母を赦し私の【罪悪感】も赦す ~許しは人のためならず~

あなたは【許す】ときいて、どんな感じがしますか?

子供の頃から私を虐待してきた毒親をゆるすなんて!!
絶対にできない!
浮気をして私を傷つけた夫をゆるすなんて!!
絶対にできない!

と、一般的には感じると思います。

日本には【情けは人の為ならず】との座右の銘があります。

「情け(親切)は人のためだけでなく、いずれは巡って自分に返ってくるのであるから、誰にでも親切にしておいた方が良い」との意味です。
ご存知の方も多いかと思います。

それを心理学的には
【許しは人のためならず】として
今日は私の体験を交えてお伝えしたいと思います。

私には85才になる母がいます。

昨年、父が老人ホームに入居したのを契機に、母は私の家族と同居になりました。

私と母との関係性が良かったかというと、そうではなかったと思います。
母は私にいろいろと親としてくれたこともたくさんありました。
でも私は、母に対して怒りをもっていました。

その怒りは、私が7才の時からずっと持ち続けていて、なかなか消えなかった怒りです。

それは、私が父にモラハラ的な言葉の暴力を受けた時のことです。
私の学校の勉強をみていた父が急に
「こんなバカな子、俺の子供じゃない!」と言って、プイッと席を立ってしまったことがありました。

ひとりぼっちで、その場に取り残された私は、悲しくて涙がでました。
まるでこの世の中で、私一人だけが真っ暗闇の中に置き去りにされたような感覚でした。

そして私は、夕食の支度をしている母に私の悲しい気持ちをわかってもらいたくて、なぐさめてもらいたくて、父の言葉の暴力を言いに行きました。
「ママ~。さっきパパが私のことを、こんなバカな子、俺の子供じゃないって言った!じゃあ、ゆうこは誰の子供なの?」と母に言いました。

バタバタと忙しそうに食事の支度をしていた母は、面倒くさそうに
「そんなこと気にしなさんな」とだけしか言いませんでした。

私が期待をしていた、なぐさめの言葉である
「ゆうこちゃん、それは悲しかったわね。パパはゆうこちゃんにひどいことを言ったわね。あとでママがパパにちゃんと話をしておくわね」
との優しい言葉は一言も私に言ってくれなかったのです。

その時私は、とても傷つき、心の奥から怒りがふつふつと湧いてきたのです。
「この親はもうダメだ。私のことを全然わかってくれない。パパもパパだが、ママもダメだ。もう親に期待するのはやめよう。もう親を親とも思わないでいよう」と心に誓ったのです。

この時、私は親を見限ったのです。
これが私の【罪悪感】として、長年私を苦しめる原点となった出来事です。

心理学を勉強するようになっても、心の奥にしまいこんだ私の【罪悪感】は、なかなか消えませんでした。

2年前に、なんとか父には私の胸の内を話せましたが、母には、まだ言えずにいました。

ですので、私の心の中はいつもモヤモヤやザワザワが常にひしめいていました。

だからこそ「そろそろ母を許して、私の罪悪感を何とかしたい」とは、いつも思っていました。

そして、とうとうその日がやってきたのです。

6月から帯状疱疹等の体調不良が続いていた私は、風邪をこじらせてしまいました。
38.6度の発熱と喉の痛み、頭痛の症状がまるでコロナに罹患した時と同じでした。
幸い、コロナ・インフルエンザ検査は陰性でしたので
ホッとしましたが、数日間寝込んでしまいました。

認知症の影響もあるのかもしれないですが、私が体調不良で寝ているときも、母は私に用事を頼んできます。その度に、私はイラついてしまいます。
そして「わかった!わかった!」とキツイ態度を母にしてしまいます。
私は、イライラがおさまった頃に考えました。

私が怒りを感じているということは、私は母に対して【罪悪感】をもっている。

【罪悪感】がある私は、母に対して【愛】を止めている。
本来は大好きなお母さんに対して【愛】をとめている

私はこれが苦しかったのだ!!と気がつきました。

そして、私の心の奥には子供の頃、私が父にモラハラされていた時にかばってくれなかったことを、まだ怒っている私が、浮き出てきました。

「もうここで母に話をするタイミングだわ」と感じた私は、翌日、熱が下がったタイミングで、母に話しかけました。

私:「ねえねえ。子供の頃のことなんだけど、私がお父さんに暴言を吐かれていたときに、お母さんに助けてもらおうとして言いにいったけど、お母さんは忙しくて「気にしなさんな!」とだけ言って、全然、私の事をかばってもくれないし気持ちを受け止めてもくれなかったでしょう。私、その時の事をまだ怒っていたのよ。それで、毎日の生活の中でも、お母さんが私に色々と頼み事をしてくるときに、ぶっきらぼうな悪い態度をとってしまっていたのよ。お母さんのこと大好きなのに、ごめんなさい」と

母:「そんなことがあったの?いたらなくてごめんなさいね。本当に未熟者でごめんなさいね。学校で子供の育て方とか教えてくれないでしょ?とにかく、私はいたらなかったのよ」と言っていました。

母と、この会話をしてから、私の心の奥にあった黒いドロドロしたものがス~と流れていくような感覚を感じました。
まさに私の罪悪感がなくなった瞬間でした。

この世に生を受けてから数十年間、母の娘でしたが、初めて母と心が通い合ったような気持ちになりました。

そして、同時に母に対する怒りも消えていきました。
さらに私の【罪悪感】も赦された気持ちになりました。

その後の私は、なんとなくですが、心が安らかになり、生きづらさが薄れたような気がします。
罪が滅せられたような気がします。
気分的に軽くなった気がします。
とても楽になりました。

母とも対等な関係性になり、私が我慢や犠牲をせずに母と会話をすることができるようになりました。

あなたにも許せない人がいると思います。

その人を許すということは、あなたの心が安らかになり楽になることにつながります。
そのような意味からも【許しは人のためならず】と言えるのではないでしょうか?

まずは、「そろそろ私も許せないあの人を許してみたいなぁ~」と思ってみてください。
そこから始まると思います。

あなたの人生を応援しています。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

夫婦関係、ひきこもりの子供との関係など、重ねてきた年齢相応の幅広いジャンルを得意とする。圧倒的な受容力をいかしたカウンセリングが好評。お客様から『温泉のように温かい』『安心感がある』大きな懐で包み込んでもらうような包容力があり、価値を見る応援の力が大きい』と定評である。