

そこで講演をすると、受刑者の全員がきっちりとした態度で座りながら、いちいち大きくうなずいてくれるのだそうです。

そうすると、講演するほうもとてもマジメにちゃんと聞いてもらっているかんじがするので、とても熱が入るとのことです。

では、相手に好イメージをもってもらえる態度というのはどういうものでしょうか?

なかがよい友だち同士が話に熱中していると、相手がコーヒーを飲むとなんとなく自分も飲んだり、自分が脚を組むと、相手も同じように脚を組んだりすることがあります。

おたがいの動作が相手に反響して、二人が同じような姿勢や動作を繰り返すことを「姿勢反響」と心理学では呼びます。

フィーリングや感覚の合う相手と一緒にいるときは、自分と相手の動きさえも一致してゆくことがとても多いのです。

ですから、あなたも相手の態度に合わせてあげることができたとしたら、協調関係を作りやすくなるのです。

迷子になってしまい、すごく不安になったり、脅えてしまった子供たちに対して、大人たちが子供たちの目線までしゃがみ込んで目線を合わせてあげて、「どうしたの?」と聞いてあげると、子供たちはとても話しやすくなるものです。

同じく、あなたの後輩や同僚がすごく緊張しているときなどに、彼らの姿勢やからだの動きに合わせてあげると安心するものなのです。

よくみなさんが赤ちゃんに話しかけるときに、かわいいと思う度合だけ、大人であるあなたの話し方が「どうしたでちゅか?」というような赤ちゃん言葉になることも、無意識にこの「姿勢反響」しているわけです。

大人たちが子供たちとつきあうときに、子供の動作やしゃべり方をしてあげるとうまくいくように、職場関係でも同じことがいえるのです。

とくに、あなたの同僚や部下、もしくは年下の社員との関係では好感度が高まります。

この考え方は、あなたが外国に行ったときに日本人と出会うだけでなにか安心感をもつのと同じように、相手のやり方やパターンに合わせていく度合だけ、無意識に「同属意識」を持ち始めるからなのです。

心理学では、「ボディランゲージ」といいますが、言葉だけではなく、動作や姿勢からでも親密感は作られていくものなのです。

 

来週の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。