人生を楽しく生きるヒケツ

だれかのことを“好きになる力”がどれだけあるか

こんばんは

神戸メンタルサービスの平です。

ひと口に旅行といってもさまざまな形がありますが、心理的に見ると、まず、無条件に心が躍るのは「昔から、どうしても行きたいと夢みていた場所に行く旅行」といえるでしょう。

では、ちょっとした小旅行、恒例の旅行の場合はどうかというと、「どこに行くか」ということより「だれと行くか」ということが心理的には大事だといわれています。

つまり、大好きな彼や友だちと行く旅行なら、どこに行ったとしてもとても楽しい!というわけです。

一方、そんなに親しくない人とおつきあいで行く旅行は、楽しさもほどほど。パートナーと別れ話をするための旅行に至っては、どれほど素晴らしい場所に行こうが、楽しさとはほど遠い状況になってしまうことでしょう。

この旅行の話と共通することなのですが、よくご相談いただくことにこういうものがあります。

「自分がしたいことがわかりません」

「人生を楽しく過ごす方法がわかりません」

こんなとき、私はたいていこんなふうに回答します。

「あなたに大好きな人ができれば、すべてが解消されるかもしれませんよ」

私は神戸生まれなのですが、神戸という地方都市には他の都市と違う側面がいくつかあります。

たとえば、みなさんのお住まいの地域の温泉や健康ランドには必ず「入れ墨のある方は入湯ご遠慮ください」という注意書きがあるのではないでしょうか。

しかし、神戸に昔からある銭湯などでは、いまだにそんな貼り紙はありませんし、そのような人々もたくさん入浴されているのです。

私が20代で銀行員だったころ、飛び込み営業で入ったあるおたくのご主人もその業界の方でした。

その方になぜかすごく気に入ってもらい、「お茶でも飲んでいけや」ということになり、いろいろなお話を聞かせていただいたのです。

そのとき、「なんで、この業界に入られたのですか」と、夏でも長袖を着るその方に聞いたら、こんなふうに答えてくださいました。

「いまのわしのオヤジに会うたとき、男が男に惚れるというか、この人に一生ついていきたいと思うたのや。それからほんとうに人生が映画のように楽しくなった」

いうまでもないことですが、オヤジとは親分のことです。そして、私がこのエピソードを思い出したのは、数日前、ワイドショーで、舘ひろしさんが渡哲也さんのお墓の前で「来世があるなら、そのときもこの人の舎弟になりたい」と言ったという報道を見たときのことでした。

この長袖の男性は私に、こんなことも言いました。

「もし、オヤジが金に困るようなことがあったとしたら、わしはすぐに田畑や家屋敷を売り、金をつくってオヤジに届ける。そこに躊躇はない。そんなふうに思える人と出会えたことがうれしいんや」

当時の私は、それはもうびっくりしたものです。私にはそんな人はいなかったわけですから。

ちなみに、渡哲也さんが石原プロに入ったきっかけは、当時、新人だった渡さんが、日活の大スターだった石原裕次郎さんに挨拶に行ったときに遡るといいます。

そのとき、ほかの先輩の役者さんたちがろくに返事をしてくれなかった中で、裕次郎さんだけが一人、立ち上がって渡さんのところに来てくれたのだとか。そして、両手で手を握り、しっかりと励ましてくれたことに感激したからなのだそうです。

その後、裕次郎さんは日活から独立し、石原プロを立ち上げたものの、当初は大きな借金で苦労したそうです。

それを聞きつけた渡さんは、「どうしても、私を雇ってほしい」と裕次郎さんに申し出て、当時の預貯金すべてを現金にして、「持参金です」と差し出したそうなのです。

きょう、みなさんにお伝えしたかったことは、人生をよりよく楽しむには、男女関係であれ、同性の先輩・後輩であれ、だれかのことを“好きになる力”がどれだけあるか大事だということです。

ですから、人生を楽しむヒケツがあるとしたら、出会いを大切にすることかもしれませんね。

そうして、ほんとうに好きになれる、愛することができる人が見つけられたとしたら、この世はいっそう楽しくなるようなのです。

 

来週の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。