秘密主義とオープンさ

すべてを、知ってもらう。それは勇気のいることですが、これこそがあなたの心の安心につながっていくのです。

こんばんは

神戸メンタルサービスの平です。

パートナーとのおつきあいが深まっていく経緯で、とりわけ難しいことの一つが「相手にほんとうの自分を見せる」ということではないでしょうか。

自分でよくないと思っている部分や自信のないところはできるだけパートナーには隠しておきたい、上手に補完したいなどと思うものです。

しかし、二人の関係が深まってきたら、だれにも言えなかったことや、だれにも見せてこなかったようなことも、パートナーにはすべて知ってもらったり、理解してもらったりするべきです。

パートナーには秘密にしておきたいと思うところとは、あなた自身が嫌悪していたり、評価していなかったりするところといえます。

そんなところを知られると、自分はぜったい嫌われる、パートナーに幻滅されてしまうと思っているわけです。

たとえば、自分のことを「おもしろくない人間だ」、「暗い人間だ」と思っていたとしたら、大好きなパートナーとのデートのときは、「おもしろい話をしなくてはいけない」、「明るくふるまわなくてはいけない」などと思います。

そして、デートの間じゅう、自分の暗さをひた隠し、明るくふるまうわけですが、そんなあなたのことをパートナーが「楽しい」、「明るい」とほめてくれたとしても、あなたはパートナーに愛されていると思えませんよね。

なぜなら、楽しい、明るいのはほんとうの自分ではないからです。その一日の努力からあなたが得られるのは、「よかった、バレなくて‥‥」という空しい安堵感ぐらいでしょう。

パートナーからほんとうに愛してもらっていると思えるのは、あなたがずっと隠してきたことをパートナーに受け入れてもらったと実感したときといえるでしょう。しかし、それを実践するのにはなかなか勇気がいるものです。

以前、私どものカウンセリングのクライアントに、田舎のお嬢様育ちの女性がいました。

地域の人間関係が密接ということもあって、ご両親は世間体というか、人の目を気にするタイプで、「はしたないことはNG」という家庭に彼女は育ったわけです。

その彼女がとても素直で明るい青年と出会い、恋をしました。

ある日、彼の家で二人で過ごしていたとき、トイレから出てきた彼に「来て、来て、来て!」と呼ばれました。

なにごとかと彼女が言ってみると、彼は「見て! 信じられないぐらいでっかいウンコが出た!」と言うのです。

彼女はびっくりしてしまいました。そんなものはさっさと流すべきものであり、愛でるものではないと思っていたからです。

しかしながら、そんな彼の素直さとオープンさに彼女は嫌悪感をもつどころか、どんどん惹かれていきました。

「私には彼に対してそんなことはできない。でも、されていやなことではない。彼はいったいどのぐらい私を信頼してくれているのだろうと感じることができるから‥‥」、彼女はそう思っていました。

これがよいたとえ話かどうかはわかりませんが、男女関係とは究極のところ、おたがいにすべてを見せて、すべてを知ってもらうこと、そして、いいところも、悪いところも、すべてを愛し、愛されることだといえます。

それができなかったとしたら、パートナーがいたとしても、あなたは一人ぼっちです。

孤独とは、あなたになんらかの隠しごとがあり、それを分かち合う人がいない状態だと言ってもかまいません。

つまり、「こんなことを知られたら、きっと自分は嫌われる」とあなたが思っているかぎり、あなたはだれといても一人ぼっちなのです。

子どものとき、あなたは両親にすべてを見られ、知られ、学校であったこともぜんぶ知ってもらいたくて、うちに帰ると一生懸命話していました。

そのときのあなたは、一人ぼっちという感覚はもたなかったはずです。

すべてを、知ってもらう。

それは勇気のいることですが、これこそがあなたの心の安心につながっていくのです。

来週の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。