相手のことを意識しているようで、自分のことばかり考えてしまう恋愛の話
どこか自分自身のアイデンティティが確立していない状態であるため、自分の感情(不安など)を払拭するための恋愛や、恋愛をすることで自分自身が確立できるという思いから恋愛を続けてしまう、といったことが起きるのです。
恋愛のご相談をいただくと、以下のような不安やお声を伺うことが少なくありません。
・相手の顔色が気になる
・付き合い始めても不安を感じて、それに飲み込まれてしまう
・相手の言動(Lineのレスなど)をすごく気にしてしまう
・結果的に、恋愛が長続きしない
これらは、ある一つの恋愛における特徴を示すと考えることができます。
それが「自分を見る恋愛を続けている」ということなのです。
◯「自分を見る恋愛」とは
「自分を見る」とは、僕たちの世界で使われる表現の一つで、要は、意識が自分に向きすぎてしまっている状態なのです。
自分自身のアイデンティティが確立していない状態であるため、どこか自分の感情(不安など)を払拭するための恋愛や、恋愛をすることで自分自身が確立できるという思いから恋愛を続けてしまう、といったことが起きるのです。
もちろん当の本人は必死で相手のことを考えているのです。
二人の関係をよくしよう、とか、幸せになりたいとも願っておられるのです。
しかし、実際は、自分を意識しすぎてしまうがために恋愛がうまくいかなくなってしまう、ということが起きるようなのです。
◯アイデンティティの不確かさが恋愛の不安を生み出す
みなさんも想像していただきたいのですが、目の前にめちゃくちゃ自分を作った人がいたとしたら、なんだか親密になりにくいな?と感じ内でしょうか。
異性と心理的に親しくなる、いわば親密感を感じるには、変に気取ったり、自分をよくみせようとするのではなく、今の自分のままで付き合うことが望ましいと考えることができます。
逆に、アイデンディディが不確かなまま、他人や異性と親密になると、相手といると自分というものが飲み込まれた感覚を覚えたり、自分がどんどんなくなっていくような不安を覚えやすくなるのです。
結果、「相手にどう思われているのだろう?」といった思いを持ち続けることにもなりますし、相手の挙動が気になって仕方がなくなるようにもなりやすいのです。
このとき、そのご本人は「恋愛関係をどううまく継続するか」を考えているのですが、「自分を見る恋愛」、つまり、自分のことばかり考えてしまう状態が続くのです。
良いか悪いか別にして、相手の顔色が気になるのも、自分のことを考えているからですよね。
相手のLineのレスポンスを気にしすぎてしまうこともまた、自分のことを意識しているからです。
その結果、恋愛においてとても大切な「相手のことを考える」その気持ちの余裕を失ってしまうのです。
そのような意識は「いつも相手から愛情や称賛を得ていないと不安」という状態を作るのです。
相手のことを考える余裕を失うことで、相手が抱くこちらへの気持ちを信頼したり、相手の気持ちを慮ることが難しくなるのです。
◯相手のことを考えられなくなると、補償行為がはじまる
このように「自分を見る恋愛」を続けていくと、やめられなくなるのが「補償行為」と呼ばれるものです。
補償行為とは埋め合わせの行動のこと。何かを隠そうとする行為、何かを補おうとする行為です。
恋愛の中で自分の不安や心の揺れを感じるたびに、それがバレないように、いい彼、いい彼女を演じ続けてしまう人もいるでしょう。
パートナーにプレゼントを渡し続けないと不安で仕方がないという人もいるでしょう。
逆に、恋愛となると不安が強くなったり、気持ちがあまりに揺れるので、自分の不安を隠すために好きな人に対して興味を抱かないようにしたり、物理的にも心理的にも距離を取ろうとする人も出てきます。
◯「相手を見る恋愛」のススメ
このような恋愛のお悩みを解決していく一つの視点が「相手を見る恋愛をしてみましょう」ということなのです。
要は、恋愛において重要な「相手に興味を持つ」「相手の意志や考えを尊重する」「相手から向けられた好意に反応する」ということを意識して、実践していきましょうね、という話なのです。
ただ、これができれば悩んでないわ、という思いを抱かれる方も少なくないのかもしれません。
そんな場合は、自分自身が「自分を見る恋愛を続けなきゃいけないほど、自分を不確かなものとして捉えているのではないか」という視点に立って、自分と向き合ってみるといいでしょう。
平たくいうと、自分と仲良くすること、なのです。
どこか自分のあり方に戸惑いを感じたり、自分を受け入れることが難しいと感じていると、どうしても恋愛で自分ばかり見てしまうことになるのです。
どんな自分も自分です。よい自分もいれば、自分として気に入らない自分もいるでしょうが、それも自分です。
そんな自分を一つ一つ受け入れていくこと。自分を否定的に見るよりは、受け入れていくこと。
「これも自分なんだな」といった風に。
できれば肯定的に、自分と仲良くするように受け入れてみることがオススメです。
すると、自分では受け入れられなかった自分の一部を、受け入れてくれていた親、家族、仲間や友達などの存在に気づくこともできるやもしれません。
まずは、このような気付きを得ようとしてみること。
その上で、自分が大切に思う人に届けたい思いを届けていく行動によって、自分を見る恋愛から卒業し、相手を見る恋愛ができる自分に近づくことができます。
そもそも恋愛の中でいつも強い不安を感じる理由は、相手がいくらこちらに好意を向けてくれていたとしても、こちらがそれを感じ取れないから。
そんなときは、「私って自分のこと、どう思ってるのかな?どう向き合っているのかな?」という部分からチェックしてくださいね。
(完)