日本的なコミュニケーション

こんばんは

神戸メンタルサービスの平です。

日本人はコミュニケーションが下手な民族だとよくいわれます。

外国、とくにヨーロッパは数多くの国が地続きになっていますから、さまざまな民族の人々がともに過ごしています。

国によって言葉や文化・習慣が違いますから、自分の考え方や価値観ははっきりと主張しないとまわりの人々にわかってもらうことはできません。

一方、日本には統一された言語があり、大多数の人が共通の文化・風習のもとに暮らしています。

すると、それほど自分を表現しなくても、考え方や価値観を相手にわかってもらえることが多いんですね。

そんな日本で特徴的といえるのが、言葉に出さないコミュニケーションです。“察する”とか“空気を読む”は日本人の得意技といってもいいでしょう。

ちなみに“空気を読む”を外国語に通訳するのは非常に難しいことのようです。

私の知り合いのヨーロッパのセラピストからは、「日本人は直感やテレパシーのようなもので会話ができるのか?」と半ば本気の質問を受けたことがあるほどです。

さまざまな言葉や文化・風習が入り交じった国に暮らす人々は、しつこいぐらいに自己アピールをしないとまわりに理解されないという環境にいますから、日本人のコミュニケーションのあり方はほんとうに理解不能なのだろうと思います。

その一方で、日本に暮らしはじめた外国人がびっくりすることがわれわれ日本人にはあるようです。

それは、日本人はお酒を飲むと性格が一変するということです。

あまりなじみはないかもしれませんが、アルコミニュケーションという言葉があります。アルコール+コミュニケーションからつくられた造語です。

日常的にはあれだけ礼儀正しく、謙虚で、言葉は慎み、お辞儀ばかりしている日本人が、無礼講という名のもとに、なにをしても、なにも言ってもいいのが酒の席だというのですね。

たしかに、飲みはじめると、突然、騒ぐ、叩く、肩を組むなど、スキンシップをさかんにする人は少なくありません。さらに、普段は物静かなのに、歌ったり、踊ったり、陽気になったりする人もいますよね。

そんな様子が、外国の人にはまるで治外法権の場所のように見えるようなのです。

そして、「日本人は、全員、多重人格か!?」とつっこみたくなったりもするようなのです。

日本にこんな文化ができた理由をあえて日本的に言うならば、「心のバランスを取るために、タガをはずす時間が必要だから」ということなのかもしれません。

もちろん、すべてを肯定するわけではありませんが、お酒の場での無礼は酒の上での過ちとして許されることも多いものですからね。

ちなみに、外国の人の場合、お酒を飲んで騒いでも、もともと自己表現をたくさんする人々ゆえ、普段と変わらぬ一貫性があります。

それに対し、日本人の場合は、普段はあれだけ自分を押し殺し、感情をコントロールし、礼儀正しくふるまっているのに、その姿が急激に変身するように見えて、海外の人にとってはおもしろいらしいのであります。

なお、飲みの場でなら本音で話せたり、スキンシップが増えたりするという意味では、アルコミュニケーションも悪いことだけではないのかもしれません。

最近の若い世代は会社の人とはあまり飲みに行かず、ハメをはずすことがないといいます。

それゆえにコミュニケーション不足に陥り、おたがいにおたがいのことを深く知る機会がなく、仕事や人間関係が潤滑にまわりにくいという話をよく聞きます。

さらに若い世代のことで言えば、子どもたちは小学4・5年生ぐらいで一人遊びから仲間遊びへと遊び方が変化するといわれます。

ところが、昨今は塾通いに追われたりして、その経験をせずに成長しがちです。中学に入ってもクラブ活動もしなかったりすることも多く、団体でのコミュニケーションを学ぶ機会がまったくないということが問題視されているようです。

来週の恋愛心理学もお楽しみに!!

 

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。