ダメな自分を補うことが動機でしっかりすると自分の価値を感じられず辛くなります
大切なのは自分の価値に気づくことなのです。
しっかりしていることは良いことなのに、恋愛がうまくいかない理由になっている場合があります。
例えば、こんなご相談があったとして、この話を元に今回のテーマを考えてみたいと思います。
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自分のことはのんびりしているし、人と比べてやることも遅いし、仕事もできる方ではないと思っています。
でも、どういうわけか職場ではしっかりしていると言われることが多く、戸惑います。
それより困るのは、恋愛相手から、しっかりしていると思われて、やたら頼られることです。
こんなに弱いし出来の悪いわたしなのに、頼りにされると応えなきゃいけないと思ってしんどくなります。
わたしは誰に頼ればいいんだろう、と思います。
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自覚はないけどしっかりしているタイプの方、カウンセリングの中でよくお見かけします。
一見、矛盾しているようですが、しっかりするようになった理由を考えてみると、辻褄があってくるんですね。
しっかりタイプの方の中には、昔はしっかりしてない時期があり、だから常にしっかりしないといけないと思っている場合があるのです。
例えば、
「小さい頃、幼稚園や小学校の用意をしたり、ご飯を食べたりするのがとにかく遅く、よく母から『しっかりしなさい』と言われていた。」
こんな幼少期があったりしたとしたら。
自分はできない子だと思ってしまいますよね。
ここから、しっかりしなきゃ!とがんばって、段々をできるようになっていき、さらに、もっとがんばって他の人よりもできるようになっていった、としたらどうでしょう。
しっかりしなきゃ!の動機が「自分はダメだから」になっていると、がんばるのが当たり前、努力をやめたらまたダメになる、みたいになり、努力も出来ていることも認められなくなってしまうんですね。
すると、周りからしっかりしていると言われても、自分が評価されていると感じられません。
幼い頃からずっとやり続けて、このやり方が当たり前になっているために、自覚するのが難しくなっているのです。
だから、周りからの評価と自己評価にズレが生じてしまうのですね。
◇恋愛の時もダメな自分を感じてしっかりし続けているとしたら?
このやり方は仕事だけでなく、恋愛の時にもやってしまうことが多いです。
基本的に自分の価値を感じられない、自分にダメ出ししているので、恋愛相手に対しても、しっかりしなきゃ!と無意識に思って行動してしまうのです。
例えば、デートに遅刻してはいけないとか、LINEの返事はきちんと返さなきゃとか、だらしないところを見せちゃいけないとか、こんな風に自分を律し続けている。
これってすごく大変なことで、常に自分を追い込んでいるので、安心したり、ホッとしたりできなくなってしまいます。
また、このやり方だと、相手からの期待にも応えないといけないとがんばることになり、さらに、自分がしんどい時でもそれを止められなかったりします。
一方で、当然、自分の中にも甘えたいとか、弱音を吐きたいという気持ちもあるのですが、
「それを出してしまうとしっかりできなくなる」
という怖れがあるために、これらができなくなってしまうのです。
すると、恋愛を続けていくことが辛くなったり、いわゆる「隙がない人」になって相手の方が去っていくなんてことが起こったりもします。
◇自分のがんばり素晴らしさに気づく大切さ
恋愛に限らず、問題が起こる時というのは
「自分の価値を知らない」
ことが本当に多いです。
自分のことはなかなか客観的に見ることができませんが、今回のこの話を他の誰かの話と思ってみたら、ものすごく健気で優しくて良い人、と感じるのではないでしょうか。
しっかりしなきゃ!の動機が「自分はダメだから」だとしても、それだけなら努力したりしません。
ダメなままだと評価されないという怖れもあるのですが、それよりも
「誰かに迷惑をかけたくない」
という優しさ、自分より誰かのためにという気持ちがあるから、がんばれるし努力もできるのです。
まずは、今まで自分ががんばってきたこと、努力してきたこと、自分をいつも追い込んで誰かの役に立とうとしてきたことを認めてあげましょう。
その上で、もしかしたら自覚している以上に自分には良いところがあるのかもしれない、と思ってあげてください。
この思いを持ちながら、毎日、夜寝る前に今日1日の自分ががんばったことを1行でいいので日記に書いてみてください。
ただ書くのではなく、上記のことを思い出しながら書くことがポイントです。
こんな風に自分のがんばりを認めてあげられるようになると、しっかりしようとがんばっていることに段々気づけるようになり、ちょっとは休んでもいいかも、と自分を緩ませてあげることにつなげていくことができます。
このことが頼られるだけでなく、自分も誰かを頼りにできる方向に進む一歩になります。
(完)