子どもや夫への怒りは、助けを呼ぶ声かも

現代に限らず、時代というのは、どんどん進んでいて、時にそれは、とても速い変化となって、私たちを戸惑わせることになったりもします。

例えば、夫婦で家事を分担することも、頭では、そんなの当たり前の時代だと思っていても、心の中は、当たり前だとは思えていないことも多いものです。
夫に、ゴミ出しをさせるのではなく、本来、私がするべきことではないだろうか、と感じて、ご近所さんや親などが、「夫にゴミ出しさせるなんて・・ひそひそ」と言っているように聞こえてきて、自分を責めたりすることもあるんです。

頭でわかるのと、心が納得するのには、ちがうプロセスがあるんですよね。
そんな過渡期でもある今、自分の中にある、古い価値観や思い込みについて、お話しようと思います。

子育ても、家事も、ブラック企業並みだから

子育てという仕事があったら、どれだけ重労働でしょう。
預かっている命の責任は重いですし、24時間ぶっ通しでお世話をしないといけません。早朝だろうが、深夜だろうが要請がかかるわけですから、飛び起きて、駆けつけないといけませんよね。

家事も同様、重労働にちがいありません。そして、終わることのない仕事です。
残業に次ぐ、残業を強いられてもなお、終わらないものなのです。終わらないから、全部やりかけで、子どものところへ駆けつけたりするのですから、精神的にも肉体的にも大変で、もし、何もかもひとりでされているのだとしたら、そのストレスは、非常に大きなものとなるでしょう。

産休育休であったり、専業主婦であったりしても、このブラック企業並の労働環境を、楽だと思う人は、きっといないと思います。

仕事から帰ったご主人が、言ってはいけない言葉、
「1日何してたんだ」
終わらぬ闘いに明け暮れていたということなんですよ。

 

母親・妻がやるものという思い込みがヘルプを出しにくくする

先ほども申し上げた通り、本当は、私がやらねばならないことだと、感じているとすると、それをやっていない、または、できていない罪悪感が、私たちを苦しめます。

子育ては、母親が責任を持ってやるべき。
家事は、妻が、全部やるべき。

まるで、お母さんや、おばあちゃんの生きていた時代にタイムスリップしたような価値観が、見え隠れするんです。それは、とても古いもので、母親を見たり、祖母を見て、私たちの中に刷り込まれたようなものです。まるで、私たちのもののように、心に居座っているのですが、実は、母親や祖母のものなのです。

でも、それを一番近くで見ていた私たちは、彼女らと同じような感覚を持っていて、現代の価値観とのジレンマに陥ってしまうこともあるんです。

食後の皿洗いを夫がやることになっているとしましょう。
でも、あなたは、夫の洗い方がどうしても気に入りません。ついあれこれ注文を付けてしまいます。夫は、腹を立てて、皿洗いをしなくなってしまいました。

ここでも、本当は私がすべきなのに、という思い込みが発動し、結果、皿洗いを我が手に取り戻すことになってしまっています。無意識なんですけれど。

自分の中の思い込みに気づくこと、そして、思い込みのせいで、むずかしくなっているヘルプを、出してもいいんだよって、自分に言ってあげていただけたらと思います。

 

仕事やパートナーシップの比重も整理しよう

私たちは、いろんな役割を背負って生きています。
母親、妻、嫁、きょうだい間の役割、会社での役割、地域での役割、コミュニティでの役割・・などなど、それぞれの場所で、やらなければならない責任が発生していたりします。きっとやりたいことばかりではないはずです。

私たちにもキャパシティがありますから、それを超えて、やらなければならないことが続けば、手が回らないところが出てくるはずです。もしくは、イライラするようになったり、気力が失われてしまったりすることもあるでしょう。

そして、一番わかりやすく症状が出るのが、一番近くにいる人に対してです。

子どもに怒ってしまう。かわいく思えなくなる。
夫に怒ってしまう。うまく愛せなくなる。

怒りは、助けを呼ぶ声です。
怒りたいわけではなく、わかって欲しくて、助けて欲しくて、そして、愛して欲しい時の、声にならない声なのです。

怒ってしまう、わるい母親、わるい妻だと、責めるのではなく、余裕がなく、助けが必要な時なのだと気づき、早速、ヘルプ要請、余裕をつくる工夫をスタートさせましょう。一旦、いろいろ放り出して休憩もありですよ。(私は、プチ家出をしたことがあります。)

 

子育てはひとりでしないで

くりかえしになりますが、子育ては大変なんです。かわいいけど、やりがいあるけど、大変。だから、子育ては、ひとりでやろうとしないことです。

夫は、もちろんのこと(父親ですもん)、じーじばーば、ママ友、友人知人、隣近所、保育園や学校、先生たち、スクールカウンセラー、習い事の先生、子育て支援のあれこれ、カウンセラー・・とにかく使えるものは、全部使ってください。

子どもは、やがて大きくなります。必ず。
長い目で見たら、本当に支援が必要なのは、そんなに長い期間ではないかもしれません。でも、私たちは、一番大変な時は、必死すぎて、ひとりで抱え込んでしまって、頼ることを忘れてしまうんです。

八方塞がりのような気持ちになって、頼り先や、頼り方がわからなくなったりするんですよね。

覚えておいてください。
いつだって、助けてもらっていいんです。たくさん助けてもらいましょう。

完璧にやりこなしているように見える人をみつけて、自分と比べたり、責めたりしなくていいんです。

私もやりました。
小さい子どもがいるのに、完璧に片付いた部屋、手の込んだお料理やお菓子、手作りの小物が次々とアップされているサイトを見ては、落ち込んでいたこと。何をやってたんでしょう、私。

でも、ある日、簡単に抜けることができた、先輩ママさんの言葉はこれです。

「あの人たちは、あれが趣味だから。」

そうか、趣味だったんだ。別にあんなふうにしなくってもいいんだって、肩の荷が下りたんですよね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
みなさんの子育てに、お役に立つことがあれば、嬉しいです。

 

来週金曜日は、いしだちさカウンセラーがお送りします。
どうぞお楽しみに。

 

[子育て応援]赤ちゃんの頃から、思春期の子、そしてそんな子どもたちに関わる親とのお話を6名の個性豊かな女性カウンセラーが、毎週金曜日にお届けしています。
この記事を書いたカウンセラー

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「自分らしく自分の人生を生きることに、もっとこだわってもいい。好きなことをもっとたくさんして、もっと幸せになっていい。」 そんな想いから恋愛・夫婦関係などのパートナーシッップを始め、職場、ママ友などの人間関係、子育てに関する問題など、経験に基づいたカウンセリングを提供している。