先延ばしにしてしまう気持ち

何かやらなければいけない事があるのに、先延ばしにしてしまう。
特別忙しい訳ではないのにも関わらず、後回しにしてしまい期限が迫って焦燥感に苦しむ。
そんな事はありませんか?

例えば、連絡事項やメールの返信を「後でしよう」と先延ばしにしてしまい、周りから催促されて嫌な気分になってしまったり。
美容院や歯医者の予約を先延ばしにして、なかなか予約が取れなかったり。

僕自身、学生の頃は、宿題を後回しにした結果、ひどく焦燥感に苦しめられてきました。
特に夏休みの宿題には毎年のように地獄を見せられてきました。

同じ先延ばしでも、ケーキのイチゴを先延ばしにして最後に食べるのと、先延ばしにした宿題を夏休み最後の日にやるのとでは、心に受けるストレスに雲泥の差があります。

「やらなければいけない」と頭ではわかっていても、心で「やりたくない」と感じていると、「やらなければいけない」と「やりたくない」の葛藤が起こり進めなくなってしまいます。

それはまるで、心の中のお相撲さんに行く手を阻まれているような状態です。
そして、期限に迫られ寄り切りを余儀なくされるようなものです。(寄り切りとは、相撲で相手を前や横に押し出して勝つ決まり手の一つ)

「何を訳のわからない事を言っているんだ?やりたくないと感じているなら、出来なくて当然だろ?」
と、思われるかも知れません。

しかしながら、この「やりたくない」という気持ちを無視したり、気付いていない事はよくあります。

僕は、賃貸住宅の1階を借りているのですが、勝手口を出た所で2階の室外機からの水漏れが酷く、大家さんに連絡しなければいけない状況になりました。
しかし、1日のうち勝手口を使う機会もわずかですし、連絡しなければいけないと思いながら先延ばしにしていました。

すると、パートナーから「どうして面倒な事や、やりたくない事を先延ばしにするの?」と何気なく聞かれました。

「やらなければいけない」とは思っていましたが、「面倒」だとか「やりたくない」という自覚が無かったのでハッとしました。
確かに、大家さんに修繕依頼をする事は、何か文句を言っているみたいで「やりたくない」という気持ちが隠れていました。

「やらなければいけない」という事に意識が向き過ぎてしまい、「やりたくない」という気持ちに気づかなかったり、無視しているような状態になっていました。

そして、「やらなければいけない」という要求がどんどん強くなり、自分自身に強要して「やりたくない」も大きくなっていましたが、「やりたくない」という気持ちに意識が向かず、全く気付いていませんでした。

人は、強要されると反発したくなるものです。
宿題をすることを強要されて、やる気がなくなった経験はありませんか?

「大家さんに連絡しなければいけない」と自分に強要していましたので、同時に反発心である「やりたくない」気持ちも大きくなっていましたが、「やらなければいけない」ということばかりに意識が向いて「やりたくない」という気持ちを無視して気付かないようにしていました。

「やらないといけない」と頭で思っていても、「やりたくない」という気持ちと葛藤が起こり、結果として、やらなければいけない事を先延ばしにしようとしていました。

「やらなければいけない」と進もうとしているのに、「やりたくない」という心のお相撲さんに行く手を阻まれている状態です。
そのお相撲さんに気付かないと、寄り切るしかなく、余計なエネルギーを使う事になるでしょう。

やりたくない気持ちを認めるだけでも、気持ちは軽くなりますし、認めて気付く事で、心のお相撲さんとの対話により道を譲ってもらえるかも知れませんし、迂回することで先に進めるかも知れません。

やりたくない気持ちが無くなる訳ではありませんし、やるべき事をやらなくて良いという訳ではありませんが、やりたくない気持ちを自覚して認める事で、心に少しの余裕が生まれます。

何か物事を先延ばしにして苦しい気持ちになってしまうのであれば、「やりたくない」という心の声を認める事で、その気持ちと相撲を取る事なく、余計なエネルギーを使わず、物事に取り組めるかも知れませんね。

何より、心に少しばかりの余裕を持つことができれば幸いです。

この記事を書いたカウンセラー

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我慢や犠牲的な生き方、依存的な恋愛、生きづらさを乗り越え、独立開業やカウンセラーになる夢を叶える。ユーモアに富んだ表現で心理学をわかりやすく伝え、クライアントの魅力や可能性を見続けて、クライアントと一緒に「その人らしく」「楽になる方法」を考えるスタイルに好評を得ている。