なぜ傷つくのか?(3)〜期待が裏切られたと感じる時〜

期待が裏切られると、心に深い傷を感じることがあります。これは、私たちが無意識に抱く「こうしてくれるはず」という思い込みが原因です。
この記事では、期待が裏切られた理由と、その傷を癒すためにどのように期待を手放すことが大切なのかについてお話しします。

期待が裏切られた理由とその傷を癒すための方法

「信じてたのに、裏切られた……」
こんな経験をしたこと、ありますよね。約束を破られたり、思ってもみなかった態度を取られたり。相手を信じていた分だけ、その裏切られた感覚は心に深く残るものです。
でも、この「期待が裏切られた」という感情、実は私たちの心と期待の仕組みが関係しているんです。

今回は、期待が裏切られたときにどうして心が傷つくのか、そしてその傷を少しでも癒すためにはどうすればいいのかについてお話しします。

1.期待とは実は思い込み

誰かと関わるとき、私たちは無意識に「こうしてくれるはず」「きっとこうだよね」という期待を抱いています。しかし、この期待が思い込みから成り立っていることを理解することが大切です。

たとえば、友だちに「今日のランチ、一緒に行こうね」と言ったとき、あなたはその約束を守ってくれるだろうと無意識に信じます。この時、あなたの期待は「当然守ってくれるだろう」という前提のもとに成り立っています。
もし、その友だちが急に「ごめん、他の人と行くことにした」と言ったら、どう感じるでしょうか?きっと、がっかりするはずです。
でも、実はこの「期待」というものは、相手がどう思うかを考えずに、自分が「こうしてくれるはず」と決めつけている部分が大きいのです。

2.期待が裏切られたと感じる理由

「期待が裏切られた」と感じる理由には、いくつかのパターンがあります。

2-1.期待が一方的だったとき
自分だけが相手に期待していて、相手はその期待に気づいていない場合、裏切られたと感じやすいです。
たとえば、「ありがとう」の一言を期待していたけれど、それがなくて寂しくなったり。

2-2.期待を自分の思い込みで抱いていたとき
親しい人や信頼している人からの行動が、必ずしも自分の期待通りではないことがあります。この時、期待を自分の思い込みから抱いていたことが、裏切られたと感じる原因になります。
相手に対して無意識に「こうしてくれるはず」という思い込みが強くなり、それが叶わなかった場合に失望が大きくなるのです。

2-3.過去の心の傷が影響しているとき
以前に似たような経験をしていると、心の奥にその傷が残っていて、新しい出来事がその傷を刺激することがあります。

3.期待を手放すことの大切さ

期待を抱くことは、必ずしも悪いことではありません。それは、相手との関係を大切に思っている証でもあります。

しかし、その期待が叶わなかったとき、傷つく自分を守るためには、期待を手放すことが効果的です。
「期待を手放すことで、傷つくことが少なくなる」ということを覚えておくと、少し心が軽くなるかもしれません。期待に縛られることなく、もっと自由に、自分を守る方法を見つけていきましょう。

期待を手放すというのは、ただ黙って期待しないようにすることではありません。もし相手にしてほしいことがあれば、それをきちんと伝えることが大切です。
期待していることを相手に伝えずにいると、相手はあなたの気持ちに気づかず、結果的に思うような反応を得られないことが多いからです。
自分が何を望んでいるのかを伝えることで、相手も理解しやすくなり、期待が裏切られたと感じるリスクを減らすことができます。

ただし、伝えたとしても、必ずしも相手がその通りに応えてくれるわけではありません。しかし、あなたが自分の気持ちや期待をきちんと伝えたことで、関係がよりクリアになり、期待に縛られることなく、お互いに理解を深めることができるのです。

おわりに
私たちは、相手に期待することがありますが、それが必ずしも「信じている証」ではありません。
むしろ、それは「自分がこう思っているから、相手もこうするだろう」という思い込みに近いものです。
この期待は、相手がどう思っているかを無視して、あくまで自分の思い込みに基づいていることが多いものなのです。

(続)

心理学講座4回シリーズ/同シリーズ記事はこちら
  1. なぜ傷つくのか?(1)〜人の言葉や態度によって心が揺れる理由〜
  2. なぜ傷つくのか?(2)〜自身のなさや自己肯定感の低さが生む痛み〜
  3. なぜ傷つくのか?(3)〜期待が裏切られたと感じる時〜
  4. なぜ傷つくのか?(4)〜愛されていないと感じると傷つく〜
この記事を書いたカウンセラー

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