子どもに怒って、スッキリするなんて親はいません。
後から、ものすごく反省し、後悔し、子どもの寝顔に謝ったり、自分を責めて、泣けてきたり・・親にとって、子どもを怒らないというのは、心から望むものであり、でも、なかなかうまくできないものでもあるのではないでしょうか。
今日は、子どもに怒ってしまう理由や、そうしなくて済む方法など、考えてみたいと思います。
子どもに怒るというストレス
親は、優しい親でありたいんですよね。
いつも笑顔のママ、ゆったり余裕のあるパパ。いつだって、そうありたいと思っています。
私も、子どもの頃、親に怒られると、「私だったら、絶対に怒らないママになるのに!」って思ったものでした。私のいとこは、「おもちゃをたくさん買うママになる!」って言っていましたっけ。
自分の思う母親像、父親像があるんですよね。
でも、実際、自分が親になってみると、自分が怒られたみたいに、子どもに向かって怒っていたりして、そんな自分に、ひどくがっかりしてしまうんです。そして、それって、ほんとにストレスなんですよね。
子どもに対する責任
子どもに怒ってしまう時、理由もなく怒るわけではありません。
何かしら理由があります。親は、子どもに対して、責任があるんですよね。一手に引き受けているわけです。
例えば、好き嫌いがあったら、栄養が偏ってしまうから、食べさせないと!
学校の宿題をやらなかったら、将来困るだろうから、やらせないと!
いい学校に行かないと、いいところに就職できないから、がんばらせないと!
子どもが苦労しないように、正しい道を歩くように、ちゃんと幸せになれるように・・
そんな強い願いが、あれこれ口うるさく言うことになったり、怒ることになったりするんですよね。
そして、そういったことが立て込んでくる、親自身の仕事や、やらなくてはいけないことも、立て込んでくると、親の余裕がなくなってしまい、静かに言って聞かせることができたことも、頭ごなしに怒ってしまうこともあるかもしれません。
怒るのを辞めた日
怒るの辞めたいですよね。
私もつい、怒ってしまうことがあると、いつも思っていたものでした。
でも、ある日突然、怒るのを辞めざるをえない日がやって来たんです。
中学生になると、息子の学校の行き渋りは、ひどくなり、長く続いていました。毎朝、行くの行かないの、私たち親と、息子の押し問答がくりひろげられていました。
自分の気持ちを理解したり、言葉で説明することが、うまくできない息子に、だんだん腹が立ってきて怒ってしまいます。でもそんなことを毎日くりかえしているうちに、ある日、夫がこう言ったんです。
「学校へ行けっていうの、もうつかれた。」
私も、まったく同感でした。
毎朝毎朝、息子にとっても苦しい時間だったと思いますし、私たち親にとっても、ものすごいストレスだったんです。もう限界でした。だから、もう、辞めることにしたんです。「学校へ行け」と怒るのは。
辞めたら、コントロールが無くなりますから、息子は、完全不登校に突入でした(想定内)。でも、私たち親は、ものすごく楽になったんです。
子どもに対して「優しく在る」というには、程遠かったと思いますが、怒ることを手放し、疲れ切った息子の様子を見守ることができるようになったように思います。
今思えば、ものすごく近いところで見ていた息子を、少しだけ離れたところから、見られるようになったような気がしました。
子どもを大人あつかい
この、少しだけ離れたところ、というのが、「適正な距離」というものだったと思います。
ものすごく近いところに、学校へ行きたくない息子がいるのは、私たち親にとっては、気になるし、なんとかしないといけないと思うばかりで、余裕を持って見れていなかったように思います。
息子にとっても、すぐ近くに親がいて、ぎゃーぎゃー怒っているわけですから、さぞかしウザかっただろうと思います。自分のことを、自分なりにみつめたり、考えたりすることも、きっとしにくい状況になってしまっていたと思います。
「適正な距離」になったことで、近過ぎて見えなかった息子が、ちゃんと見えるようになると、ひどく弱っていることがわかりました。いつのまにか、あんなに好きだったゲームをしなくなっていました。
私たちは、学校のことは、もう言わないでおくことにしました。
何週間か経つと、自分の部屋にこもっていることが多かった息子が、リビングで過ごす時間が増えてきました。ゲームをするようになった時には、「やった!ゲームしてる!」と、うれしかったのを覚えています。
止めろ止めろと言っていたゲームを、息子がしてるのを見て、喜んだ自分には驚きましたが、元気になってきた息子のことが、何よりうれしかったんです。
適正な距離から、子どものことを見るということは、彼らを信頼し、辛抱強く見守り、大人あつかいしてあげることでもあると思います。大人あつかいすることで、彼らを、私たちなりにですが、尊重できるようになっていけたようでした。
子どもを大人あつかいをするのは、むずかしいことかもしれませんが、くっついた状態から、少し離れて彼らを見てみるというのを、意識してみていただくと、ちがう見え方になることを覚えておいていただくと、くっついてお互いに苦しい時には、きっと役に立つと思います。
「あ、自分とは、別の人間だった」という認識になるだけでも、よい気づきだと思いますし、怒るより良い、適した接し方が、自然にできると思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
お役に立つことがあれば、嬉しいです。
来週金曜日は、いしだちさカウンセラーがお送りします。
どうぞお楽しみに。