我が子というものは、親にとって喜びや幸せの源でもありますが、それと同時に常に心配がつきものだったりします。
私自身の子育てを振り返ってみると、「うちの子は○○が苦手」「○○ができない」と子どもの短所に目がいっているとき、心配ばかりしていたなと感じます。
【短所】にフォーカスすると心配が生まれ【長所】にフォーカスすると信頼が生まれる
息子が小さい頃、公園デビューしたときに、滑り台に並んでいたのですが、並んでいる息子の横から、活発なお友達が次から次へと順番を抜かしていくんです。うちの息子はそのときどうしていたかというと、圧倒されながらも「どうぞ」って、ニコニコしながら譲っていました。そんなやりとりを見て「この子、優しすぎて損するのでは?」とよく心配をしました。
幼稚園の年長さんの発表会では、ソーラン節をセンターで踊ることになった息子でしたが、前日38度の発熱。当日の朝はなんとか熱が下がりましたが「この子は本番に弱いのではないか?」と心配になりました。
その後、中学で”ソフトテニス部”に入ってから息子はガラリと変わりました。
とにかく部活が大好きで、帰宅後も家の前で素振りをしたり、試合の動画を見ては、戦い方やフォームの研究をしたりしていました。部活がない日は、公民館のテニスコートを借りて友達と練習ざんまいで「楽しくてしかたない!」という気持ちが溢れていました。
そして、その甲斐あって中学2年の新人戦では県大会に出場するまで成長し、私もとても驚きました。
ところが、その次の大会が近づいてきたとき、私は不安に襲われました。
今度は追われる身になった息子に対して「この子はプレッシャーに弱いのではないか」「今回の結果が悪かったら自信を失うのではないか」と心配をし始めたのです。
そして、良い結果が出せるように、少しでも力を発揮できるようにと考えに考えた私は、2500円もするスポーツ用のインナーパンツと、ちょっと胡散臭いかもしれませんが、「欲しいもの全てを手にいれることができる」という猿の木彫りのお守りをゲットしました。
(ちなみにこちらは破格の500円でした)
そして、迎えた大会当日に、そのパンツと猿の木彫りのお守りを息子にプレゼントしたのです。ところが、大会の応援に駆けつけた私に、息子の口から予想もしなかった言葉が出てきたのです。
「このパンツ、スースーして気になって、全然テニスに集中できない」
結果は、県大会にはあと一歩届かず•••
試合後、コートの横で悔しくて泣いている息子を見たとき、私はとんでもなく余計なことをしてしまったことを悔やみました。
悔やんでも悔やんでも悔やみきれないくらい悔やみました。
信頼は大きなエールになる
もしも、あの頃の私が、息子の【長所】に目を向けていたら•••と想像してみると【自分の好きなこと】に対して、精一杯向き合い、楽しみ、努力ができる、その息子のことをもっと信頼してあげることができたのではと思います。
もしも、同じスースーパンツと猿の木彫りのお守りを贈ったとしても、短所を見て、心配だから渡すのと違って「思いっきり楽しんで、ぶちかましておいで!あなたなら大丈夫!」って力強く送り出せたのではないかと思います。
長い子育ての中で、状況によっては、心配することが必要なときもあります。
それでも、信頼が何より大きなエールになることもありますので、時々立ち止まって、信頼に変えることができないか視点を変えてみることも大切です。
あなたが心配ばかりするとしたら「親に気にかけてほしかった」気持ちはありませんか?
心理学には、自分の心の状態を外の人やものに貼り付けて見る【投影】という言葉があります。
これを読んでくださっているあなたが、お子さんのことを心配ばかりしてしまうとしたら、あなた自身が、子供の頃に「親に気にかけてほしかった」「もっと見てほしかった」という気持ちを抱えていたのかもしれません。
本当は欲しいのに、人に譲ってばかりで悲しかったのは、子どもではなく私なのかもしれない。
いざと言うときに、へなちょこな自分のことを、自分が1番嫌ってきたのかもしれない。
心当たりはありませんか?
もしも、心当たりがありましたら、お子さんへ向けていた愛情を、ご自身にも向けてあげてください。気にかけてみてください。
今のご自身のことだけでなく、子どもの頃の寂しかった気持ちに、優しい目を向けてあげることが大事です。
ひとりで目を向けるのが難しいときは、カウンセラーを頼ってみてくださいね。
このお話が少しでもお役に立てれば幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
来週は、池尾千里カウンセラーがお送りします。どうぞお楽しみにしてくださいね。