こんにちは。
カウンセリングサービスの渡邊です。
新しい年が始まり、あっという間に2ヶ月が過ぎましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
卒業や異動、新年度の準備など、環境の変化を迎える方も多い時期かと思います。
慌ただしい毎日ですが、どうかお身体を大切にお過ごしください。
少し個人的な話をさせていただきますと、私は毎年、12月の後半から1月の前半にかけての時期が苦手で、心が塞ぎ込み、憂鬱になってしまいます。
というのも、年明けとほぼ同じタイミングで誕生日を迎えるため、12月は「またひとつ歳を取るのか…」と歳をとることへの恐れを感じ、1月は「また歳を重ねてしまった…」と老いることを改めて実感する期間となってしまうのです。
年齢を重ねること自体は自然なことと分かってはいるのですが、どこかで「私はまだ何も成し遂げられていないのでは?」という自己攻撃や、「限られた時間の中で何かしなければ」というプレッシャーや焦りを感じてしまいます。
みなさんの中にも「人生では何かを成さねばならぬ」とか「ビジョンを持たねばならない」という価値観に苦しんでいる方も多いのではないでしょうか。
「目標や夢を持ち、それを実現すること」「明確なビジョンを持って意欲的に生活すること」が人生の意味を作ると感じている方もいるかもしれません。
しかし、そうした価値観が重荷に感じられることもあるのではないでしょうか。
私自身、長い間「自分には目標や夢、ビジョンがない」と悩んできました。
目標や夢やビジョンがないと、進路選択や職業選択、さらには休暇の過ごし方さえも分からず、人生を生きる原動力を欠いているように感じていたのです。
もともと、こんな自分を変えたくてカウンセリングに興味を持ちました。
カウンセリングや心理学で自分自身の問題が解決されれば、目標や夢やビジョンがとめどなく湧いてくるような意欲的でエネルギッシュな自分になれると期待したのです。
しかし、自己探求を重ねても、自分が期待するような意欲的でエネルギッシュな自分にはなりませんでした。
目標や夢やビジョンが持てないことで人生に虚しさを感じていたとき、ある日、ふと日常の中に「生きている手応え」を感じる瞬間がありました。
私は以前から毎朝コーヒーを1杯飲む習慣がありました。
アラームの何度目かのスヌーズでなんとか布団を抜け出すと、とりあえずまずはコーヒーを淹れ、ちびちびとコーヒーを飲みながらあれこれと朝の支度を進めていました。
着替えもメイクも荷物の準備も雑で、バタバタと慌ただしい毎朝を繰り返す日々。
そんなある時、「こんなに雑な生活をしているけれど、朝コーヒーを飲むことだけは毎日確実にやっているな」と気づいたのです。
それからは、無意識にこなしていたコーヒータイムを、もっと意識的に過ごすことにしました。
他のことをしながらではなく、じっくりと1杯のコーヒーを飲むことに集中し、その香りや余韻に浸ってから改めて朝の支度に取り掛かるようにしました。
すると、これまで「自分は毎日何もできていない」と感じていた虚しさが、少し和らいでくるのを感じました。
スーパーで売っているような普通のコーヒーですが、コーヒーを飲む朝の10分間、自分の意思で自分の生活を整えている感覚が芽生えてきたのです。
このように、自分で決めたモーニングルーティンをしっかりと実践することで、確かな「生きている」という手応えを感じるようになりました。
日々の小さな積み重ねが、私にとっての大切な生きる原動力となるのだということを知ったのです。
それからは毎日あるいは毎週など、定期的に確実にやっていることを無理のない範囲で少しずつ増やしていくようにしました。
例えば、毎朝バナナを食べる、毎晩ナッツを3粒食べる、お風呂上がりにベビーオイルとクリームを塗るなど。
ひとつひとつのタスクはささやかですが、自分に何を与えてあげるかを考えて実行することは、自分という存在の輪郭を形作る効果があるように思います。
特に昨年末からはじめたランニングは、私のメンタルに大きな変化をもたらしてくれています。
もともと運動習慣がなかったため、まずは「5分間だけ走る」ことからスタートしました。
少しずつ時間を伸ばし、5分が余裕になったら6分、7分…と増やしていく計画です。
ランニングの前後には40分間のウォーキングをしています。
最初はウォーキングだけを行なっていましたが、ウォーキング中は考え事に耽りがちで、ただ歩くことに専念するのが難しかったのですが、ランニング中は他のことを考える余裕がなく、ただ走ることに一点集中できるので、達成感をより強く感じることができます。
身体を動かし、適度な負荷を感じることで、「今日もやり遂げた」という手応えを感じることができています。
「人生は旅」「人生は散歩」「人生は暇つぶし」など、人生を何かに例える言葉は数多くありますが、私は今、人生は『ルーティン』だと考えるようになりました。
日々の暮らしの中で自分自身が意識的に取り組む小さな行動の継続的な積み重ねこそが、豊かな人生を形作るのだと気付いたのです。
かつては大きな変化や刺激を求めでばかりいましたが、今では、ささやかだけど、しかし着実に自分のペースを積み重ねていくことの大切さを噛み締めています。