うちのキッチンに、どうしても捨てられなくって、ずっと置いてあるものがあるんです。それは、子どもたちが小さかった頃、私にくれた、たどたどしい文字のお手紙・・といっても、メモみたいなものですが、とか、お手伝いチケットとか。
子どもたちがくれるお手紙には、「ママ、ありがとう」とか、「ママ、だいすき」とか、「おしごと、がんばってね」とか、いっぱい書いてあります。尊すぎて、全然捨てられません。
でも、それをもらった頃、私は、ちゃんと喜べていたのかなって、思うんです。
毎日くれる、お手紙たち。子育てにてんてこ舞いだった、あの頃の私は、どんな顔で、受け取っていたんだろうって。
今日は、そんなあの頃を振り返りつつ、今、子育てに奮闘中のママたちへ、そして、私たちも、こんなふうに育てられていたことを、思い出してみていただけたらと思います。
子育てに100点つけられないけど
子どもを育てていて、その子育てに、100点つけられるママって、いないんじゃないでしょうか。なぜなら、子育てって、正解もないし、誰かが、褒めてくれるわけでもないもの。
これで、合っているの???って、思いながら、必死にやっているものだからです。
それに、子どものためにできることって、たくさんあるけど、全部はできないんです。手一杯で、とってもじゃないけれど、やり切れないんです。
十分じゃないなぁって、いつも感じていますから、点数をつけるとしたらきっと、ひどい点数をつけてしまうんじゃないでしょうか。
私、今も時々思い出すことがあるんです。
子どもがふたりになった途端に、あきらかにできないことが増えました。
「抱っこ」って言われても、ひとりすでに抱っこしていたら、できません。
「ちょっと、待ってね」って、ずっと待たせていたなって思うんです。
こんなママでゴメンは、禁止!
子どもに対して、いつも優しいママでいたいし、笑顔でいたい、抱っこもいっぱいしてあげたいし、お話しも聞いてあげたい、って、きっとどのママも思うと思うんです。
だけど、子育ては、24時間体制の、ブラック企業にも勝る激務。
やり切れないわけですから、それを思って、「こんなママでゴメン」って、思っている方、いらっしゃるんじゃないかと思うんです。
今日は、リビングで走り回る子どもを、叱りつけてしまった。
あんなに怒らなくてもよかったなって、夕食の支度で忙しくって、イライラしていた私がわるかった。
「こんなママでゴメン」って、眠っている子どもの寝顔に、謝ったことのある方、きっといらっしゃると思います。
そして、こうも思うんです。
こんなに小さくて、かわいいのに、どうして怒っちゃうんだろうって。ダメだ~って。
でも、「こんなママ」なんて言わないでくださいね。
ご自身のことを、謝らないでくださいね。
そんなことをしてしまうと、子どもたちは、「可哀想な子ども」になってしまいます。しょんぼりしたママに謝られても、ハッピーではないはずです。
ママは、かわいくてやさしい
子どもたちは、大好きなママの笑顔が見たいんです。かわいくって、やさしいママが、子どもたちは大好きです。だから「うちのママは、かわいくてやさしいんだよ」って言ってくれたりします。
でも、自分のママっぷりを振り返ってみたら、かわいくもないし、やさしくもないよって、言いたくなったりします。どこを見て、そんなこと言ってくれるんだ?!って、不思議かもしれませんね。
だけど、子どもにとっては「かわいくてやさしい」のがママなんですよね。そこにフォーカスして見ているようなんです。だから、キツく叱ってしまった、怖い顔をしてたはず、って思っても、子どもはそこではないところに注目していて、いつだって、大好きな「かわいくてやさしいママ」の姿を見ているようなんです。
無邪気な子どものやることは、興味深いですよね。
子どもにとってのママこそ、実は、本当のママの姿なのだと思います。
忙しくって余裕がなくなってしまうことは、きっとあるんですけれど、何度でもあるはずなんですけれど、それを「こんなママ」なんて言わないでくださいね。
大事だよ、大好きだよと伝えよう
子どもに申し訳ないような気持ちになって、ゴメンって謝るよりも、やっていただきたいことがあるんです。それは、こんなことを、子どもたちに伝えて欲しいのです。
「あなたのこと、大事だよ」
「あなたのこと、大好きだよ」って。
毎日じゃなくていいんです。もちろん、毎日でもいいんですけれど、心に余裕がある時で大丈夫です。子どもが眠っている、その寝顔に言ってあげたっていいんですよ。
子どもには、きっと伝わります。
伝わると、子どもたちはそれを、お守りみたいにして、生きていきます。
自分は、ママにとって、大事な存在なんだ。
ママは、自分のこと、大好きなんだって。
心のどこかに、そんな素敵なお守りがあったら、もし、つまずいた時にも、ひとりぼっちのような気持ちになった時にも、自分のことがきらいになりそうな時にも、子どもたちに、自分は価値のある存在だと思い出させ、明るい場所に引き戻し、前を向いて歩けるようにしてくれます。
母親の言葉は、いつまでも心に残り、子どもたちを励まし続ける、魔法の言葉です。
母親であるあなたに、その価値があるからなんです。
余裕がなくって、子どもからのお手紙や、言葉がうまく喜べなかったかもしれないけど、それでも、あの頃のママを、無邪気な子どもたちが支えてくれていたこともまた、まちがいないんじゃないかと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
お役に立つことがあれば、嬉しいです。
来週金曜日は、いしだちさカウンセラーがお送りします。
どうぞお楽しみに。