いつも同じ壁にぶつかって会社を辞めたくなるときに考えたいこと

会社を辞めたいんです、というご相談をよく承ります。

私も8回も転職していますので、悩むお気持ちがわかる気がします。
いろいろな事情がありますよね。

遠くへお引越ししなくてはならないとか、会社の業績が良くなくて待遇が悪化したとか、物理的な事情の場合はまた少し別のお話として。

例えば、上司が高圧的で常にプレッシャーをかけられているようで辛いとか、チームで仕事をしているのに自分だけ仲間外れになっているような気がするとか、部下が自分のことを馬鹿にするとか、人間関係の苦しさから辞めたくなるような場合。

入社するときにはどんな人がいるのかわからないので、あらかじめ覚悟しておくというのは難しいですよね。
入ってみたら大ショックというお話もよく伺います。

また、もちろん相性もありますので、残念ながら、たまたま相性の良くないところに来てしまって、やりにくくてしょうがないということもあるでしょう。

ただ、ふと気がつくと、そういえば前職にもプレッシャーをかけてくる上司がいて、それがいやで退職したな…。
そういえばその前も上司とうまくいかなくて辞めたんだった…。
というようなことがあった場合。

いやあ、いつもどこの会社にも嫌な上司っているものですね!と話を終わらせてしまう前に、ちょっと立ち止まって考えてみると、その後の人生の選択に役に立つ考え方があるかもしれません。

これは仕事だけではなくて、人生で同じパターンがなぜか繰り返されているな…ということにご自分で気がついたら、そろそろその問題は癒されるときが来ていますね、という風にカウンセラーは考えたりします。

例えばそのプレッシャーをかけてくる上司の場合。

すべてが同じパターンではありませんので、よくお話を伺ってみたいところではあるのですが、私の場合で言えば、私はお父さんがとても怖かったんですね。

大きな声で怒鳴ったりする人ではなかったのですが、とても真面目で繊細で厳格で、怒るとどんどん暗くなっていって、家じゅうの空気が静電気のようにピリピリしました。
そしてある時突然、こちらが油断しきっている時に、げんこつが飛んできたりするわけです。

そうすると私は無意識のうちに「大人の男性、特に権力がある人は怖い」という心のフィルターを作り上げました。
意識しているつもりはないのですが、油断しきっているときに殴られるのはごめんだと思っていますから、いつの間にかお父さんの顔色を常に気にする癖がつくわけです。

そしてそのまま大人になると、会社の中の年上の男性だったり、権力のある立場の人が無意識のうちにも怖いと感じることになったりします。

今となっては笑い話なのですが、私は最初、このカウンセリングサービスの代表であり、私の師匠でもある平さんがとても怖いと思っていました。

面白い話をいっぱいして、いつもみんなを笑わせているけど、突然怒り出したりするのではないか?
まさか人に手はあげないと思うけど怖い。
ほらごらん!今、怖い目をしたじゃないか!

ずっと顔色をうかがっていたら、たまには不愛想な顔も見ますよね。
それが自分の心のフィルターのせいだとは気が付かずに、彼の問題だと判断していると、この問題はなかなか解決しません。

自分がこんな心のフィルターを持っているんだなと気が付くと、少し客観的にこの問題に取り組むことができます。
そして、カウンセリングなどを使って、お父さんにはお父さんの都合があったことを理解したり、本当はとても可愛がってくれたことを思い出したり、大人としてお父さんのことを見られるようになったりすると、徐々に自分のフィルターは変化していきます。

そうすると、私は平さんの丸いおなかをポンポンたたいて、「全然痩せませんね〜」なんて言ったりすることができるようになるわけです。

なんらかの心のフィルターは誰でも持っていますが、それが自分にとって心地良いものを見せてくれると、とても安全な気分で暮らすことができます。
会社をくりかえし辞めたくなってしまうような苦しい心のフィルターであれば、外せれば世界が変わって見えてくることもあります。

世界が変わって見えると、会社を取り換えなくても、なんだか新しい人生を歩んでいるような気持ちになるかもしれませんよ。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

離婚やハードワークによる鬱、親の介護など、さまざまな経験をしてから心理学を学び、【心が変われば、いつからでも人生は変えられる】ことを体験した。企業の人事や人材サービス会社など、人に関わる仕事歴30年。その人らしさを大切にし、新しい希望を見出すためのサポートをモットーにしている。